日々の覚書



2003年
5月8日(木)

 前回僕は間違った事を書いてしまった。『サンダーバード』のトレイシー兄弟の長男はスコットだけど、次男はバージルではなくジョンだった。2号に乗ってるから次男という訳ではなかったのだ。よくよく番組を見てみると、冒頭でスコット→ジョン→バージル→ゴードン→アランの順に写真が出てくるけど、これは生まれた順だったのだ。気がつかなかった僕がバカでした。お詫びして訂正致します(笑)

 さて今回は久々ライブ・レポートです。随分経ってしまったけど、去る4月27日に京都のRAGというライブハウスで、アラン・ホールズワースを見てきたので、その模様をレポートしましょう。

 うちの掲示板をチェックされている人ならご存知と思うが、Jun Greenさん(以下Junさん)がホールズワース来るよ、最前列取れるから希望者はお早めに、と書き込まれたのが事の発端である。正直、僕は別にホールズワースを見たいとは思わなかったのだが(ファンの方ごめんなさい)、忍者さんが一度は見てみたい、と言うのでじゃ行こうかな、という気になった次第だ。で、Junさんにお願いしてチケットと優先入場できる権利を取ってもらい、ライブ当日を迎えたのである。

 ライブ自体は19:30スタートだが開場は18:00で、その10分前には優先チケット所有者は会場前に集合、というおふれが出ていた。で、時間通りに会場に到着し、Junさんにチケットと予習用に頂いたCD及びグラミー授賞式のビデオなどのお礼を兼ねて御挨拶させて頂き、続々と集まってきたJunさんのお友達を紹介して頂いたりしてる間に開場時間となり、真っ先に入場してステージ最前列のテーブルに陣取らせてもらった。あとはドリンク&フードをオーダーし、開演を待つばかりだ。その間同じテーブルについた方々と様々な会話で盛り上がり、非常に楽しい時間を過ごす事が出来たのだが、本筋とはずれてしまうので(笑)それについては割愛させて頂く。

 ほぼ時間通りに、アラン・ホールズワース及びアーネスト・ティブス(Bs)、チャド・ワッカーマン(Ds)の3人が客席後方から姿を現し盛大な拍手で迎えられた。そしてステージに上がって演奏がスタート。いやいや、凄かった。はっきり言って知らない曲ばかりなのだが、その演奏の凄さにただ圧倒されるばかり。ホールズワースはもちろんだけど、他の二人も物凄い。アーネスト・ティブスはまだ若くて、無名のミュージシャンらしいが、そのテクニックはハンパじゃない。かなり緊張してるようなのが微笑ましかったが(笑) チャド・ワッカーマンは名前は聞いた事あるけど、プレイを聴くのは初めて。いや、この人も凄い。ドラムセットの真正面から見てたのだけど、ハイハットが2つにツインペダルという変わったセットを見事に操っていた。バンドが演奏している間の8割はチャドを見てたね(笑) 随所でフューチャーされるドラムソロが、これまた絶品。割にクールな顔して叩いてるのも凄かったな。プロのプレイってこういうものなんだ、と改めて感じ入りました(笑)

 凄い、としか表現出来ない自分がもどかしいが、とにかく凄かったのだから仕方ない。3人とも淡々とした感じに見えるのにも感激した。

 ライブ自体は一時間ほど演奏してから15分ばかり休憩が入ってまた一時間ほどやって終わり。アンコール前にホールズワースがちらっとブルースみたいなフレーズを弾くと、客席は盛り上がり勢いでブルースセッションでも始めるかと思ったら、それはなし(笑) ホールズワースは「勘弁してよ」ってな感じで首を振るばかりだった。ホールズワースの弾くブルースなんてのも聴いてみたかったな。

 はっきり言ってしまうと、ホールズワースの音楽は一般に受け入れられるものではない。聴いて楽しむというより、テクニックを堪能するタイプの音楽だと思う。なので、彼のライブに満足出来る人は少ないだろう。しかし、この夜決して広くはないRAGを埋め尽くした熱心なファンは、ホールズワース・バンドのプレイに酔いしれていた。そして彼らも最高のプレイを聴かせたと思う(少なくとも僕はそう思った)。立ったり踊ったりしながら音楽より場の雰囲気を楽しむばかりのライブをライブと信じている連中が見れば、ひたすら退屈なだけだったかもしれないけど、最高のプレイを求める客に対して最高のブレイで応えてみせたホールズワースはやっぱりプロ!! 好き嫌いはともかく、その姿勢には頭が下がった。

