最近のお気に入り

CD、小説、映画など流行に関係なく、また新旧を問わず
最近気に入ったものを紹介します。
(バックナンバーはこちらへ)

MUSIC=音楽関係 BOOKS=書籍関係 MOVIE=映像関係



 CITYLIGHTS DANDY/角松敏生
     実は、2年前に角松敏生のライブを見たのだが、来月再び見に行くのである。2年前のライブも、
     予想以上に素晴らしかったが、今回はさらに進化しているのだろうか? そんな矢先、タイミング良く
     角松敏生の新譜が発売された。で、これが実に良いのである。ただ今、ヘビーローテーション中
     だったりして(笑)
     僕のイメージにある角松敏生は、なんと言っても80年代の頃であり、正直言うと、2年前のライブで
     見た角松は、そのイメージとはかなり異なっていた。しかし、今回の新譜『Citylights Dandy』は、
     かなり80年代のイメージに近い。少なくとも、僕はそう思う。ファンキーな音楽性、都会的なセンスに
     溢れた音作り、オシャレな雰囲気に隠されたこだわり、どれを取っても80年代の角松だ。もちろん、
     あの頃と全く同じという訳ではない。それどころか、当時は軽く聴こえたサウンドが、今ではストイック
     に響いたりする。本人がFMの番組で喋っているのを聞いたが、こういうタイプの音楽(つまり、かつて
     角松がやっていたような音楽)は今では流行らない、しかし今それをやろうとする姿勢が、ストイック
     に見えるのだろう。ウケを狙って音楽を作るのではなく、本当にやりたい音楽をやる、そろそろデビュー
     30周年を迎えるという角松が辿りついた境地は、やっぱりそこなのだろうし、そんな強固な意志に
     貫かれた『Citylights Dandy』が単にオシャレなだけで終わっていないのは当然である。さすが
     角松。
     という訳で、来月のライブが楽しみだ。もちろん、紙飛行機も忘れずにね(笑)
     http://www.amazon.co.jp/


NOTE 2010.9.30



 5years/木村カエラ
     結婚を発表したりなんかして、今や時の人であるが、デビューして5年になるらしい。もっと前からいる
     ような気がしてたけど^^; という訳で、タイトル通り、その木村カエラ5年間の集大成ともいうべき
     ベスト盤なのである。正直言うと、木村カエラをちゃんと聴いたのは初めて(恥) けど、2006年の
     サディスティック・ミカ・バンドの再結成に参加した時に彼女の歌を聴いて以来、興味は持っていた。
     活きのいい歌いっぷりが気に入ったからだ。実際、ミカ・バンド史上初の“歌える”ボーカリストとして、
     彼女を知らないロック・ファンの間でも評判だったようだし。とにかく、僕は木村カエラに対して「威勢
     の良いロック少女」という印象を持っていた訳だが、このベスト盤は、そんな印象をさらに強くするもの
     だった。おそらく、シングル曲が中心なのだろうけど、いわゆるバラード系がほとんどなく、どの曲も
     勢いに溢れている。カエラの歌も正に元気印、小気味良く疾走感たっぷりで爽快だ。なかなか大した
     ものである。結婚及び出産を経て、どのような方向にシフトしていくのかわからないが、ずっとこの
     スタイルを守り続けて欲しいもの。我々の世代のロック好きにも、是非聴いて貰いたい。どうせJ−
     POPでしょ、なんて舐めてかかると火傷しまっせ(意味不明)
     http://www.amazon.co.jp/

