FOREIGNER〔栄光の旅立ち〕 1977 ☆☆☆ | |
![]() | 記念すべきファーストアルバム。とても親しみやすく、分かりやすいロックである為、衝撃のデビューという感じは当時もしなかったが、今聴いても飽きさせない優れたアルバムである。とにかく、曲が良い。いきなり全米TOP10入りを果たした「衝撃のファースト・タイム」「つめたいお前」はもちろんのこと、他の曲も名曲揃い。フォリナーの曲で好きな曲を10曲挙げろ、と言われたら半分以上がこのアルバムの曲になるのではないか、と思われるくらい佳曲が多い。個人的にはミック・ジョーンズがボーカルをとる「ウーマン・オー・ウーマン」「お前に夢中」といったミディアムバラード風の曲が気に入っている。 |
DOUBLE VISION〔ダブル・ビジョン〕 1978 ☆☆☆ | |
![]() | ファーストアルバムがベストセラーになり、グラミーの新人賞にもノミネートされたフォリナーだが、そのプレッシャーをはねのけこのセカンドアルバムもベストセラーとした。基本となる音楽性はファーストと変わらず、こちらもいい曲が並んでいる。アレンジ、演奏とも堅実という印象。このアルバムの日本版ライナーで渋谷陽一が「どの曲も平均点以上」と評した手堅さが、とても良い方向に出ていると思う。「ホット・ブラッディッド」「ダブル・ヴィジョン」の2大ヒットに代表されるハードな曲は、このあとのフォリナーの方向性を決定したのではないか。珍しいインストの「トラモンテイン」なども、変わった感じの曲で、いいアクセントになっている。 |
HEAD GAMES〔ヘッド・ゲームス〕 1979 ☆☆☆ | |
![]() | メンバーチェンジを経て、すこし方向性を変えてきたかな、という印象のサードアルバム。ジャケットからして、今までのフォリナーのイメージとは違う。アルバム全体が非常にハードな感じにまとめられ、ルー・グラムのボーカルがエモーショナルで、これまでにない程素晴らしい。一皮剥けた感じ。ドラムの音の録り方なんかも明らかに変わっており、タイトでカッコ良い。例によってミック・ジョーンズがボーカルの「モダン・デイ」などは相変わらずポップだが、その他の曲はひたすらハードに迫る。個人的な好みでは「女たち」「17」など。今でも、バンドでコピーしたくなる位のカッコ良さに溢れている。そんな中で異色のアコースティック曲「灰色の別れ」がこれまた超名曲。 |
4〔4〕 1981 ☆☆ | |
![]() | 4人になり、4枚目のアルバムだから『4』、これ以上ないという分かりやすいタイトルのこのアルバムは、80年代初頭に売れまくり、同時期のジャーニーの『エスケイプ』と並んで、産業ロック隆盛の礎となるアルバムとして有名だ。イアン、アルの二人の曲者が抜けた事で、ミック・ジョーンズとルー・グラムの双頭体制が強まり、結果全編に渡りソリッドなハードロックが展開され、非常に爽快感のあるアルバムと言っていいだろう。個人的には当時かなり不満だったが、冒頭の「ナイト・ライフ」や第一弾シングルの「アージェント」などは今聴いても圧倒的にカッコ良い。別の意味での代表曲となった「ガール・ライク・ユー」などはわざとらしくて、好きになれないが。 |
AGENT PROVOCATEUR〔プルヴォカトゥール−煽動〕 1984 ☆ | |
![]() | 『4』の超特大ヒットのあとを受けて発表されたこのアルバムは、はっきり言って産業ロックの悪い面が全て出てしまった。シンセを多用した大甘なアレンジ、妙にセンチな曲調、サビを強調したあざとい曲作り等々、いくらフォリナー好きの僕でも、このアルバムは頂けない。プロデューサーに故アレックス・サドキンを起用し、クリアなサウンドはいいのだが、それだけにもっと曲を練り、ハードに攻めてきて欲しかった気がする。メンバーの中にも、この路線に対する不満があったらしい。「アイ・ウォナ・ノウ」が念願の全米Y1になったが、この曲を最初に聴いた時、リックは「くだらねぇ」と一言吐き捨てたそうだし。 |
INSIDE INFORMATION〔インサイド・インフォメーション〕 1987 ☆☆☆ | |
![]() | おそらく、このアルバムの評価はかなり地味だろう。しかし、内容は素晴らしい。80年代、ほとんどフォリナーに関心がなくなっていた僕を、またファンに引き戻したアルバムといっていい。前作と違い、徹底してハードに攻めている所が小気味良い。久々にバンドとして弾けている、といった印象。曲もすごく良い。また、ハードロック一辺倒でもなく、メロウな曲もあり、これがまた良い出来なのだ。「アウト・オブ・ザ・ブルー」という初のメンバー4人が作曲者としてクレジットされるという、名曲まで生み出している。もちろん、「セイ・ユー・ウィル」のようなキャッチーなヒット曲もある。そしてどの曲にも統一感があって、それがアルバムの質を高めているのだ。 |
UNUSUAL HEAT〔アンユージュアル・ヒート〕 1991 ☆☆ | |
![]() | 正にボイス・オブ・フォリナーであったルー・グラムの代わりに違うボーカリストを立てる、というのはミック・ジョーンズにとって大英断だったはずだ。その試みは一応成功したと言っていいと思う。新加入のジョニー・エドワーズも仲々の実力派だ。ルー・グラムとは違う個性がある。新生フォリナーのスタートとなったこのアルバムも悪くない。ただ、曲のパターンがあまりにも産業ロック的過ぎるのが、僕としては気に入らない。よく聴いてると、今までのミック・ジョーンズの曲作りのパターンと少し違うような気がするので、共作者兼プロデューサーのテリー・トーマスの趣味ではなかろうか。でも、全体的には勢いもあり、再出発に賭ける意気込みも十分。 |
CLASSIC HITS LIVE〔クラシック・ヒッツ・ライブ〕 1993 ☆☆ | |
![]() | 新作を期待していたのだが、先にバンドの集大成的ライブ盤が出た。デビュー直後から80年代中頃の絶頂期にかけてのライブ音源が収録されており、特に6人組時代の音源には感激した。できたら、こういうダイジェスト形式でなく、一枚のアルバムとして70年代のライブを出して欲しい。話がそれたが、タイトル通りヒット曲のほとんどがライブバージョンで聴け、行ったばかりの来日公演の興奮が蘇ってくる。個人的には「お前に夢中」が聴けるのが嬉しい。決して技術レベルの高いバンドではないのだか、ボーカルの圧倒的な魅力、統率のとれたバンドサウンドで引き込まれる。コーラスがレコードほど上手でないのもご愛敬ってことで。 |
MR.MOONLIGHT〔Mr.ムーンライト〕 1994 ☆ | |
![]() | レコード会社を移籍し、久々に出た新作。ルー・グラムの声が聴けるアルバムとしては7年振りだった。が、いざ聴いてみてがっかりした。とにかく面白くない。曲も大した事ないし、演奏もどうってことない。ルーのボーカルが熱いものを感じさせるだけだ。上手いボーカリストが歌うと、どんな駄曲でも素晴らしく聞こえるが、このアルバムに限っては曲の質が低過ぎる。さすがのルーでも、これではどうしようもなかろう。ルー、ミック以外のメンバーを代え、環境も変えて心機一転で望んだはずなのに、その結果がこれではあまりにも情けない。フォリナーなんかとうに終わったのさ、なんてアンチ組は言うだろう。それがまた、くやしい。こんな程度じゃないはずだ。 |