 ライブ終了後、メンバーが引っ込んでからチャドのドラムセットをよく見て帰ろう、と他の人のマネをしてステージに上がり、ドラムの側にしゃがみこんだら、「楽器に触らないで下さい」と店の人にしっかり注意されてしまった(爆) 渋々席に戻ったが、見るくらいいいじゃないの、ケチ!(自爆)

 という訳で、久々に座って聴くライブ(笑)、たっぷり堪能させて頂きました。『サンダーバード』をサボッてでも聴きに来る価値は十分にあった(この日は日曜日だったのだ)。Junさん、ありがとうございました。

 所で、このRAGなんだけど、ライブハウスにしては今時珍しく、テーブルで飲んだり食べたりしながら演奏を聴く場所である。入場者は一人当たり1ドリンク&1フードを注文しなければならないのだが、じっくりと音楽を楽しめる大人の空間と言っていいだろう。またここでライブを見たいな、と思わせる店である(よっぽどオールスタンディングのライブに辟易してるらしい...爆)。こういう店ってまだあるんだよなぁ。

 てな訳で、忍者さんもお疲れさまでした(笑)



4月21日(月)

 昨日の夜、NHK教育でついに『サンダーバード』を見た。再放送されるという話は随分前から聞いてたけど、新聞のテレビ欄には載ってないし、いつから放送されるのかも分からず、そのまま忘れていたのだが、昨夜偶然にテレビ欄に発見した。

 いやいや、一体何年振りだろう、『サンダーバード』を見るのは。オープニングの「5,4,3,2、1」というカウントダウンが懐かしい。長男のスコットは覚えてたけど、次男はバージルだったっけ。吹き替えは当時(おそらく30年以上前だ!)のままなんだろうか。ペネローペ役の黒柳徹子の声が若いぞ。そうか、運転手の名前はパーカーだ。

 たった30分なんだけど、ほんと時間も忘れて見入っていた。懐かしい、というのもあるが、やっぱり面白いのだ。人形劇なのに画面に漂う緊迫感が凄い。昨日放送していたのは「SOS原子旅客機(後編)」というタイトルで、放射能爆弾を仕掛けられた原子旅客機(発想が凄いよね)を、無事胴体着陸させるべく(タイヤを出すと、放射能が漏れる仕掛けらしい)、国際救助隊(ちなみに英語だとInternational Rescue、日本語の方がカッコいい)が出動する、という内容。最後までハラハラドキドキの展開だった。

 昔は気づかなかった事が、妙に気になったりもする(笑) サンダーバード1号も2号も垂直に離発着出来るのだけど、こんな事が出来るジェット機なんてこの頃あったのだろうか。やはり発想が凄い。また、国際救助隊はその存在を世間に知られてはならない、という事になっているが、その割には突如カッコいい乗り物に乗って現れる男達の言う事をみんなよく聞くよなぁ。でも、面白いからいいのだ(爆)

 贔屓目に見ても、この『サンダーバード』間違いなく面白い。僕のような中年だけでなく、今の子供達にも十分アピールするのではないだろうか。決して子供騙しではなく、ちゃんと作ってあるからだろうと思う。かけるべき所にお金をかけて、ちゃんとしたものを作れば何十年後に見ても面白い物が出来るのだ。今のテレビに欠けているのは、この精神ではないのか。

 という訳で、毎週日曜日は外出せず『サンダーバード』を見よう、と僕は決心したのである(笑) 出来たらあの主題歌もフルコーラスで聞かせて欲しい。日本語だろうと思われるが、さっぱり歌詞が分からなかった、あの主題歌を(この曲と『ジャイアント・ロボ』のテーマは、僕にとっては2大歌詞が分からない主題歌、である)。

 ちなみに、『サンダーバード』の次は『ひょっこりひょうたん島』だった。続けて見たけど、こちらも仲々面白い。ただ、あの女先生はよくないな。問題が起こると、すぐ周りの男達に頼ってばかりで、自分で何とかしようという意志が感じられない。今だったら、受け入れられないキャラクターだと思う(笑) こんな些細な事にも時代の流れを感じるのでした(爆)



4月3日(木)

 知ってる人は知ってるけど、僕は現在40歳と半年、世間的には立派なオヤジである(笑) もう若くはない、って事は十分承知してるし、若い連中と張り合おうって気もない。だけど、なんだかモヤモヤした違和感がある。本当に40歳なのか?みたいな。一体どういうことなのか?(笑)

