最近のお気に入り
(バックナンバー25)

CD、小説、映画など流行に関係なく、また新旧を問わず
最近気に入ったものを紹介します。

MUSIC=音楽関係 BOOKS=書籍関係 MOVIE=映像関係



 MUSICTHICK AS A BRICK/JETHRO TULL
     この春最大のイベント(笑)ジェスロ・タルの来日公演も無事終わった。大変素晴らしい
     ライブだったのだが、レボートは「覚書」をご覧頂くとして、やや残念だったのは僕が見に
     行った5月11日には「ジェラルドの汚れなき世界」を演奏しなかった事である。翌12日
     には演奏されたらしい。聴きたかったなぁ。
     という訳で、1972年発表、ジェスロ・タルにとって通算5作目にして最高傑作・代表作と
     の呼び声も高いのが、この『ジェラルドの汚れなき世界』なのである。確かに素晴らしい。
     非の打ち所ナッシング。タルの代表作と言うだけでなく、70年代ブリティッシュ・ロックが
     世界に誇るべき名盤であろう。どんな褒め言葉も、このアルバムに対してはちっとも大げさ
     ではないのである(笑) ご承知の通り、LP一枚を丸ごと使ったトータル45分近い大作
     であるが、長いのはちっとも気にならない。イアン・アンダーソンの弾き語りによる導入部
     が実に素晴らしく、この部分だけでも立派に楽曲として完成しているのだが、その後の
     展開がまた凄い。高度な技術と音楽性に裏打ちされた隙のないアンサンブルに変幻自在
     のメロディラインが絡み、溢れんばかりのアイデアと相俟って実にスリリングだ。ワクワク、
     ドキドキしながら聴き入ってしまう。クラシックやジャズの要素を取り込みながらも、あくまで
     ロックであるのがまたカッコいいし。う〜む、やはり素晴らしい。是非生で聴きたかった。
     正に“一家に一枚”の名盤でしょう、これは。他に言うことなし(笑)

NOTE 2005.5.14



 MUSICロンリーガール/加藤ミリヤ
     この曲、コンビニで偶然耳にしてから気になっていたが、某テレビ番組のエンディングに
     流れていたのを見て、曲名及び歌手名が判明したので、早速買ってきた。歌っている
     加藤ミリヤとは、去年デビューしたR&B系シンガーソングライターでまだ16才だそうな。
     で、この「ロンリーガール」のどこがそんなに気になっていたのかというと、この曲モロに
     「セクシャル・ヒーリング」なのである(笑) あまりにも大胆なので、却って興味が湧いた
     という訳だ。で、クレジットを見てビックリ。作詞・作曲に、加藤ミリヤと共作とはいえ、
     松本隆と筒美京平の名前があるではないか!こりゃ驚いた。で、じっくり聴いてみると、
     最近は当たり前となったサンプリングではなく、改めて作られたバックトラックである所が、
     同じパクるのでも昔っぽいな、という感じがした。ま、上手いこと違う曲に仕立てていて、
     見事な出来映えである。なかなかセンスの良い音だ。筒美京平は、この曲にどんな関わり
     方をしたのだろう?歌詞の方は、今どきの16才って感じで、可もなく不可もなくってとこ。
     正直言うと、僕などは全くシンパシーは感じないが、かといって敬遠するほどでもない。
     どの程度のヒットなのか知らないけど、新しいタイプの歌謡曲としていい線いってるのでは
     なかろうか。ついつい2度・3度と続けて聴いてしまう曲だ。なんといっても、そういう楽曲
     に筒美京平が関わっている、というのが重要なのである(笑)
     カップリング曲は2曲共、加藤ミリヤの単独作。この人、楽器を弾きながら曲を作るのでは
     なく、バックトラックを聴きながら作るタイプのようだ。どちらも割といい感じです。
     将来性...う〜ん、分からん(笑)

