最近のお気に入り
(バックナンバー18)

CD、小説、映画など流行に関係なく、また新旧を問わず
最近気に入ったものを紹介します。

MUSIC=音楽関係 BOOKS=書籍関係 MOVIE=映像関係



 MUSICAMERICAN LIFE/MADDONA
     マドンナの約3年振りとなる新作。メディアの酷評を浴びながらも、ビルボードのアルバム・
     チャートで初登場bPを記録、健在ぶりをしっかり見せつけている。
     今回話題になっているのは、その歌詞世界のようだ。タイトル曲では“私達は豊かに
     なったけど、本当にそれは幸せなことなのか?”と、母国アメリカの繁栄に疑問を投げ
     かけているそうだし、2曲目の「ハリウッド」ではズバリ栄華の都の退廃を歌っているらしい
     (歌詞カードちゃんと見てないのです、すいません)。元々、最先端をいくサウンドに乗せて
     非常にショッキングな歌詞を歌い、そしてこれまたショッキングなビデオクリップを作って
     物議を醸してきた人だけに、別に驚くことではないのだが、サウンドと共にその歌詞世界
     もかなり変化してきた事は間違いない。実際に、冒頭の「アメリカン・ライフ」、2曲目の
     「ハリウッド」、この2曲の印象は強烈である。とことん装飾を削ぎ落とされたシンプルな
     サウンドにシンプルな言葉、たとえ歌詞の意味は分からなくてもマドンナの歌が実にリア
     リティを感じさせ、聴く者の心を捉えずにはおかない。加えて非常にキャッチーでもあり、
     楽曲として申し分のない出来映えなのだ。この2曲でノックアウトされ、後はそのまま一気
     に聴いてしまう。いつになくメロディが分かりやすく、ストレートに単語が聞こえてくる曲が
     多いのも、本作の特徴のひとつだ。前作『MUSIC』と同じく、ミルウェイズ・アマッザイと
     の共同プロデュースで、彼自身によるギターがマドンナの歌と絡んで素晴らしい効果を
     上げている。傑作と言っていいアルバムだと思う。
     80年代にヒットを放ったスターたちの多くが90年代以降失速しているのを尻目に、常に
     第一線に立ち続けるマドンナ。この人やっぱり凄い。デビュー当時、彼女がこんなアーティスト
     になるなんて誰が予想しただろうか?

NOTE 2003.5.10



 BOOKS六枚のとんかつ/蘇部健一
     一口にミステリーといっても様々で、ここ数年幅をきかせているのが“新本格”と呼ばれる
     スタイルのものだ。ま、要するに、様々なトリックを駆使して特殊な状況下における特殊な
     殺人事件を作りだし、それを名探偵が解決する、というミステリーだと思えばよい。かつて
     ミステリーの主流だった本格推理というのを現代に甦らせたものと言っていいと思うのだが、
     僕に言わせると“新本格”の連中は初めにトリックありき、という感じでトリックを披露する
     為にミステリーを書いているような気がする。小説を面白くする為にトリックを用いるので
     はないのだ。音楽に当てはめるなら、様式系HR/HMみたいなもんで、まず形から入ってる
     のである(笑) ま、今やパンクもプログレも単なる様式でしかないんだけどね(爆)
     そんな形ばかりの“新本格”に対するアンチテーゼと言ってもいいのが本書である。出版
     当初あちこちから糞味噌に言われたらしいが、結果として、とことん“新本格”とやらをこき
     下ろす内容になってしまっている(作者の意図は不明だが)のだから仕方のない事だろう。
     本書では探偵や刑事ではなく、保険会社の調査員が登場し、殺人事件の容疑者の鉄壁の
     アリバイを崩したり(崩そうとしたり)、衆人環視の中で忽然と消えた宝石を必死で探したり
     なんかして事件を解決する為に奔走するのである。そのドタバタ加減がすごくおかしくて
     バカらしい(笑) トリックばかりに血道を上げている“新本格”がだんだん下らない物に
     思えてくるのだ。そりゃ、そっちの連中には顰蹙買うよな(爆)
     以前、ひたすら様式を追求するだけになってしまった“新本格”への批判と自戒を込めて、
     東野圭吾は『名探偵の掟』という傑作を書いた。これに比べれば『六枚のとんかつ』の方
     がバカ度は上だが、言わんとする所は同じなのではないかと思う。またしても音楽に当て
     はめるなら、HR/NM界における聖飢魔UやSex Machinegunsの存在と似たような
     ものがある(笑) 分かって頂けるだろうか(爆) ま、少しでも様式にばかりこだわる事の
     愚かさに気づいて欲しいものだ。