NOTE 2010.7.11



 EMOTION & COMMORTION/JEFF BECK
     日本盤ライナーに「裏切られた」と書いてある(笑)、ジェフ・ベックの約6年ぶりの新作である。もちろん、
     「裏切られた」というのは悪い意味ではない。ま、でも、1999年の復活後のベックの活動ぶりを見て
     いると、次の作品はこんな感じではないかな、という漠然としたイメージがあったから、そういうこちら
     の勝手な思い込みとは違ったアプローチの新作を聴いて、「裏切られた」と言いたくなるのは分かる。
     もちろん、良い意味ね(笑)
     とはいえ、「裏切られた」とは言わないまでも、聴いた時は驚いた。なんというか、相変わらずベックが
     ギターで色々な事をやってみせているのだが、ロック・ギタリストという範疇に留まらない多彩なアプ
     ローチで、一種イージー・リスニングみたいな雰囲気もある。もちろん、良い意味でだけど^^; オー
     ケストラを多用しているのも、そんな印象を強くする。ギターとオーケストラのみで演奏される曲あり、
     ゲスト・ボーカリストを迎えて歌物に徹しているのもある。この歌物というのが、スクリーミン・ジェイ・
     ホーキンスもティム・バックリィもあるし、オーケストラとはスタンダードの「虹の彼方に」やクラシックの
     「誰も寝てはならぬ」なんかもやってるし、いつも通りのロック・ナンバーもあるしで、正に何でもあり、
     といった感じ。こういった多彩な曲を、ベックならではの音色とフレーズで聴かせる訳で、とにかく唯一
     無比の世界。ベックは、ロックの枠を超えて、とてつもない境地に達してしまったな、と思わせる。いや
     はや、凄い人です、ほんと(笑) 呆れてしまうくらい(爆)
     とはいえ、「裏切られた」と思いつつ、聴く者を深く納得させてしまうアルバムと言える。そういう点でも、
     やはりベックは凄い(笑)
     http://www.amazon.co.jp/

NOTE 2010.4.3



 THE BEATLES ALBUM−JESUS CHRIST SUPERSTAR/PERCY FAITH
     近頃、昔聴いてた映画音楽や、このパーシー・フェイスのCDをせっせと購入しては聴いている。懐か
     しいという感覚とは少し違って、久しぶりに聴いて、その良さを25年ぶりくらいで(笑)再認識する、
     という感じかな(笑) 温故知新である(違うって)
     てな訳で、2in1で出ているパーシー・フェイスのオリジナル・アルバムだが、今回の2作品は、いわ
     ゆるコンセプト・アルバムである(とライナーには書いてある)。ひとつはビートルズ作品集、もうひとつ
     はミュージカル『ジーザス・クライスト・スーパースター』の曲を丸ごと演奏したもの。これが、どちらも
     素晴らしい内容なんである。
     まずはビートルズの方だが、このアルバムが出たのは1970年とのことで、ま、解散前後と思う。
     不世出の偉大なブリティッシュ・バンドの解散を惜しんだのか、実に荘厳な響きの「レット・イット・ビー」
     に象徴されるように、実に格調高い、大英帝国の誇りを体現しているかのような、見事なカバーぶり
     である。確かに、洋の東西を問わず、ビートルズ・カバーというのは呆れるほど多いので、食傷気味
     の人もたくさんいると思うけど、でもこのアルバムは是非聴いて欲しい。どの曲も、とても上品にまと
     められていて、クラシカルですらあり、こういう表現手段を選んだパーシー・フェイスの、ビートルズを
     深く敬愛する気持ちがみてとれる。オリジナルを聴き慣れた耳には、実に新鮮であり衝撃でもある。
     そして、『ジーザス・クライスト・スーパースター』、僕は、このミュージカルの曲は、メインのタイトル曲
     と「I Don’t Know How To Love Him」しか知らないのだが、それでも楽曲の良さは分かるし、
     ビートルズとは違った、パーシー・フェイス流ロック的アプローチによる編曲がまた見事で、引き込ま
     れてしまうのだ。ミュージカル見た人も見てない人も、なかなかに楽しめるアルバムと言える。パーシー・
     フェイスは、このアルバム以外にも、ミュージカルを丸々アルバム化した作品をいくつか出している
     そうで、なかなか面白い企画である。
     と、1950年代からイージー・リスニング(ムード・オーケストラ)の巨匠として確固たる地位を築いて
     いたパーシー・フェイスが、その座に甘んじる事をせず、新しい感覚も取り入れながら、旺盛な創作
     意欲を見せていた時期の作品である。どちらも、悪かろうはずがない。先入観は捨てて(笑)是非、
     ご一聴を。
     