NOTE 2005.4.26



 MUSICSONGS FROM THE WOOD/JETHRO TULL
     続いては、ジェスロ・タル1977年発表の『神秘の森〜ピブロック組曲』である。これが
     また凄いアルバムなのだ。表現する言葉に困ってしまう。彼らのアルバムの中では、最も
     フォーク/トラッド色が強い、という事だが、プログレッシブな展開も見せる立派なロック・
     アルバムである。実に素晴らしい。発表された当時はあまり歓迎されなかったらしいが、
     ファンの中にはこのアルバムを最高傑作として推す人も多いそうで、そうだよなぁ〜と納得。
     緊迫したムードはなく、終始リラックスした雰囲気が漂っているが、よく聴けばやっぱり
     凄い事をやっている。あまりのカッコ良さにため息しか出ない「女狩人」、摩訶不思議な
     イントロのフレーズにポップなメロディが意外な「カップ一杯の不思議」、軽やかなアコー
     スティック楽器の音色が楽しい小品「緑のジャック」、ケルトともトラッドともつかない中間部
     を挟み込んだ大作「ピブロック組曲」等々、全く捨て曲なし、完璧な構成にただひれ伏す
     のみ。タイトル曲(アルバム邦題が『神秘の森』、曲邦題が『大いなる森』、これはちと
     ややこしいぞ)のアカペラで始まりプログレッシブな展開になだれ込んでいく様も圧巻。
     民話や伝承にヒントを得たと思しき歌詞世界も相俟って、本当に凄いアルバムだ。この
     年になるまで聴いた事がなかったなんて、自分は一体何をしてきたのか、と恥じ入って
     しまうばかりの名盤である。とにかく絶賛するしかない。未聴の人は今すぐ聴くべし(笑)

NOTE 2005.4.19



 MUSICMINSTREL IN THE GALLERY/JETHRO TULL
     いよいよ待望のジェスロ・タル来日公演も秒読み段階に入った。それに備えてという訳
     でもないだろうが、今月タルのCDが再発される。で、早速買ってしまったのだが、今回
     紹介する『天井桟敷の吟遊詩人(やっぱ、邦題でなきゃ...笑)』は1975年発表、
     それまでの大作志向からアコースティック色を強めた作品であり、いわば転換期の作品。
     とはいえ、隙なく構築された世界は見事としか言いようがなく、当時のタルがイエスやクリ
     ムゾンといったプログレの老舗たちに匹敵するアイデアと技術を有していた事を証明する
     傑作ではなかろうか。確か、この頃から重厚長大のプログレは、失速を始めたような気
     もするのだが、そんな事は関係なく実に素晴らしいアルバムである。若い人にも是非聴いて
     貰いたい(笑)
     前述したように、アコギの響きが耳に残るアルバムであるが、なんといっても白眉はタイ
     トル曲と「ベイカー・ストリートの女神」だろう。どちらも長い曲だが、アコギによる叙情的
     なパートとハードでプログレッシブなパートが無理なく同居しており、スリリングな展開は
     聴く者を釘付けにする。クラシカルな雰囲気もたっぷりで(イアン・アンダーソンのフルート
     による所が大きい)、且つ英国らしい気品も感じられ、凄いと言葉しか出てこない。タルと
     いえばイアン・アンダーソンなんだが、メンバーたちの力量もハイレベル。特にギターの
     マーティン・バレ(バーと発音するのが正しいという説も)、一見地味だけど多彩で的確な
     プレイは素晴らしい。ギター小僧は見習うべき。いやいや、聴けば聴くほど虜になるバンド、
     それがジェスロ・タルって訳だ。ま、どう努力してもこれ以上の言葉は出てこないので、
     止めときましょうね(笑) とにもかくにも傑作である。