NOTE 2003.5.6



 MUSICTERENCE TRENT D’ARBY’S GREATEST HITS
     なんとテレンス・トレント・ダービー(以下TTD)のベスト盤なのである。ほんと、突然出た
     って感じ(笑) 皆さん、覚えておられました? ここ数年名前聞かないけど一体どうして
     るんだろう、と思っていたが、CDのライナーによると、1998年頃当時所属していたソニー
     から発売予定だった新作がお蔵入りとなり、結局ソニーを離れてサナンダ・マイトルーヤ
     と改名し、自身のホームページでお蔵入りになったアルバムのダウンロードを開始、
     その後ドイツのレーベルと契約してアルバムを正式に発売(日本盤も出たらしい、知らな
     かった)、現在はミュンヘンを拠点に活動しているそうだ。
     思えばTTDが「ウィッシング・ウェル」の全米bPヒットで、彗星の如く登場したのは1988年
     頃のことだったか。新世代のR&Bとしてプリンスの後継者みたいに言われたりもしたが、
     2ndの『N.F.N.F.』の評判があまり良くなく、続けて『シンフォニー・オア・ダム』や
     『バイブレーター』といった優れたアルバムを発表するものの、結局1stほどのヒットには
     ならなかった。で、すっかり世間から忘れ去られてしまったという訳だ(人の事は言えないな)。
     彼も浮き沈みの激しい人生だったんだな、なんて思いながらこのベスト盤で改めてTTD
     のヒット曲を聴いてみると、R&Bの要素はあるけど、それ以上にロック色の強い音作りを
     しており、黒人なんだからR&Bだろうなんて勝手にイメージを作り上げられてしまった
     のがTTDには不幸だったのだろうな、と思わざるを得ない。そういえば、TTDがデビュー
     した頃、雑誌でインタビューを読んだ事があるが、「ジャーニーやフォリナー、キッスなど
     が好きだった」なんて発言があり、意外に感じたのを覚えている。デビュー当初TTDを
     絶賛した渋谷陽一なんて「ジャーニー好きな黒人なんかサイテーだ」とひどい事を言って
     たなぁ(笑)
     それと、ライナーにも書いてあるが、TTDという人はどうも業界に馴染めなかったらしい。
     ミュージック・ビジネスの世界を才能だけで渡っていこうとするのはほとんど不可能で、
     シンガーとしてもソングライターとしても非凡なTTDが、そのせいで才能を十分に開花
     出来なかったという辺りに、(彼にとってもファンにとっても)最大の不幸があったと思う。
     ま、彼も改名して頑張っているようだし、再び表舞台に立ってくれる事を信じてこのベスト
     盤を楽しみましょう。ジャンル分けはちと難しいけど、TTDは本当に素晴らしいアーティスト
     なんである。今回それを再認識した次第です。

NOTE 2003.4.23



 BOOKS火の粉/雫井脩介
     雫井脩介という作家の事は何も知らないのだけど、この『火の粉』は新聞や週刊誌の
     書評コーナーでかなり取り上げられていたので、興味を持って買ってみたという次第である。
     評価はまちまちだったけど、非常に面白い。これまた一気に読んでしまった(新刊なんて
     決して安くないのに、すぐ読んでしまうと勿体ないなぁ...爆)
     あちこちで紹介されているので内容をご存知の方も多いだろう。ある裁判官が一家皆殺し
     事件の被告を無罪にするのだが、その被告が裁判官の隣に引っ越してくる。そして裁判官
     の家庭に徐々に入り込んでくるのだが、それから不可解な出来事が裁判官の家族の周り
     で起こるようになる。果たして隣人は関係しているのか?彼を無罪にした判決は本当に
     正しかったのか?一体彼は何者なのか?目的は何なのか? 謎が謎を呼び、衝撃的な
     ラストまで一気に引っ張っていく。いやほんと、途中では止められない。この小説を読み
     終えた時、あなたは他人というものの存在が恐ろしくなっていることだろう(笑) ま、それ
     くらいストーリーがリアリティを持って迫ってくるのですよ。僕も、人付き合いを考え直さなく
     ては、なんて思ったもんね(爆) 汝の隣人には注意しませう。
     殺人事件の被告の判決をたった一人の人間の判断に任せてしまう事の危険性や、赤の
     他人の一言で家族の心がバラバラになってしまう脆さ、犯罪者が大手を振って歩いている
     恐ろしさ等々読んでいくうちに背筋が寒くなってくる小説である。一応ハッピーエンドなので、
     救われるけど(笑) 是非ご一読をお薦め致します。

