最近のお気に入り
(バックナンバー4)

CD、小説、映画など流行に関係なく、また新旧を問わず
最近気に入ったものを紹介します。

MUSIC=音楽関係 BOOKS=書籍関係 MOVIE=映像関係



 BOOKSもっとおもしろくても理科/清水義範 え・西原理恵子
     作家という職業の人は、実に色々なことを知っていて、ただひたすら感心するのみだが、
     清水義範もすごい。この本は、普段は敬遠しがちな理科について清水義範が分かりやす
     く解説するシリーズの第二弾であり、多分最後だろうと思われる。で、読んでみると本当
     に分かりやすいのだ。進化論、ビックバン説、遺伝学、ロケット工学等々が取り上げられ
     ているが、どれも面白い。小学生の頃からいわゆる文系で理科は大嫌いだった僕でさえ
     、なんとなく興味がわいてくる内容になっている。ちゃんと勉強しないまでも、ちょっとした
     知識は吸収できるので、一気に話題豊富な人になれるし。非常に酒の席とかでも、役に
     立つ本だったりするのだ。西原理恵子の文章付イラストもいい。ともすれば、固い内容に
     なりがちなのを適当に落としていて面白い。
     ま、面白いわ、役に立つわ、でお買い得である。一度読んでごらん。

NOTE 2000.8.22



 MUSICVAVOOM!/THE BRIAN SETZER ORCHESTRA
     元ストレイ・キャッツのブライアン・セッツァーは現在オーケストラ名義で活動しており、
     仲々評価も高いようだ。この『ヴァヴーム!』は先月出たばかりの新作。初めてブライア
     ン・セッツァー・オーケストラを聴いたのだが、これが大変素晴らしい。
     買った動機はクイーンの「愛という名の欲望」のカバーが収録されているからだが、そん
     なことはどうでもよくなる位、このアルバムはいい。カッコいい。全編スウィングでロカビリ
     ーな世界なのだが、ロックに目覚める前に家にあったグレン・ミラーやビル・ヘイリーのレ
     コードを聴きまくっていた過去を持つ僕からすれば、完全にストライク!ってなもんである
     。前述のクイーンをはじめ、そのグレン・ミラーやボビー・ダーリンなどカバーが多いのも
     馴染みやすい要因だろうし、セッツァーによるオリジナルもノスタルジックな雰囲気いっぱ
     いで素晴らしい。こう書くと、古くさい音楽をやってるのでは、と思う人もいるだろうが、
     いい音楽は時代を超える訳だし、それにグレン・ミラーの曲などオリジナル通りのフレー
     ズを吹くブラスの音がサンプリングみたいに聞こえて、結構今っぽい雰囲気も醸し出して
     いるのだ。
     とにかく、“買い”です。全ての音楽ファンにお薦め。

NOTE 2000.8.9



 BOOKS探偵の冬あるいはシャーロック・ホームズの絶望/岩崎正吾
     こちらも三つ子の魂、に近いかも。あの有名なコナン・ドイル作のシャーロック・ホームズ
     物の本歌取り、もしくはパロディというか、とにかくシャーロック・ホームズをネタにした作
     品である。実は僕はホームズ物が大好きなのである。今でもミステリー好きだが、原点は
     シャーロック・ホームズにある。故に、本歌のみならず本歌取りや研究本なんかも面白
     がって読んでしまうのだ。その本家取りでは、僕が読んだ中ではジューン・トムソンという
     人によるシリーズがお薦めです。
     本題からそれたが、この作品は自分をシャーロック・ホームズだと思い込んでいる精神
     病患者と行きがかり上ワトスンという事になっている主治医が警察もお手上げの難(?)
     事件を解決する、という内容だ。ありがちだけど、ラストは予想外で結構楽しめる。事件
     の方も「バスかビル家のイヌ」「マダラノヒモノ」など、駄洒落じゃないかという感じだが、
     ちゃんと違う話にしていて、仲々良心的な作者である。森谷亭が登場したのには笑った。
     この辺は本家を知らないと分かりにくいかな。久しぶりに本家が読みたくなった。
     作者の岩崎正吾とう人を、不勉強ながら僕は知らないのだが、これまで横溝正史やエラ
     リー・クイーンの本歌取り作品を発表している人らしい。こちらも読んでみようと思う。
     ちなみに本家の作品では、長編なら『恐怖の谷』が一番好きです。短編はたくさんありす
     ぎてちょっと決められない。