NOTE 2005.4.16



 MUSICFACES & NAMES/DAVE PIRNER
     以前にもちょっと触れたが、ご存知(?)ソウル・アサイラムのボーカルでありメイン・ソング
     ライターでもある、デイブ・パーナーのソロ・アルバム。2002年に出ていたそうだ。アマ
     ゾンのレビューには、バンドでは見られない彼の違った一面を見る事が出来る、と書いて
     あるが、やはり良くも悪くもソウル・アサイラムはデイブ・パーナーなのだ、というのが非常
     によく分かる内容になっている。この人、ソングライターとしてはとても優れた人だけど、
     そんなに器用という訳ではないようだ。作る曲には独特の色があり、それがソウル・アサ
     イラムの核になっているのは間違いない。従って、“えっ、デイブ・パーナーって、こんな曲
     も書けるの?”という驚きはないが、収録曲はどれも安心感のある味わい深いものばかりで、
     虜になってしまうアルバムである。そう、正にソウル・アサイラムそのものなのだ。せっかく
     ソロを作るんだから、ちょっと違った事をやってみようというのではなく、バンドが出来ない
     フラストレーションをそのままぶつけた、という感じ。この間にソウル・アサイラムがレコー
     ディングを行っていれば、ソロ・アルバムではなくバンドのアルバムになったのではないだ
     ろうか。メンバーが違うから、ソウルアサイラムと同じ音にはなっていないけど、このアル
     バムに強く感じるのは、ソウル・アサイラムの精神なんである。多分、作った本人が一番
     よく分かっているのでは。
     ま、そんな訳で、イヤでもレコーディング活動を再開したというソウル・アサイラムに期待
     してしまうアルバムである。もちろん、素晴らしいアルバムであるのは間違いない。アメリ
     カン・ロック好きにはお薦めです。

NOTE 2005.4.3



 MUSICCHILDREN OF THE WORLD/BEE GEES
     多少寄り道はしてるものの(笑)着々と進む“ビージーズ補完計画”、今回は1976年
     発表の『チルドレン・オブ・ザ・ワールド』である。当時を知る人は、70年代後半のビー
     ジーズ=ディスコというイメージが根強いと思うけど、実はディスコとして作られたのは、
     唯一この曲だけなんじゃないかと思われる「ユー・シュッド・ビー・ダンシング」の大ヒット
     を生んだアルバムだ。アリフ・マーディンと組んだ『ミスター・ナチュラル』『メイン・コース』
     で確立した路線からやや離れ、全編ディスコというかフィリー色が強い。曲もメロディ云々
     より印象的なリフレインを作り出す事に重点が置かれているようだし、この頃から目立ち
     始めた金属的なファルセットやシンセをメインにしたアレンジのせいもあって、ライナーに
     もあるように“シンフォニックなポップス”って感じ。おそらく、ビージーズの全アルバムの
     中でも、これだけディスコ(=売れ線?)に徹したのは珍しいのではなかろうか。20数年
     の時を経て、改めてそう感じた。この頃のビージーズやアバが、後の打ち込み系ポップス
     やブラコンに与えた影響は大きいと思う。そういう意味で重要なアルバムだが、そういう
     意味はなくても名盤だ(笑) 「ユー・シュッド・ビー・ダンシング」なんて今聴いても本当に
     カッコいい。ディスコと言っても単に“四つ打ち”ばかりではないよ。前述したように、スト
     リングスやギターのカッティングがフィリー風で、実にグレードの高いポップスである。
     やっぱりビージーズは素晴らしい。
     所で、このアルバムと一緒に『The Bee Gees Songbook』というCDを買った。
     ビージーズ・プロデュース作品とカバー作品を集めたコンピである。これも仲々よろしい。
     プロデュース作品ではもろビージーズって曲もあるが(笑)ディオンヌ・ワーウィックや
     サマンサ・サングらの収録が嬉しい。これでバーブラ・ストライザンド、ケニー・ロジャース
     あたりが入ってれば完璧だが。カバーの方はブラック系の人が多いのが意外と言えば
     意外。ルーファスやアル・グリーンなんて実に素晴らしいカバー振りだ。70年代のディスコ
     ヒットがヒップホップ風にカバーされてるのも聴き物。ルルやレオ・セイヤー、トム・ジョーンズ
     なんも意外。全編楽しく聴けるし、ビージーズの懐の深さも再認識出来て、実にお買い得
     な一枚でした。ファン以外の人にもお薦めですよ。