 自分より年上の人たちの話を聞いていると、必ず出てくるフレーズがある。曰く、“昔は◯◯だったけど、年を取ったら変わってきた”というヤツ。“若い頃はロックが好きだったけど、最近はジャズの方がいい”、“年を取ったら、肉より魚や野菜を食べたいと思うようになった”、等々つまり年と共に嗜好が変化したという事だ。100人いれば95人まではこんな事を言う。少なくとも、僕の周囲では皆そうだ。で、詳しく聞いてみると、その変化はだいたい40歳を境に現れる人が多いようだ。

 なんとなく分かってきたけど、前述の違和感の正体はこれだろう。簡単に言うと、僕の嗜好に今の所全く変化がないのである。これは、嗜好が若いという意味ではなく、むしろ逆だ。僕は昔からロック中心に聴いてきたけど、ジャズだって好きだ。それもいわゆるフリー・ジャズとかではなくスイングの方。グレン・ミラーなんて小学生の頃から聴いてる。それと、ずっと前から肉だって好きだけど同じくらい魚や野菜だって好きである。焼き肉より野菜がたくさん食べられるしゃぶしゃぶの方がいいし、ファミリーレスランでハンバーグと一緒にほうれん草のソテーを頼むなんてのも昔からだ。会社の先輩と居酒屋に行くと、野菜の煮付けを頼んで、「近頃はこっちの方がいいなぁ」なんて言う人がいるけど、僕は前からそうだ。少なくとも、「若い頃は野菜なんて食べる気にならなかったよ」なんて事は断じてない。言い換えれば、若い頃からオッサン趣味だった、という事か(笑)

 あくまで主観なんだけど、40過ぎたらこういう物が好きになった、と年上の人が言うのを聞くと、自分は昔から好きだけどなぁ、と思ってしまうという訳なのだ。ここが問題。つまり、40歳を迎えても嗜好の変化がない(自分では気づいてない)、だから年を取った気がしない、という事なのだね。

 もちろん、僕だって若い頃とは変わった、と自覚している事もある。女性の好みというか、許容範囲は確実に広くなった(爆) コンビニで弁当が2種類あるとカロリーの低い方を選んだりする(爆) ここいらは、やっぱ年のせいだろう。

 しかし、皆が言うように、本当に年を取ると嗜好が変わってくるものなのだろうか。こればかりは、もう少し年齢を重ねてみないと分からないな。あと何年かすると、僕もドラムなんて止めてしまって盆栽やガーデニングなどに熱中するようになるのだろうか? う〜む、ちょっと想像し難いものがある(笑)

 考えてみれば、年の取り方なんて人それぞれ、他人は他人で自分は自分と思っていればいいのだろう。他人と違う事で違和感を感じるなんて、やはり僕も日本人か(苦笑)



3月28日(金)

 お気づきの方も多いと思うが、今月は更新回数が少ない(笑) 何故少なかったのかというと、

 1) 出張や休日出勤が多く、時間がなかった
 2) 体調を崩してそれどころではなかった
 3) ネタがなかった

 さあ、どれでしょう?(爆) どれも当たりでもありはずれでもある、ってのが正直な所だ。来月はもっとペースを上げるようにします(笑)

 で、まだ3月の末なんだけど、今日からプロ野球が開幕なんである。全然知らなかった。皆さん、ご存知でした?(笑) なんか、ちょっと早くないか?という気はするものの、この日を待ち焦がれていた人は多かろう。やはり日本においては、桜とプロ野球開幕が春を告げるものなのである。そういや、桜はどうなってるのだ?

 という訳で、今日帰宅してから珍しくナイターを見てしまった。東京ドームの巨人vs中日、もちろん開幕ゲームだ。この組み合わせの開幕カードって、過去にあまり記憶にないのだけど(星野監督一年目の開幕カードが巨人戦だったかな)、なんと中日勝ってしまったので、機嫌良いのである(爆) しかし、久しぶりにじっくりとプロ野球を見てみると、あまりに知らない事が多くなっているので驚いた。中日は今年のオープン戦絶好調だったそうですね。優勝候補の筆頭に挙げられているらしい。確かに今日もいい試合してた。先発の川上が好投し、6回で交代するものの7回に逆転して勝利投手、その7回の逆転劇もシングルヒット5本にフォアボールとエラーを絡めて一気に5点取ってしまった。あとは中日が誇る強力中継ぎ陣、落合・岩瀬・平井とつないでゲームセット。絵に描いたような勝ちパターンだったな。いつもこういう試合運びが出来れば、ほんと4年振りの優勝も夢じゃない、と思わせる開幕ゲームだった。ま、開幕くらい夢を見させてよ(爆)