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NOTE 2010.3.15



 BOOKS新・世界の七不思議/鯨統一郎
     ミョーな名前だが、もちろんペンネームだそうな(笑) 覆面作家として知る人ぞ知る存在らしいが、
     なかなかユニークで幅広いミステリーを書く人らしい。その実力の程は、店頭でなんとなく手にとって、
     そのまま買ってしまったこの『新・世界の七不思議』でも窺える。
     内容は、ある程度想像がつくと思うが、ミステリーというか、“アトランティス”“ストーンヘンジ”“ピラミッド”
     “ノアの方舟”“始皇帝”“ナスカの地上絵”“モアイ像”の七不思議をネタにして、登場人物たちが
     あれこれと謎を解明していく、という話である。舞台は、都内某所のうらぶれたバーで、登場人物は
     ペンシルパニア大学のジョゼフ・ハートマン教授、歴史学者の早乙女静香、謎のフリーライター宮田
     六郎、そしてバーテンの松永、この4人のみ。このうち、主に静香と宮田の二人による、歴史検証バトル
     が展開されるという訳だ。そして、議論の末、宮田がアッと驚く結論を導き出す。専門家からすると、
     噴飯ものかもしれないが、ただでさえロマンを掻き立てられる題材である上、思ってもみなかった
     方向に議論が流れていくのも面白いし、意外な結末も楽しい。それなりに説得力もあるしね。ちょっと
     した勉強にもなるし、難しい事は抜きにして、楽しめばいいと思う。酒席には欠かせない、インテリジェ
     ンス溢れた小ネタも仕込めます(笑)
     http://www.amazon.co.jp/

NOTE 2010.3.9



 THE DOVE(OST)
     またしても申し訳ない(笑)、1975年公開のアメリカ映画『ダブ』のサントラである。チャールズ・ジャ
     ロット監督、ジョセフ・ボトムズ、デボラ・ラフィン主演、と通でなければ馴染みの薄い名前ばかりだが^^;、
     音楽は、あの有名なジョン・バリーが担当している。で、このテーマ曲が素晴らしいのだ。聴いてる
     だけで、青い大海原、その上を走る白い帆のヨット、それを俯瞰で捉えるカメラ、なんてものが目の前
     に浮かんでくるという、見事なまでに、そんな情景を音楽化した名曲である。ちなみに、映画は見てない(笑)
     でも、見てなくても、イメージを喚起させる素晴らしい曲だ。この一曲のためにCD買っても損ではない。
     この曲を初めて聴いたのは中学1年の時だから、もう35年(!)も前という事になるが^^;、当時も
     この曲に感動し、映画音楽から離れてしまっても、たまに思い出しては無性に聴きたくなっていた
     のだが、最近になってCDが出ている事を知り、すかさずアマゾンに注文してしまったのだが、いやいや、
     買ってよかった^^ ジョン・バリーという大御所が音楽を担当しているにもかかわらず、映画自体が
     地味な扱いのせいか、サントラなんて見かけた事なかったし、“ジョン・バリー作品集”といった類の
     編集盤にも収録されることもなく、もしかすると一生手に入らないのかも、なんて思っていただけに、
     アマゾンで見つけた時は感激したなぁ(笑) ま、とにかく、チョー久々に聴いたけど、やっぱり良い。
     テーマ曲はもちろんだけど、リン・ポール(今まで知らなかったけど、この人ニュー・シーカーズのメン
     バーだったそうな)が歌う「Sail The Summer Wind(愛の潮風)」も爽やかでいいし、他の曲も
     穏やかな海や荒れる海を見事に表現していて、ほんと素晴らしいサントラである。やっぱりジョン・
     バリーって凄い。映像のイメージを音楽化することにかけては、右に出る者はいないのでは。ジョン・
     バリーというと、どうしても007シリーズのイメージがついて回るが、それ以外にも素晴らしい作品を
     たくさん手掛けているのだ。アカデミー賞4回受賞というのも頷ける。個人的には、007以外だと、
     『冬のライオン』『真夜中のカーボーイ』『ザ・ディープ』あたりが好きだな。『冬のライオン』は、『ダブ』
     と一緒に購入したので(笑)、次は『真夜中のカーボーイ』を狙うか(笑)
     という訳で、かつて聴いた映画音楽を、なぜか再び聴きまくっている今日この頃なのである。幸せだなぁ(爆)
     http://www.amazon.co.jp/