NOTE 2000.8.7



 MUSICVAN McCOY
     三つ子の魂百まで、なんて言うが、かなり昔に熱中して聴いた曲をふと聴きたくなる事が
     よくある。音を持ってなかったりすると、衝動的に買ってしまったりする。そして、聴いて
     いるうちに20年以上昔へフラッシュバックしてしまったりなんかする。今回のヴァン・マッ
     コイが正にそれである。
     ヴァン・マッコイ、知ってる人はほとんどいないだろうな。70年代中期に「ハッスル」の大
     ヒットを出し、ディスコでハッスルダンスなるものを流行らせた人である。元々はソウル畑
     の作・編曲家で、今でも70’sソウルの名曲として人気の高いスタイリスティックスの
     「愛がすべて」はこの人のアレンジによるものだ。裏方からリーダー作を作るようになり、
     1975年に「ハッスル」を全米Y1にするのである。惜しくも1979年に亡くなってしまっ
     たが、そのヴァン・マッコイが1975年から76年にかけて発表した4枚のアルバムから
     セレクトされたのが、この『ヴァン・マッコイ』とタイトルされた編集盤である。おそらく日本
     編集であろう。そしてこれが当時ヴァン・マッコイが大好きだった僕のような者からすると
     おいしいとこてんこ盛りで、たまらない内容なのである。あえて不満があるとすれば「ハッ
     スル大地震(なんちゅう邦題じゃ!)」が収録されてない事くらいか。
     基本的にはディスコ、それもインストで軽くコーラスが入るというのがヴァン・マッコイの音
     楽の特徴で、B級かもしれないが親しみやすくて聴きやすい。ストリングスをあしらったサ
     ウンドも上品だ。当時はこの手の音楽が最もオシャレであった事を思うと、隔世の感があ
     る。とても懐かしく、ちょっぴり感傷にひたらせて貰った。これも音楽を聴く楽しみのひと
     つだろう。

NOTE 2000.8.4



 MUSICサマーナイトタウン/モーニング娘。
     ビデオにハマりついでに、一番好きな曲のシングルを買った訳である。しかし、2年前に
     出たシングルがまだ店頭にあるとは思いませんでした。次は「真夏の光線」か(笑)。
     それにしてもこの曲、映像抜きで聴いても非常によく出来ている。歌詞、メロディ、アレン
     ジ、歌唱が見事なまでに一体となっているのだ。これ以外の組み合わせは考えられない
     くらい。カラオケトラックを聴いて余計感心したのだが、バックのサウンドもこれまたすご
     い。ラテンっぽいリズムにワウをかけたギターがチャカポコと絡んで実にクールでカッコ
     良い。歌メロが盛り上がってるのに演奏はクールというのも、歌を引き立たせて見事。
     そんな素晴らしいバックにのせて、モー娘。の歌唱もどこか切なくて良い。アイドル歌謡
     のツボも押さえてるし、ほんとによく出来たシングルだと思う。
     後の「LOVEマシーン」ほど、記憶に残る大ヒットにならなかったのも却って良い。10年
     後にはカルトな名曲となっているだろう。

NOTE 2000.7.27



 MOVIE映像ザ・モーニング娘。ベスト10
     ついに買ってしまった、モーニング娘。(以下、モー娘。)のビデオクリップ集である。買う
     べきか買わざるべきか悩んでしまった。さすがの僕もレジに持っていくのはちと恥ずかし
     かったです(笑)。
     しかし、それだけの思いをして買っただけのことはある。とても満足のいく内容だ。要する
     にデビューからこれまでのビデオクリップを順に並べただけなのだが、増えたり減ったり
     増殖を繰り返すモー娘。もさることながら、つんくの書く曲が実に素晴らしい。馴染みやす
     く、しかも昨今のトレンドを巧みに取り入れ、一度聴いたら簡単には忘れられないフック
     の効いた曲作り、正に歌謡曲(=流行歌)の王道である。とにかく、「サマーナイトタウン」
     以降のシングルには駄曲がない。どの曲も10年経ってもカラオケなどで歌い継がれてい
     くのではないか、と思わせる佳曲ばかりだ。モー娘。も元気いっぱい、現在のJ−POPに
     おけるガールズポップ隆盛の頂点に立つのは間違いなくモー娘。であろう。シングルを
     重ねるにつれ、徐々に洗練されてくるのも実にアイドルらしくて良い。あまりに感動して、
     2度続けて見てしまいました(笑)。
     ま、とにかく、うちの還暦をとうに過ぎた両親も4歳になる姪も、そこいらの下校途中の
     小学生も、みんなが口ずさむモー娘。、彼女たちの天下は一体いつまで続くのか、当分
     目が離せない。

NOTE 2000.7.22



 MUSICTHE VERY BEST OF PUFFY〜amiyumi jet fever
     最近のJ−POP市場はベスト盤が大流行だが、ついにPUFFYのベストが出た。これま
     での全シングル11曲に、大貫亜美・吉村由美のそれぞれのソロシングル、アルバムトラ
     ック5曲、そして「これが私の生きる道」「愛のしるし」の北京語バージョンが収録され、
     全20曲。アルバムトラックを入れるより、シングルのカップリング曲それもアルバム未収
     録の曲を入れた方が良かったような気もするが、ま、文句のない内容ではある。
     しかし、PUFFYに関しては何の文句はないが、やたらベスト盤を乱売する最近の風潮は
     どうかと思う。だいたい今のJ−POPの売り方というか作り方、すなわちシングルを連発
     し、それらのシングル曲を詰め込んでアルバムを出し、そしてベスト盤を出す、というやり
     方には賛同出来ない。結局、レコードだってビジネスなのだから売れたもんの勝ちなのだ
     が、この方法ではヒット曲ばかりを聴くファンを作るだけで、じっくりとアーティストの音楽
     に接するファンは育たないのではないか。とにかくシングルを買い、アルバムを買い、
     ベスト盤が出たらそれまでに買ったCDを売り飛ばしてベスト盤を買う。このように音楽を
     ただ消費する人たちばかりが増えていく。これではアーティストは育たない。CDはごく
     限られた人のものが一時的に売れるだけで、しかもすぐ中古屋に山積みとなる。継続し
     てCDを買う人が少なくなれば、長い目で見ればレコード会社にとっても良いことはない。
     メガヒットが増えたおかげで、若くても耳の肥えた人も多くなっていると思う。ここいらで
     レコード会社も自社カタログの売り方をもう少し考え直してはどうだろう。長く聴き続ける
     ファンを作ることが、会社にとってもアーティストにとっても一番いいことではないか、と
     思うのだが。