 今日の試合を締めた平井というピッチャー、誰だろうなんて思ったら、なんとかつてオリックスでリリーフをやってた人なのだそうだ。そう言われて思い出した、確かに20歳そこそこで抑えのエースを任されていた彼だ。今年から中日へ来たらしい。一時若きリリーフエースとして脚光を浴びていたが、ここ数年は故障で鳴かず飛ばす、新天地での再起に賭けているとのこと。キャンプの時ブルペンでこの平井のピッチングを一目見た山田監督(そういえば、オリックスでのコーチ時代に平井を見ている)は「平井は今年復活する」と力強く断言したそうな。その期待を裏切らないピッチングでした。天晴れ。どうか中日優勝の為に頑張って下さい。

 僕はプロ野球なら中日のファンなのだが、ここ数年の中日はそこそこ強いんだけど、すっげー強いって感じがない。僕がプロ野球を見始めてからでいうと、中日がすっごく強いと感じたシーズンが何度かあった。1984年、1987年、1991年、1996年あたりが特に印象が強い(ただ、これらのシーズンはいずれも優勝出来ず2位止まりだったのだが...)。この時に共通していたのは、打線が強力だったこと、中継ぎ・抑えがしっかりしていたこと。先発が早々に崩れて序盤で大量失点を喰らっても、終盤でワンチャンスを生かして打線が爆発して一気に逆転、そしてリリーフエースが締める、というのが強い中日の勝ちパターンだった。決して先行逃げ切り型でも僅差の競り合いをものにするチームでもなかった。どんな試合展開でも、最後まで興味を繋いでいける試合運びをするチームだったのだ。終盤での逆転劇に、何度溜飲を下げたことか(笑)

 中日の本拠地がナゴヤ球場からナゴヤドームに変わった頃から、その野球に変化が現れた。機動力を重視するようになったのだ。起死回生の3ランをかっ飛ばす選手は少なくなり、小粒だけどシュアなバッティングと走塁がウリの選手が増えた。これは決して悪い事ではない。広いドーム球場ではホームランを期待するより、スピーディな野球の方が似合っている。でも、コツコツと点を積み重ねて勝っていく中日、というのも何か変だな、という感じがする。かつてのお家芸だった終盤逆転野球に、僕はすっかり中毒になっていたようだ(笑)

 でも、今日のような試合を見せてくれると、やっぱ中日だぁ、って気がして嬉しくなる。逆転した時、長打はなくシングルヒットばかりだったというのがやや不満だが(爆) チームの伝統ってものは仲々消えるものではないのだな。それに、昔も今もこのチームには職人タイプの選手が多くて、そこがまた嬉しい。今シーズンの中日は、質量豊富なリリーフ投手陣と久々に強力な打線が魅力。ほんとに、今年はいけるかも...

 てなわけで、今年はもっと野球を見ようかな、なんて気になっている(笑) 我が中日のエンタテイメント野球の復活に大いに期待したい。



2月20日(木)

 ご存知の人も多いだろうが、現在毎週火曜日夜に草g剛と矢田亜希子主演による『僕の生きる道』というドラマが放送されている。病気(癌らしい)で余命一年と宣告された青年が、残り少ない人生をどう生きていくか、を描いたドラマだそうだ(伝聞ばかりで申し訳ない。見てないもんで)。

 ひたすら軽佻浮薄を以って良しとするここ10年くらいのテレビドラマの傾向からすると珍しく、非常に重いテーマのドラマといえる。主演の草g自身も別の番組で、台本を読むたびに自分だったらどうする?、と考えさせられるものがある、と言っていた。彼は真面目だから、なんでも自分の身に置き換えて考えてしまうのだろうが、実際余命一年なんて言われたら、あなたどうします? 僕ならどうだろう。まず非常にショックを受け、次に自暴自棄になるだろう。なんでお前じゃなくてこの俺なんだ、なんて言って荒れるだろうね(笑) 冷静になって、自分のこれまでの人生を振り返り、最後にあれをして花道にしようとか、自分が存在していた事を世間に覚えていて貰う為にこれをしようとか、なんて事を考えられるだろうか? ショックと恐怖でオタオタしているうちに一年経ってしまうような気がするな(笑)