NOTE 2010.2.18



 ENDLESS SUMMER/松本伊代
     以前ブログネタにしたが、松本伊代のオリジナル・アルバムが、去年の9月、デジタル・リマスター&
     紙ジャケで再発された。1981年の『センチメンタルI・Y・O』から1991年の『MARIAGE〜もう若く
     はないから』まで12枚、中には存在すら知らないアルバムもあったけど(汗)、まとめて再発された
     のは快挙である。遅過ぎるくらい(笑) そう、知る人ぞ知る、実は僕は松本伊代のファンだったのだ。
     と、今カミングアウトしてどうする(笑)
     と、その今回の再発だが、オリジナル・アルバムに、アルバム未収録のシングルA・B面曲をボーナス・
     トラックとして加え、さらにシングル曲のカラオケまで収録する、という至れり尽くせりの内容である。
     アルバムを揃えれば、シングル曲も全て網羅出来るのだ。中途半端なベスト盤を買うより、ずっと
     よろしい(笑) しかも、リレー・ライナーノーツというのが掲載されていて、そのアルバム毎に、担当
     ディレクターや松本伊代本人が当時の状況を語る、という、非常に興味深く、有り難い企画まである
     のだ。これは絶対“買い”だ!と勢い込んだのはいいが、意外と店頭にない。アマゾンやHMVを見て
     みると、初期のアルバムなどは品薄な状況なので、案外売れているのか? それにしても、店頭で
     見かけないのは解せない。実は、ろくに仕入れてないんじゃないのか?(笑) と、そういう状態では
     あるが、なんとか『センチメンタルI・Y・O』と、ここに紹介する『Endless Summer』をGETした、
     という次第。他のアルバムも少しづつ買い揃えていくつもり。特に、あまり聴いてなかった後期のアル
     バムとかね。
     という訳で、『Endless Summer』である。1983年発表、松本伊代にとって通算4作目。この頃の
     松本伊代は、華々しいデビューの後、順調にヒットを飛ばし、人気も安定していた時期にあたる。確かに、
     後からデビューした中森明菜が一気にスターダムにのし上がり、小泉今日子や早見優も路線変更が
     当たって、人気が爆発していた時期で、決して松本伊代がトップアイドルの座にいたとは言い難いが、
     歌番組の常連ではあったし、コンスタントに新曲も出していたし、露出は十分であった。そんな中での
     『Endless Summer』である。改めて聴いてみると、楽曲の充実度は申し分ないし、意外と変幻自在な
     松本伊代の歌も絶好調で、実にナイスなアルバムなのである。個人的には、ボーナス・トラックとして
     収録された「太陽がいっぱい」が、松本伊代のシングル曲では一番好きだったりするし、実に楽しくこの
     アルバムを聴いた。「太陽がいっぱい」の前のシングルだった「チャイニーズ・キッス」が、本編に収め
     られているが、今聴くと実にフィリーな雰囲気の佳曲だったり、なんて発見もあり、所詮アイドルなどと
     侮れない。これを見ている全ての皆様にお薦めしたい名盤である。リレー・ライナーの中でも本人が
     語っているが、松本伊代は他とは違った持ち味のアイドルだったのであり、そんな彼女の魅力が120%
     発揮されている。本人もそうだけど、スタッフたちも皆いい仕事してる、って感じ。いやいや、何度も
     言うけど、侮れませんぞ(笑)
     http://www.amazon.co.jp/