NOTE 2003.4.20



 MUSICCRY/FAITH HILL
     去年出ていたフェイス・ヒルの新作。ちょっと前に『パール・ハーバー』の主題歌を歌ってた
     んで、あなたもですか〜、なんて心配していたが(笑)、本作を聴く限りでは彼女には
     バラードシンガーの道を目指そうという気はないらしい。安心した(笑)
     この人にはとてもロック的なものがあると以前から思っていた。先日のグラミー賞授賞式
     でもパフォーマンスを披露していたけど、照明を背にして登場した彼女のなんとカッコ
     良かったことか。“ディーバ”というより“ロック・クイーン”という言葉の方がしっくりくる
     佇まいだった。ジャケット写真などを見ても、確かに美人なんだけど、“きれい”というより
     “カッコいい”と思わせるタイプ(この感じ、分かって頂けます?)。アルバムに2〜3収めら
     れているロック調の曲がこれまたカッコいいし、タイトル曲をはじめバラードというかスロー
     な曲が多いのだが、どれも骨太なサウンドだ。やたら仰々しい(けど核のない)アレンジと
     サウンドに乗せてひたすら声を張り上げるタイプのシンガーではない事がよく分かる。
     そう、彼女は“ロック・クイーン”なのだ!
     こうなった以上は是非フェイス・ヒルに“世界一美しいロック・クイーン”を目指して貰い
     たいものだ。間違ってもマライアやセリーヌみたいな路線に進んで欲しくはないな(笑)

NOTE 2003.4.7



 MUSICODESSA/BEE GEES
     今年1月のモーリス・ギブの訃報を聞いてブチ上げた“ビージーズ補完計画”だが、
     思うように進まない。一応言い訳させて頂くと(笑)、とにかく店頭にないのである。レコード屋
     に行くと、真っ先にビージーズのコーナーをチェックするのだが、あるのはベスト盤ばかり、
     オリジナルアルバムには滅多にお目にかかれない。一体、どういうことだ? モーリスの
     死後、ビージーズのアルバムが売れに売れて入荷が追いつかないのか、ほとんどが廃盤で
     入荷したくしても出来ないのか。そんな訳で、仲々手に入らないのだが、それでも4枚の
     アルバムを手に入れた。『Odessa(’69)』『2 Years On(’71)』『Trafalgar(’71)』
     『To Whom It May Concern(’72)』の4枚である。中でも、この『Odessa』は
     出色の出来だ。当初2枚組LPとして発表され、コンセプト・アルバムのような趣だが、
     「メロディ・フェア」「ギブ・ユア・ベスト」「若葉の頃」といった、後に『小さな恋のメロディ』
     にも使われた曲が収められているので馴染みやすい。この3曲以外もさすがビージーズ
     てな感じの佳曲ばかりで、2曲入ってるインストもいいアクセントになっており、聴き応え
     十分だ。初期の代表作と言ってもいいのでは。
     この頃のビージーズは誰が言ったか“田園フォーク”路線で、この4枚でもアコギやピアノの
     控えめなバックにオーケストラ(ストリングスだけではないのだ)が絡み、ビージーズ独特の
     頼りなげなボーカルとハーモニーを引き立てる、というスタイルはしっかり確立されている。
     ただ、そのパターンで何枚ものアルバムを立て続けに出していたのがこの頃の彼らであり、
     やはりマンネリ化は避けられなかったのだろう。1972年頃からビージーズが失速し始め
     たのはそのせいではないか。しかし、アコギが基調とは言うものの、フォークやカントリー
     風ではなく、どちらかというとブリティッシュ・トラッド寄りのサウンドは一種サイケデリックで
     あり、プログレッシブでもある。ビージーズは単にヒット曲を出すだけのグループではなく、
     昔からコンセプチュアルなアルバムも作っていたのだ。それを可能にしたのが、美しい
     メロディを紡ぎ出す才能にあったのは間違いない。やはり、ベスト盤だけでは本当の彼ら
     の姿は掴みにくいと思う。
     この後、彼らはアリフ・マーディンを迎えて路線変更を計り、それが70年代後半の大成功
     に繋がっていく訳だが、それ以前の“田園フォーク”路線も捨てがたい。機会があれば、
     是非多くの人に聴いて貰って、初期ビージーズの良さを再発見して欲しいと思う。だけど
     続けて聴くと確かに飽きるかもね(笑)