 正直な所、僕は自分の死をリアルに想像してみたことがない。ほとんどの人がそうだろうけど。言ってしまえば、自分が明日にも死ぬかもしれない、なんて考えた事もないし、また考えようともしない。そうやって、誰にでも平等に訪れる死というものを意識しないでいようとしているのだろう。でも、時々考えるのだが、死ぬとしても突然死というのはイヤだな、なんて思う。本人が何の自覚もなく、いきなり死んでしまうなんて、死の苦しみを味わうことはないだろうけど、なんかイヤなのだ。もうすぐ自分は死ぬという意識の中で死にたい、となんとなく思う。であるので、病気で死ぬにしても、あとどれくらいですよ、とアナウンスされる方がいいな、と思っている。アナウンスされたらされたでパニックに陥ってしまうだろうけどね(笑)

 要するに、死ぬならケジメをつけてから死にたい、と漠然と考えているのだ。色々な事を中途半端にしたままで死にたくはないな、と。そして誰にも知られずに息を引き取る、というのではなく、周囲に自分が死ぬ事を伝えてから死にたい。こんなに冷静でいられるとは思わないけどね(笑)

 余命宣告と聞いて思い出すのは、星新一のとあるショートショートである(タイトル忘れた)。ごく普通のサラリーマンの枕元にある夜死神が立つ。「あと3ヶ月だな」。最初は気にしなかった男も毎晩これが続くと、すっかり覚悟を決めてしまい、せめて綺麗にしてから死のう、と身辺整理を始める。かつて犯した大小の罪(浮気とか会社の金の使い込みとか)を告白し、心残りだった事も片付け、いよいよ死神が言う期限の日を迎える。所が、彼の身には何も起こらない。変だなぁ、と思い始めた時死神が現れたので、何故死なないのかと聞くと、あと3ヶ月とは言ったが死ぬとは言ってない、なんて言われてしまうのだ。それとなく余命が少ない事をちらつかせると人間はどういう行動に出るか、それを見て楽しんでいたのだと。自分は死ぬつもりで、最後にと色々な事をやってきたその男、明日からどうなってしまうのか、と青くなる、という話だ。

 やや不謹慎だけど、余命何年と宣告されたという話を聞くと、すぐ僕はこのショートショートを思い出してしまう。案外こんなもんかもね(笑) ま、くよくよしないで日々暮らしましょう(結局こういうオチなのだった)



2月7日(金)

 今年も恒例のグラミー賞の候補が発表され、一部では話題になっている。以前グラミーの検証というか予想をたててみた事があったが、見事にはずれた(笑) 言い訳をするつもりはないが、グラミーの候補ったって、知らないのばっかりで、まともな予想なんてしたくても出来ないのだ。何せここ数年、最新のヒット曲なんてほとんど聴かない生活だもんな。

 最新ヒットは知らないが、昔のヒット曲ならよく聴いている(爆) ご存知の方も多いと思うが、去年の秋『僕たちの洋楽ヒット』というコンピレーションが出た。1965年から1984年までの洋楽ヒット300曲を15枚のCDに分けて(年代別に)収録したものだ。このシリーズが画期的なのは、ソニー、ワーナー、ユニバーサルといった大手がそれぞれ保有している音源をレーベルの壁を越えて収録したこと、そして日本独自企画によるものであること。こういうのって、今までありそうでなかった。洋楽ヒットのコンピレーションはこれまでにも多数出ているが、レコード会社が単独で出しているのがほとんどだった。確かに『80’s Alive』なんて複数の社による合同企画はあったけど、これもソニー編とかワーナー編とかに分かれていて、レーベルの壁を越えたとは言い難い。じゃ、レーベルの壁を越えて収録すると何がいいのか? というと、つまり偏りがなくなり、同じ年のヒット曲を一同に集めることが出来るのだ。追体験もしやすい(笑) 僕等の年代だと、クイーンとカーペンターズとBCRが同じCDに入ってないと意味ないのだね。

 日本独自企画というのもいい。外国ではともかく、日本でのみヒットした曲が聴けるからだ。こういう曲の場合、本国ではCDなんて手に入らないアーティストが多かったりして、現在入手困難なケースが結構ある。そういうのが聴けてしまうのだ。これは嬉しい。

 僕はこの『僕たちの洋楽ヒット』シリーズを2枚買ってしまった。「1976−77」編と「1977−78」編だ。思えば一番多感な時に聴いていたヒット曲だ。悪い訳がない(爆) 海外では決して手に入らないであろうアラベスクやバスターなんてのも聴ける。25年近く前のヒット曲だし、今の耳ではダサく聞こえるのもある。けど、やっぱりいい。今の音楽と比べるとメロディも歌詞も分かりやすく、親しみやすいと思う。しかも、みんなが知ってたヒット曲。いい時代だったなぁ、なんてしみじみしてしまう(爆)