NOTE 2005.3.11



 MUSICPELICAN WEST/HAIRCUT 100
     こりゃまた、30代後半以上には懐かしい名前ではなかろうか(笑) ヘアカット100
     (断るまでもありませんが、ヘアカットワンハンドレッド、と読みます)ですよ、あなた。
     80年代初頭、「好き好きシャーツ」なんて曲がヒットして、“ファンカラティーナ”なんて
     言葉を流行らせた人たちだ。リーダーのニック・ヘイワードは結構女の子に人気あって、
     その後ソロに転向したような記憶がある。某女性アイドルがテレビで「ニック・ヘイワード
     が好き」なんて発言をしてるのも見たなぁ。これを読んでるお姉さんの中にも、高校生の時
     彼のポスターを部屋に貼ってた、なんて人もいるのでは?(笑) ま、何故今ヘアカット100
     なのかというと、とあるミステリーMDのせいである。これ以上は言うまい(←思わせぶり)
     そんな訳で、実はヘアカット100もちゃんと聴いた事なくて、前述の「好き好きシャーツ
     (原題はFavourite Shirts)」くらいしか知らなかった。当時はファンカラティーナって、
     やたら陽気なイメージだったけど、このアルバムも全編キャッチーで明るくて、仲々に楽しい。
     チャカポコと16ビートをカッティングしまくるギターに渇いたパーカッションが絡み、やや
     エロい音色のサックスが雰囲気を盛り上げる。ラテンというよりキューバっぽい感じ。
     陽気な曲だけでなく、結構シックな曲もやってて(この場合のシックとは、「おしゃれフリーク」
     のシックではなく、オトナっぽいムードって意味です)、幅広い所も見せているが、ゴージャス
     にはならずチープ雰囲気があるのがいい(でも下世話ではない)。よく聴けば結構技術の
     必要な音楽だというのも分かるし、ほとんどの曲を書いているニック・ヘイワードもいい
     センスしてるし、大したバンドだったんだなぁ、と今さらながら実感した。アイドルっぽい
     イメージも多少はあったけど、それだけじゃなかったんだね。分かりにくい方は、ワム!
     の「クラブ・トロビカーナ」を思い浮かべて下さい。ヘアカット100がどんなバンドか、
     だいたいイメージ出来ると思います。
     う〜む、また80’sにハマってしまいそう(笑)