NOTE 2003.4.4



 MUSICHOOTIE & THE BLOWFISH
     誰が呼んだか“アメリカン・ロックの良心”フーティー&ザ・ブロウフィッシュの、実に3年半
     振りとなる新作が出た。オリジナル・アルバムとしては4作目にしてバンド名をタイトルに
     もってきたあたりに彼らの気合と自信を感じてしまうが、中味も実に充実した仕上がりで
     聴き応え十分、もしかしたらあのバカ売れした1st以来の傑作かもしれない。
     このバンドの魅力はカントリーやフォークに根ざした親しみやすい曲調とダリアス・ラッカー
     の声、そして和気藹々としたムードの漂うバンドサウンドだろう。この新作でもそこいらは
     全く変わっていない。冒険心が無さ過ぎるとか、新しい物が感じられないとか、批判めいた
     事も耳にするが、それでもデビュー以来良質なアルバムを作り続けているのだから、
     ケチをつけるのは筋違いというもの。アメリカン・ロックといえばザ・バンドやバーズくらい
     しか頭にない連中からすると、B級の香り漂う彼らの音楽は批判の対象でしかないのだろう
     けど、フーティー&ザ・ブロウフィッシュが多くの支持(それもアメリカ人の)を集めている
     のは、その音楽が十分に大衆にアピールするものを持っているからだ。そのこと自体が
     素晴らしい事ではないか。言っとくけど、ザ・バンドなんてちっとも“良心”じゃないよ。
     あれだけの成功を納めても、しっかりと地に足をつけて地道な活動をしている彼ら、聞けば
     無名バンドの為にレーベルを設立したりもしているらしい。なかなかの苦労人と見た(笑)
     ここいらも良心と呼ばれる所以か。
     新作についてあまり触れてないけど、この手の音楽は能書きを垂れるより、まず音を聴いて
     楽しんで欲しい。ほんと、いいですから。なんてレビューになってないな(笑)

NOTE 2003.3.20



 BOOKSK・Nの悲劇/高野和明
     現在『13階段』が映画化されて公開中の高野和明の最新作。今度のは、いわばホラー
     である。はっきり言って文句なしに怖い。この人、なかなか大したもんだ(←偉そーに...爆)
     若いノンフィクションライターとその妻は子供が出来たものの、購入したばかりのマンション
     での快適な生活を手放す気になれず、中絶を決意する。が、その直後妻に異変が起こる。
     何者かが彼女に憑依したのだ。子供を殺させはしないと彼女は叫ぶ。妄想症として治療
     にあたる精神科医、子供を生ませるか堕ろすかで揺れ動く若き夫。この3者の葛藤を
     バックに恐るべき物語は展開される。妻に取り付いた女は誰か? 一体何が目的なのか?
     堕胎を思いとどまれば消えてくれるのか? 次から次へと謎が解き明かされ、そして意外
     な結末へ...赤ん坊はどうなる? 妻は? ともう、怖いわ面白いわで、ページをめくる
     のがもどかしい、とは正にこのことであろう(笑)。
     以前に紹介した『13階段』もそうだったけど、単に面白いだけでなく、深いテーマが盛り
     込まれているのが、この高野和明という人の凄い所だ。本作も中絶の是非が全編を貫く
     テーマとして示され、そこに精神病治療の実例や問題点などが絡み、非常に読み応えの
     ある小説となっている。経済的理由から中絶を決める夫、頑なに全てを科学的・医学的
     に考えようとする精神科医、といった登場人物に共感したり反発したりしながら読んでいく
     のも楽しい。彼らが、最後には人間として一回りも二回りも成長していくのを見る事が
     出来るのも、この怖い小説の結末を爽やかなものにしている。二重三重に渡って楽しめる
     小説と思います。あっ、一応言っときますけど、ホラーとはいえ決して凄惨な結果に
     なったりしないので、心臓の弱い方も安心してどうぞ(笑)