 これは決して昔の洋楽の方が良かった、という事ではなく、多感な時期に聴いていたから、余計に印象が強いという事だと思う。今の若い連中に聴かせても、多分「いいですね」と言うだろう。かなり冷静に(笑) 良い悪いではなく、思い入れが違うのだ。リアルタイムってのはそういう事だ。20年後には、彼らもエミネムやデスティニーズ・チャイルドの曲をそういった思いで聴くことだろう。

 ただ決定的に言えるのは、洋楽に対する状況が25年前と今では全く違っているということ。僕等の頃は、日本の歌謡曲やフォークでは満たされない物を海外のロックやポップスに見出した、というのがあったけど、今ではそんなことない。現在のJ−POPを聴いてれば、かつての洋楽を聴くのと同じようなカタルシスを得る事が出来る。僕だって、今生まれてればJ−POPを聴いていただろう。洋楽ファンとしては、大変寂しい状況ではある。

 この『僕たちの洋楽ヒット』シリーズには、ただ懐かしいだけではない“何か”がある。それはきっと、リアルタイムで聴いていた世代にしか分からないだろう。同じ音楽を聴いて感動する事は出来るけど、その“何か”を共有する事は出来ない。それが「ジェネレーション・ギャップ」という物なのだと僕は思うのだ(笑)



1月22日(水)

 先程Yahoo!でとんでもない記事を見た。これはもう大事件である(笑)

 ビートルズのアルバム『アビー・ロード』は中味もさることながら、ジャケットが非常に有名だ。ロックファンならずとも知ってるであろう、ロンドンのアビー・ロード・スタジオの前の横断歩道をビートルズの4人が渡っているものだが、このジャケットが改竄される恐れがあるらしい。なんでも、イギリスの嫌煙団体の圧力によるもので、「子供がマネすると良くない」とポール・マッカートニーが手に持っているタバコを消してしまおうとしているそうだ。このジャケットはポスターも製作されているが、そのポスターでは既にポールの手からタバコは消えているとか。で、もしかすると、CD『アビー・ロード』の次回プレス分のジャケットからもタバコが消えてしまうかもしれない、とのこと。

 これはとんでもない話である。タバコが嫌いなのは分かるし、タバコそのものを世の中から消滅させてしまいたい、という気持ちも理解できる。しかし、こういう過去の芸術作品(と言っていいと思うが)からタバコを消してしまおうなんて横暴もいいところだ。子供がタバコに手を出さないようにと考えるなら、親がそう教育すればいいのであって、過去の芸術作品からタバコを消してしまえばいい、というものではないはず。こんなことがまかり通るなら滅茶苦茶なことになる。そのうち、過去の文学作品からタバコの記述を削除しろ、なんて言い出すのではないか(もう言ってたりして)

 Yahoo!の記事にはイギリスのスモーカーのコメントが載っている。「悲しいことだ。今度はシャーロック・ホームズやチャーチルの写真からパイプや葉巻を消すつもりなのか。これは歴史の改竄だ」 全く同感である。

 それにしても、嫌煙家たちの常軌を逸した反タバコ運動はどこか異常だ。スモーカーたちをレストランやビルから閉め出すだけでは物足りないらしい。ま、いいけどね。ただ、こういう連中がいるかと思うと、意地でもタバコを止めてやるもんか、と思ってしまうのである(爆)やっぱり天邪鬼なんだな(苦笑)



1月12日(日)

 2003年も明けてから10日が過ぎた訳だが、今年はあまり新年という感じしなかったなぁ。2日に街へ出た時も、人は大勢いたけどいつもの休日の夜という感じだった。元旦って言ったって店を開けている所は多いし、昔に比べると新年らしい雰囲気は希薄になっているのだけど、それにしても今年は特にそう感じる。正月バージョンのCMがほとんどなかった、という意見もあるし。やっぱり不景気なんだろうか。