NOTE 2005.3.7



 MUSICAFTER THE FLOOD:LIVE FROM THE GRAND FORKS PROM,JUNE 28,1997
   /SOUL ASYLUM
     2000年に出たベスト盤以来、音沙汰のなかったソウル・アサイラムのライブ盤が
     ひょっこり発売された。しかも1997年の録音、何故今頃になってそんな前の音源が
     陽の目を見る事になったのかは定かではないが、ベスト盤から数えて5年、オリジナル・
     アルバムとしては『Candy From A Stranger』から7年も待たされた上での新作であり、
     しかも、ライブでの評判が高いソウル・アサイラム初のライブ・アルバムである。期待
     せずにいられるか(笑)またその期待を裏切らない素晴らしさなのだ。最近、“いい”とか
     “素晴らしい”とかしか言わないもんだから、手を抜いているのだろう、と言われたりも
     してるが、逆にこんな素晴らしいライブ盤をどんな言葉を使って紹介しろというのか、
     こっちが教えて貰いたいくらいだ(逆ギレ?)
     タイトルにある“プロム”とは、卒業記念のダンスパーティの事だそうで、1997年の春
     大洪水に見舞われたノース・ダコタ洲グランド・フォークスのプロムに、ソウル・アサイラム
     が招かれて行われたライブの模様を収めたのが、このライブ盤と言う訳だ(以上、日本盤
     ライナーの受け売り)。ライブ会場となったのは、グランド・フォークス空軍基地の格納庫
     だとかで、大会場でないせいか、ソウル・アサイラムは終始リラックスした感じで余裕たっぷり、
     けど熱い演奏を聴かせる。CDブックレットの写真を見ても、その熱さが伝わってくるようだ。
     ステージがシンプル(バンドの配置も衣装も機材も)なのも、いかにもロックバンドのライブ
     って雰囲気でいい。よくある、被災地の人を元気づけよう、ってなやや好意の押し売り
     みたいな雰囲気は全くない。ソウル・アサイラムの5人(キーボードはサポートメンバーと
     思われるが)も、ただ最高の演奏をする事に集中しているようだ。セットリストは、この
     時点でのベスト的なものだけど、カバーが多いのはやっぱりというか意外というか。18曲中
     8曲がカバー(うち一曲は、テイブ・パーナーが他人に提供した曲なので、カバーみたい
     なもん)で、スモーキー・ロビンソンやらマービン・ゲイやらグレン・キャンベルやら、およそ
     ロックバンドらしくないものばかり、というのがまた面白い。ルルでお馴染みの「いつも心
     に太陽を」なんて曲もやってる。しかも、それらのカバー曲がオリジナル曲と全く違和感
     なし、というのもお見事。ホントに素晴らしいバンドである。涙が出そう(笑)
     ロックバンドといえば、パンク系が全盛のアメリカにあって、オーソドックスなくらいロック
     バンドらしいロックバンド。それがソウル・アサイラムだ。こんなバンドがまだ頑張っている
     という事自体が嬉しくてならない。ライナーによると、彼らは現在メジャー契約はないが
     (これが実に腹立たしい)、ライブ活動は続けているらしい。長らく日本では音沙汰なかった
     けど、解散した訳ではなかったのだ。2002年にはボーカルのデイブ・パーナーがソロ
     アルバムを発表していたとかで、全く知らなくて申し訳ない事したけど、こっちも聴いて
     みなければ。いやそれ以上に、ライナーにはソウル・アサイラムは去年新作のレコーディ
     ングを行っており、今年中にそれが発表される可能性が強い、と嬉しい事も書いてある。
     今年こそ復活だ、ソウル・アサイラム。新作そして来日公演を待ってるよ。もしかして、
     このライブ盤はその予兆なのかも(笑)

NOTE 2005.3.1



 MUSICスーベニア/スピッツ
     前作から約2年振りのスピッツの新作である。さすがスピッツはずれはない、なんて言い方
     は失礼だけど(笑)ほんとに良いのである。ただ、良いって言ってるだけじゃレビューにも
     何もならないのは分かってますけどね...でも、実際良いのである(笑) オープニング
     の「春の歌」や「恋のはじまり」「正夢」といった曲には、かつて「ロビンソン」でブレイクした頃
     と似た感触があるように感じるのだけど、どうなんだろう? 個人的に好きなのは「ほのほ」
     「ワタリ」「甘ったれクリーチャー」「みそか」といった胸キュンなメロディ(言ってて恥ずかしい
     ...笑)に洋楽センスたっぷりのバンドアレンジが絡む曲なんだけど、沖縄風の「ナンプ
     ラー日和」やストリングスがイカしてる「ありふれた人生」といった曲も捨てがたい。やや
     曲調がパターン化してるかな、なんて思わせつつ多彩なバンドサウンドで飽きさせず聴か
     せる力量はほんと凄いと思う。草野正宗の場合、かの筒美京平が彼を評して「自分と似た
     モノを持っている」と言ったくらい、実はオーソドックスで歌謡曲っぽい曲を書く人なんだ
     けど、楽器隊は逆にバリバリの洋楽ファンだろう(本人に聞いた訳じゃないけど、田村明浩
     のアイドルはジョン・エントウィッスルではなかろうか)そんな一見アンバランスな曲とアレ
     ンジが奇妙に融合して、独特のスピッツ・ワールドを作り上げているのである。本作もその
     スピッツ・ワールドをイヤというほど堪能出来るのであり、やはり悪かろうはずがないのだ(笑)
     草野正宗って、曲やボーカルが優しげなので、一見取っつきやすいようだけど、実は凡人
     には理解し難い感性を持つ人と思う。誰でも玄関までは行けるけど、靴を脱いで上がって
     いけるのは限られてくる、というか。だからスピッツのファンはディープな人が多いのだろう。
     かといって、彼が他人を寄せ付けないタイプというのではないのだが。他の3人も、音や
     ノリに対するこだわりはあるけど、決してマニアやオタクではない。そういったある意味
     近寄りがたい雰囲気を持つスピッツは、歌詞も曲もスタンスも全てが甘ったるい今のバンド
     たちと比べると、やはり一線を画す存在である。何もかもがオンリーワンなのだ。風格すら
     感じてしまう。今の日本では最もバンドらしいバンドだと断言してしまっても良いのでは
     なかろうか。