NOTE 2003.3.14



 BOOKSハサミ男/殊能将之
     色んな人に面白いと薦められて読んでみた。やはり、皆さんが推薦するだけあって大変
     面白い。icさん、あなたの眼は確かです(笑)
     タイトルだけ見ると不条理小説みたいだが(そう思うのはお前だけだって)、中味はいわゆる
     ミステリーである。「ハサミ男」とは、女子高生を殺して喉にハサミを突き刺す殺人鬼のこと。
     このハサミ男が語る部分と、事件の捜査にあたる警察を描いた部分とが交互に出てくる
     構成。一応ミステリーだけど、謎解きよりハサミ男の内面を描写した部分の方が断然面白い。
     もちろん、意外な犯人、結末のどんでん返し、といったミステリーに欠かせない展開は
     ちゃんと用意してあるし、読者をあっと言わせるに違いないトリックも仕込んである。
     だけど、単にミステリーの一言で片づけてしまう訳にはいかない小説だ。毎度のことながら
     詳しい事は言えないのだが(笑)、ハサミ男の日常を淡々と描写しながら内面を浮き彫り
     にする過程が普通のミステリーとは一味も二味も違っていて、ま、とにかく面白いんですよ。
     このハサミ男ちょっと病気だったりするし(あー、これも言うとまずいな)。
     いつもこればっかで申し訳ないけど、一度読んで頂くしかないかな(笑) それからまた
     「ハサミ男」について語りましょう(爆)

NOTE 2003.3.4



 MUSICDO IT FOR LOVE/DARYL HALL & JOHN OATES
     去年の来日公演も記憶に新しいホール&オーツの、実に久々の新作である(なんでも
     5年半振りらしい)。その来日公演でも演奏されたタイトル曲以下全14曲(日本盤には
     ボーナス・トラックとして「プライベート・アイズ」のライブ・バージョンを収録)、グレードの
     高い曲が並び、さほど熱心なファンでない僕でさえ快哉を叫びたくなるほど素晴らしい
     出来なのだよ、これが(笑)
     なんたって、冒頭を飾る「Man On A Mission」がいい。シングルにもなったこの曲、
     軽やかな曲調といいキャッチーなサビのメロディといいダリル・ホールの歌いっぷりといい
     一種独特のコーラスといい、どこを取ってもホール&オーツそのものって感じの曲だ。
     レコード屋の店頭でふと耳にした時、すぐにホール&オーツだっ、て思ってディスプレイを
     見に行ったらやっぱりホール&オーツだった。それくらいの曲なのだ(よく分からんぞ)。
     歌詞もいい。「僕は君を愛するという使命を帯びている」なんて、キザというかなんというか(笑)
     是非ともヒットして欲しいなぁ、ホール&オーツはまた終わっちゃいないって事を世間に
     知らしめて貰いたい。こんないい曲、一部のファンたけで楽しんでしまっては勿体ないよ(爆)
     プロデューサー陣には、お馴染みのT・ボーン・ウォークの他、ブライアン・ローリングや
     グレッグ・フィッツジェラルトといった若手が名を連ね(知らない人ばかりだけど)、ホール
     &オーツの世界に新しいエッセンスを注入してるって感じ。個人的にはグレッグ・フィッツ
     ジェラルドが絡んだ曲が気に入ってしまった。ヒップホップ・テイストのホール&オーツも
     悪くない。サウンド的にはアコースティック・ギターを前面に出した所が現代のR&Bぽくて、
     しっかり今風の音になっているのはさすが。かつてヒット・メイカーの名を欲しいままにした
     だけのことはある。2〜3例外はあるものの(笑)曲も粒よりだし、歌唱力には定評あるしで、
     サウンドに負けず、聴き応えのあるアルバムとなっている。これは“買い”ですよ、皆さん(笑)
     去年に引き続き来日するそうで、この素晴らしい新作と共に盛り上がって欲しいもの。
     だけど、クレジット上はジョン・オーツの影が薄いのが気に入らんなぁ(笑)

NOTE 2003.2.14


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