NOTE 2010.2.5



 LE SAMOURAI/LES AVENTURIERS(OST)
     1967年製作のフランス映画『サムライ』『冒険者たち』のサントラの2in1である。共に、主演はアラン・
     ドロン、音楽担当はフランソワ・ド・ルーベ、両者にとって代表作に数えられる作品だ。
     『サムライ』は見たかもしれないが、内容はよく覚えてない^^; 確か、アラン・ドロンは冷徹非情な
     殺し屋の役だったかと。そのテーマ曲は、実にクールで無機質で、見事に殺し屋のイメージだ。メロディ
     らしいものはなく、シンセサイザーのシーケンスみたいなフレーズがオルガンによって奏でられる。
     時代を考えると、かなり斬新だったのではなかろうか。ボーナストラックとして、このテーマ曲の
     リミックスが収録されているが、今風にドラムマシンとかを追加しても、全く違和感ない所にも、その
     先見性が分かる(もっとも、個人的には、リミックスでのドラムマシンは不要と思うけど^^;)。フランソワ・
     ド・ルーベは、どこからこのアイデアを得たのか、実に不思議だ。さすが、天才と称されただけのこと
     はある。クールなテーマ曲だけなく、他の曲では、しっとりとジャズの香りを漂わせたりしており、曲に
     よっては南佳孝がやりそうな雰囲気だったりする(笑)。
     『冒険者たち』は、なんといっても、口笛による哀愁たっぷりのテーマ曲がたまらない。数あるフランス
     映画のテーマ曲の中でも、五指に入る名曲中の名曲と断言する。このメロディに歌詞を乗せてアラン・
     ドロンが歌う「愛しのレティシア」も収録されており、こちらも昔よく聴いただけに喜ばしい。当時、この
     アラン・ドロン・バージョンはシングルのみで発売され、映画では使われなかった、と聞いていたが、
     本CDのライナーによると、日本公開版では、エンディングで流れたそうな。当時のアラン・ドロン人気
     を窺わせる。他の劇中曲も、映像とシンクロして、すぐその場面が思い浮かぶものばかり。けど、音楽的
     には『サムライ』同様、かなり斬新なこともやっているので、映画を見てなくても楽しめると思う。
     と、どちらも、非常に優れたサントラであり、改めてフランソワ・ド・ルーベという人の才能には恐れ
     入った次第。彼は、1975年に36歳の若さで亡くなっているが、生きていれば、さらに素晴らしい
     作品を多数モノにしたであろう、と思うと、今さらながら残念でならない。
     http://www.amazon.co.jp/

NOTE 2010.1.24



 ARENA/DURAN DURAN
     1984年発表、全盛期のデュラン・デュランのパフォーマンスを捉えたライブ盤である。彼らは、ヴィジ
     ュアルはともかく、演奏は下手、というのが通り相場であったが、このライブ盤を聴いてみると、確かに
     高度なテクニックのバンドではないが、決して下手でもない、というのがよく分かる。シングル曲とそう
     でない曲を巧みに並べた選曲も申し分なく、初期デュラン・デュランの集大成とも呼ぶべき傑作であろう。
     この後、ロジャー・テイラーとアンディ・テイラーが相次いで脱退し、デュラン・デュランは3人組として
     再スタートを切る訳だが、次第にブラック・ミュージック寄りの音楽性にシフトして行くので、ニューロマ
     ンティックの旗手であった3rdまでのミステリアスな世界が楽しめる、という点でも貴重と言える。
     前述したが、デュラン・デュランは決して下手なバンドではない。このライブ盤も、観客の声を極端に
     絞っているので、臨場感には欠けるものの、レコードとは違う、ラフながらも熱い演奏が繰り広げられ
     ており、アレンジもほぼレコード通りではあるが、ライブならではのノリが感じられる。それを引っ張って
     いるのが、ジョン・テイラーのベースであり、特に2ndからの「ニュー・レリジョン」は素晴らしい。レコード
     よりテンポを上げ、グルービーなベースに先導されて、ダイナミックな演奏が聴ける。中間部のベース
     とギターの絡みなんて、ほんと聴いててぞくぞくするし、後半のボーカルとコーラスの掛け合いで盛り
     上がっていく展開もスリリング。このライブ盤のハイライトと言ってよかろう。
     あと、「7番目の男」や「ザ・ショーファー」のような静かな曲での、ゆったりとしたグルーブを紡ぎ出す
     ベース・プレイも絶品。テンポの速い曲での正確なリズムキープも見事だし、間違いなくデュラン・デュラン
     の核となっているのは、ジョン・テイラーである。フロントマンであるサイモン・ル・ボンも、やっぱり音程
     が怪しいものの(笑)、そのままレコードに収録してるあたりに、却って自信の程を感じたりして。サポ
     ートも、女性コーラス2人にサックスとパーカッションの計4人という必要最低限に抑え、基本的に5人
     で演奏しているのも自信の表れだろう。「プリーズ・テル・ミー・ナウ」で始まる構成もスマートだ。
     という訳で、傑作ライブ盤なのである。当時、デュラン・デュランをバカにしていた人に、今改めて聴いて
     貰いたいものだと思う。
     