 新年早々消費税値上げのニュースが飛び込んできた。高齢化社会を迎えるにあたって福祉財源が足りない、というのが理由らしい。同様の理由でたばこ税と発泡酒税の値上げが決まった。消費税を値上げして現行の5%から7%にする、という案は今後慎重に論議していくらしいが、不景気の原因を個人消費の落ち込みのせいにしようとしている政府側にしては、消費税値上げなんて景気回復とは全くもって逆行した政策である。何考えてんだか。だいたい平成元年に消費税を導入する時も、福祉財源の確保が第一目的、と言ってたではないか。結局、これまでに徴収した消費税を官僚や政治家で使ってしまって残ってない、という事なのだろう。ふざけた話である。せめてもの救いは小泉首相が消費税の値上げは絶対しない、と明言していること。内閣を解散させようが国会を転覆させようが、これだけは死んでも守って欲しいと切に願うものである(笑)

 たばこ税の値上げはスモーカーの僕としては痛い。税金を値上げする場合は、一番弱い所、つまり反対が少ない所から攻めていくらしいが、確かにスモーカーは弱い立場だ(苦笑)個人的には、ゴルフをする時にもっと税金を取ればいいのに、と常々思っているが、やはり政財界にはゴルフ人口が多いのだろう。ゴルフ税なんて話は聞いた事がない。

 たばこも高くなるのだからこれを機に止めればいいのに、とも思うが、なんだかこういう事で止めてしまうのは口惜しい(爆)僕自身、たばこはいつでも止められるという自信があるが、外圧に屈して止めるというのはプライドが許さない(笑)まぁ、確かにたばこは酒と同様身体には良くないだろうし、周囲に迷惑をかける事も多い。だから、極力マナーを守り、他人に迷惑をかけないようにしているつもりだ。税金値上げと言われても何も言わずに耐えてるし(爆)それでも、世間は満足できないのかスモーカーはひたすら攻撃と差別の対象になっている。仕方ないとは思うんだけどね。我慢しますけど、禁煙者の方にひとつだけお願いがある。これだけ聞き入れて頂ければ、もう決して文句は言いません。

 
“たばこを吸わない方は、喫煙車に乗らないで下さい”



2002年
12月18日(水)

 今回はTOTOのコンサート・レポートです。例によって長いですが(笑)最後までお付き合い下さい。

 TOTOを見るのは10年振りだ。その時はジェフ・ポーカロ・フェアウェル・ツアーで、ドラムにサイモン・フィリップスを迎えてのコンサートだった。実質的にリーダーでもあった(と思われる)ジェフの死とともに、TOTOは解散するものとその時は思っていたが、そのままフィリップスが正式メンバーとなり、バンドは活動を続けている。確か1999年にも来日しているはずだが、その時にはオリジナル・メンバーであるボビー・キンボールが復帰して話題になった。今回の来日メンバーは、その1999年の時と同じである。

 コンサートは12月14日、今回の会場は大阪年金会館大ホール。今年4月にホール&オーツを見に行ったのと同じ場所だ。席も同じ3階席(笑)ホール&オーツの時は、発売から一ヶ月以上も経ってからチケットを買ったので3階席でも仕方ないと思ったけど、今回はインターネット先行予約なのに3階である。一体これはどういうことか?納得のいく説明をして貰いたい(爆)

 しかし、気がつけばTOTOもデビュー25周年を迎えるとのこと、観客も僕と同世代が目立ったように思う。僕はそうでもないけど、TOTOのボーカルといえばボビー・キンボール、という人も多いようで、古いファンが久々に見に行ってみようか、なんて思ったのも無理はないな、なんて考えてしまった。

 コンサート開始は18:30、定刻5分前に開演を告げるブザーが鳴り、定刻通りにコンサートは始まった。一曲目は1stから「ガール・グッドバイ」、実は演奏が始まった時、バランスが悪いのか、ドラムの音くらいしか聞こえなくて、それにアレンジをかなり変えているもんだから、何の曲か分からなかった。ボビー・キンボールが歌い出してから「あれっ」と思った次第である。面目ない。続いてメドレー形式で「グッドバイ・エリノア」、しりとりじゃないんだぞ、なんてつまらぬツッコミを入れてしまったが(笑)、この辺りからバランスも良くなってきて、客席もかなりノリ始めた。そして「子供の凱歌」「愛する君に(これは最後のインスト・パートだけだったけど)」と繋げてくる頃にはすっかり盛り上がってたな。

 ステージにはTOTOの5人とサポート・ギタリストの6人が立っていた(実はサポート・キーボードもいたのだが、曲によっては出てこなかった)。向かって右側後方にサイモン・フィリップス、左後方にデビッド・ペイチ、ドラムセットの前にマイク・ポーカロ、キーボードの前にスティーブ・ルカサー、ボビー・キンボールは歌う時はフロント中央に出てくるけど、それ以外に時は後ろに下がっていた。サポート・ギタリストはステージ後方の雛壇の上。