NOTE 2000.7.15



 BOOKS刺青白書/樋口有介
      この人も好きな作家のひとり。軽快で洒落たミステリーを書く人だ。『刺青(タトゥー)
     白書』は樋口作品ではお馴染みの柚木草平(元警察官でバツイチのルポライター)が
     久々に登場して、殺人事件の謎を解いていくという内容だが、今回は柚木草平の出番
     はやや少なく、かわりに三浦鈴女という女子大生が登場する場面が多い。人気上昇中
     の女性タレントとテレビ局に就職が決まったばかりの女子大生が相次いで殺され、この
     二人と中学で同窓だった鈴女が柚木草平と知り合ったこともあり、事件に深くかかわっ
     ていく。調べてるうち、中学時代の出来事に事件の鍵が隠されているらしいことが分かり
     徐々に謎が解けていく、と毎度のことながらとても分かりやすく論理的に謎が明かされて
     いくので読みやすい。いじめ問題やトバシの携帯電話など現代的なキーワードも重要な
     役割を果たしており、エンタテイメントとして一級品の出来となっている。肩も凝らず、
     お薦め。
     樋口有介の作品で、柚木草平が登場するミステリーは『たぶん彼女は魔法を使う』
     『初恋よ、さよならのキスをしよう』『名探偵は今夜も憂鬱』などがあり、どれも面白い。
     柚木草平はなぜか女にモテまくるのだが、失礼ながら僕は作者自身があまりモテない
     ので、その反動でモテる男を書いているのでは、と疑っている。どうでしょうか? 
     その他の樋口作品、デビュー作のミステリー『ぼくと、ぼくらの夏』、文明批評が強烈な
     異色作『楽園』あたりもお薦めです。是非読んで下さい。

NOTE 2000.7.14


 MUSICMISSION:IMPOSSIBLE 2(OST)
     この夏話題のトム・クルーズ主演映画のサントラ盤である。何故買ったかというと、フー・
     ファイターズ&ブライアン・メイによる「ハブ・ア・シガー」のカバーが収録されているから
     だ(オリジナルはピンク・フロイド)。これが実に素晴らしいのである。さすがブライアン、
     もちろん以前からこの曲をやってたというフー・ファイターズも大したもんだが、とにかく
     クイーンファンの僕としては大満足。オリジナルを知ってる人ならきっと楽しめるはず。
     で、「ハブ・ア・シガー」以外でもこのアルバム、仲々である。参加アーティストは御大メタ
     リカをはじめ、リンプ・ビズキット、ロブ・ゾンビ、バックチェリー等々現在のアメリカの
     主流ロックのサンプル盤みたいな感じ。結構カッコいい。特にテーマ曲を手掛けるリンプ
     ・ビズキットが気に入りました。新しいロックを手軽に聴いてみたいという方にお薦め。
     だけど、このアルバム全部聴いてみると、前述のブライアンやメタリカを除けばデジタル
     系か轟音系ばかり、という印象。今の主流はやっぱりこの辺なのか。ちょっと淋しい気も
     する。

NOTE 2000.7.5



 BOOKSグランドクロス・ベイビー/栗本薫
     栗本薫という作家は、僕は昔から好きでよく読んでいるのだが、これは新刊が出た時は
     買っておらずこの度文庫で初めて読んだという次第。何故、買わなかったかというと本棚
     でこぼこするので、僕はハードカバーか文庫しか買わない事にしており、この「グランド
     クロス・ベイビー」はノベルスか何かだったのだ。
     で、内容なのだが、ずばりポルノ小説なんである。著者本人の解説によると、スポニチに
     連載されていたそうで、栗本先生いわく、「助平親父どもを一所懸命勃起させよう」と頑張
     っていたのだそうだ。その努力が実を結んだかどうかは、読んだあなたが判断して下さい
     (笑)。
     まあ、ポルノ小説ではあるものの、主人公のサッチなる女子高生の心情がよく書けてい
     る、と思う(女子高生のことはよく分からないのだが)。優等生でも不良でもまた普通でも
     ない、いわば居場所のない高校生の心理を書かせたら、この人はうまいと思う。近頃気
     になるマンネリ気味な所もなく、素直に面白く読めた。そして、少し悲しくなった。

NOTE 2000.6.27

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