http://www.amazon.co.jp/

NOTE 2010.1.16



 ALL THIS AND WORLD WAR U(OST)
     なんと、30年以上前に発売されて、それきりになっていた幻のアルバム(?)が、ついにCD化された。
     当時は、『第二次世界大戦』という邦題だったと思うが、いわゆるサントラである。映画自体は日本
     未公開で、大戦中に勢作されたニュース映画を元にしたドキュメンタリーらしい。
     そんな映画であるが、何故僕がサントラの存在を知っていたかというと、雑誌等に広告が掲載され、
     話題になっていたからである。というのも、この映画のサントラは、ビートルズの曲(レノン=マッカー
     トニー作品のみ)を、様々なアーティストがカバーしたもので構成されていたからだ。これがまた錚々
     たるメンバーで、ビージーズ、レオ・セイヤー、ブライアン・フェリー、ロッド・スチュワート、ロイ・ウッド、
     ジェフ・リン、フォー・シーズンス、ステイタス・クォー、ピーター・ガブリエル等々が顔を揃えている。
     デビット・エセックスやヘレン・レディ、リンジィ・デイ・ポールといった名前には、時代を感じたりもするが、
     大半が当時も今も第一線で活躍している大御所ばかりだ。キース・ムーンがソロ名義で参加してる
     のも珍しいかも。収録曲は、全てこのアルバムの為に録音された物ばかりらしいが、唯一エルトン・
     ジョンだけは、例のカバーシングルがそのまま収録されている。手抜きというか何というか(笑)
     カバーだけど、基本的にはオーケストラ・アレンジされたバック・トラックが用意され、各々それに合わ
     せて歌ったらしいが、なかなかに持ち味が出ていて面白い。ロッド・スチュワートによる「ゲット・バック」は、
     当時シングル・カットされ、FMでもよくかかってたけど、ロッド自身がアレンジしたみたいになってて
     カッコいい。ブライアン・フェリーの「シーズ・リービング・ホーム」もハマってるし、ピーター・ガブリエル
     による「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」を聴いてると、「ソールズベリー・ヒル」を思い出したり
     なんかして(笑)。レノン=マッカートニー作品だけに、曲の良さは実証済みだし、好き放題にやっても
     ある程度のクォリティは保証される訳で、なかなか安心して聴いていられる。破綻は少ないけどね(笑)。
     皆さん、ミョーにきっちりとした発音で歌ってるのも、なんとなく気になるが(笑)、まぁ良しとしましょう。
     と、それなりの内容のアルバムではあるのだが、長らく廃盤であったのは、やはり権利関係のせいか。
     大御所が多く参加してるにもかかわらず、その人たちのキャリアの中では、黙殺されたような感が
     あるのも、そのせいかな。ビージーズやピータ・ガブリエルが、こんなアルバムに参加してたなんて、
     知らなかったファンも多いのではなかろうか。なんか勿体ない。ま、めでたくCD化された事だし、是非
     聴いてみて下さい。ブックレットも豪華で、お買い得感高いよ(笑)
     http://www.amazon.co.jp/

NOTE 2010.1.4



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