NOTE 2005.2.14



 MUSICNOTHING IS EASY:LIVE AT THE ISLE OF WIGHT 1970/JETHRO TULL
     なんとこの5月、12年振りにジェスロ・タルが来日コンサートを行うのである。しかし、
     東京公演一回のみ、それも平日...だが、この機会を逃したらもう二度とジェスロ・タル
     は見れないかもしれない。特にイアン・アンターソンの年を考えると(失礼) てな訳で
     一大決心をして(爆)チケットを予約した(まだ届いてないけど)。この春最大のイベントと
     して、今から楽しみである(笑)
     その予習の為、という訳ではないが、タイミング良くジェスロ・タルが1970年ワイト島
     フェスティバルに出演した時のライブ盤が発売されたので、早速購入したのである。
     思えば、若い頃からジェスロ・タルの名前は知っていたがろくに聴いた事なかった僕が、
     初めて彼らの姿を見て音を聴いたのが、ワイト島フェスティバルのビデオだった(確か
     1996年頃発売されたはず)。フルートを片手に歌い踊るイアン・アンダーソンの姿と
     イメージより荒々しい感じの演奏に衝撃を受け、それからタルに興味を持つようになった
     のだ。そのタルの実像を知るきっかけとなったワイト島の音源が、こうしてCDとして発売
     されるとは、やはり感慨深いものがある(なんのこっちゃ)
     で、中味も仲々に凄い。もちろん初期3枚のアルバムの曲ばかりだが、この頃のジェスロ・
     タルにはまだブルースの影が残っており、強力なリフにド迫力の演奏(かなりボリューム
     大きかったろうて)そしてインプロビゼーションと、スタイルそのものはブルース(ハード)・
     ロックなんだけど、イアン・アンダーソンの独特のボーカルそして場違いなようでいて実は
     ハマっているフルートが、単なるブルース・ロックにとどまらない個性を感じさせる。
     それでいて、この時代のバンドによくある“混沌”もしっかりと残っているのだから、もう
     たまらない(笑) 時代性と型にはめられないユニークさの両方が、このライブ盤には
     パッケージされているのだ。悪かろうはずがない。聞く所によると、後の1972年に初来日
     したジェスロ・タルは、寸劇なども取り入れたシアトリカルなステージを見せたそうだが、
     この時点ではそういった演出はないようで、ひたすら熱い演奏を聴かせる。後年の傑作
     ライブ『Bursting Out』もそうだけど、レコードで聴けるクールな知性みたいなのとは違う
     ワイルドさが、彼らのライブでは前面に出ていて、そこがまた素晴らしいのだ。いやはや、
     凄いバンドである。さすがに今ではこんな演奏はしないだろうけど、やはり5月の来日
     公演が楽しみで仕方ない。それまでせっせと予習に励む日々だな、こりゃ(笑)

NOTE 2005.1.27


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