 懐かしのメドレーの後はMCを挟んで最新カバー・アルバムから「ユー・クッド・ビー・ラブド」、『ターン・バック』から「ゴールデン・ガン(この曲大好き。聴けて嬉しかった)」、再びカバーで「菩薩」と続いていく。やはり上手い。年をとってパワーが落ちる事があってもテクニックが低下する事はないのだな、と妙に感心してしまった(笑)あっ、別にパワーが無かったというのではありません、念の為。ボビー・キンボールは若々しくステージを駆け回っていたし。彼は20年前にTOTOのメンバーとして来日した時、声が出ないので、ステージ袖で影武者が歌ってる、なんて良からぬ噂が流れたけど、今回聴いていた限りでは全くそんな様子は見せず、パワフルに歌っていた(実はボビー・キンボールを生で見るのは初めてだったのだ)。ルカサーは最新アルバムのジャケットを見たら随分太ってしまったようだったので、実は心配していたんだけど(笑)3階席から見る限りでは、ブクブクになってたという感じもなく、ひと安心(爆)MCも彼がほとんど受け持っていて、現場のリーダーという感じ。相変わらず剽軽だった(笑)

 この日演奏したのは、やはり昔の曲、それもボビー在籍時の4枚のアルバムからの曲がほとんどで(そりゃそうだよな)、観客の反応も良かった。僕の隣にいたお姉ちゃん2人組は、最初からノリノリで一曲終わる度に「カッコいー」とか「うま〜い」とか叫んでたし(笑)惜しむらくは、メドレー形式でサワリだけ聴かせる、ってパターンが多かった事で、「ハイドラ」「イングリッシュ・アイズ」なんかはフル・コーラスでやって欲しかったな。とはいえ、「ユア・ラブ」「アフレイド・オブ・ラブ」などはちゃんとやってくれたし、別に文句はないです(笑)

 高度なテクニックのバンドだけに、TOTOの場合はソロも楽しみのひとつ。4人とも個別にソロを披露し、やや長かったかなという気がしないでもないが(笑)さすがと唸らされた。サイモン・フィリップスのソロは凄かったねぇ。この人元々左利きだと聞いたけど、どっちが利き腕なのか分からなくなるくらい両手をフルに使って楽しませてくれた。シンバルをやや高めにセットし、手を伸ばして叩くのもカッコ良かったなぁ。今度マネしようかしらん(爆)ルカサーもアコギのソロを披露したが、途中でイエスの「ラウンドアバウト」を弾いたりして、しっかりとウケを取っていた(笑)

 ま、しかし、何と言っても盛り上がるのはヒット曲で、「アフリカ」をやった中盤、「ロザーナ」「ホールド・ザ・ライン」の終盤は大変な盛り上がりだった。驚いたのは、「ロザーナ」のエンディング部で、なんとルカサーがピアノ・ソロを披露したのだが、これがまた上手いのだ!横でデビッド・ペイチが腕時計を指さしながら「長いぞ」「もう終われ」なんてゼスチャーをしてみせるのをものともせず、かなり長いソロを弾いていた。確か『TOTO W』にルカサーがピアノでクレジットされている曲があるんだけど、大したプレイではなかったけどな。

 アンコールの一番最後はなんと!「ホワイト・シスター」いやいやこれには参りました。もう満足。技術の高さもさることながら、構成も見事だし、ノリは抜群だし、デビッド・ペイチの動きは剽軽だし、さすが25年のキャリアは伊達ではない。途中、サポート・ギタリストにも「ストップ・ラビング・ユー」を歌わせたりといったアット・ホームな雰囲気もあり(どうせなら歌だけでなくソロも弾かせてあげれば良かったのに、とは思ったが)、非常に楽しめるコンサートだった。

 聞く所によると、現在彼らは本国アメリカでのレコード契約がなく、自分たちで原盤権を所有し、アルバムを作ったらその都度どこかとスポット契約を結ぶ、というやり方をしているそうだ。TOTOのような音楽は、今では受け入れられないのだろうか。非常に残念な話ではあるけれど、今回のようにまだまだプロ根性に溢れたライブを見せる事が出来る訳だし、30周年に向けて頑張って欲しいと思う。いや、とにかく良かったです。

 恒例のTシャツなんだけど、グッズ売場は長蛇の列で、とても並んでまで買う気にはなれなかった。遠くから覗いてみたら、デザインも大したことなかったし(爆)

 
 

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