最近のお気に入り
(バックナンバー29)

CD、小説、映画など流行に関係なく、また新旧を問わず
最近気に入ったものを紹介します。

MUSIC=音楽関係 BOOKS=書籍関係 MOVIE=映像関係




 BOOKS殺人の門/東野圭吾
     誰しも一度くらい、殺したいほど人を憎んだ事があるのではなかろうか。実は、僕にもそういう事があった。
     生きる価値のない奴やこの世から消えても全く問題ない奴というのは、確かに存在すると思う。そう
     いう奴は殺されたって構わないのではないか、なんて思ったりもする。もちろん、そういう奴にも家族
     や友人はいるだろうし、その人たちを悲しませる事になる訳だが、その場合はそういう奴と係累で
     ある事が不幸だったのだ、と諦めて貰うしかあるまい。と、そんな事を考えたりする事もたまにはある
     のだが、言うまでもないけど実行に移した事はない。やはり、人を殺すというのは、僕にとっては
     あまりにも非現実的な行為であるからだ。それに冷静になってみると、そういう奴の為に自分の人生
     を棒に振る(つまり、殺して罰を受ける、って事ね)、というのはとても受け入れづらい事実であった
     から、というのもある。かように、殺人とは一般人には難しい行為なのだ(やや意味不明)
     この小説に登場する“私”は、小さい頃からやや複雑な環境に育ち、小学生の頃から次々と不幸に
     見舞われ、そんな中で自分の近くにいる幼馴染の男に殺意を抱く。この幼馴染は“私”の人生の
     節目に必ず現れ、“私”に不幸をもたらす。その男を何度も殺してやる、と思いながらも“私”は実行
     する事が出来ない。“私”は常に自問する。人が殺人を犯す時、一体どうやって壁を乗り越えるのか。
     殺意をいかにして持続させるのか。そして最後には、あっけない結末が...
     文庫版の解説には、「この小説は主人公と幼馴染の歪んだ友情の物語である」と書かれている。
     そういう見方も出来るかもしれない。殺人という行為の是非より、いかにして人は殺意を持続するか
     という点に重きが置かれているし。何故この男は“私”につきまとって滅茶苦茶にするのか、その理由
     が明らかになったラスト、“私”は自問する「おれは殺人の門を越えたのだろうか」と。
     自分の中に、もやもやとした殺意がある事を自覚している人にお薦めしたい。

NOTE 2006.8.29



 EXETENDED VERSIONS/FOREIGNER
     な、な、な、なんと、フォリナーの新譜なのだ(嬉) フォリナーが今でも現役バンドとして活動を続けて
     いるのは周知の事実だが(え?知らないって?それはイカンなぁ。今すぐこちらへアクセスしよう!)、
     その現メンバーによるライブ盤が、この『Extended Versions』なのだ。余談だが、これシリーズ物で、
     フォリナーの他にもカンサス、スティクス、REOスピートワゴン、38スペシャルなどのライブ音源が、
     同タイトルでリリースされているらしい。詳細は不明だが、比較的新しい音源のようで、往年のベテラン
     バンドたちの、現在のライブが楽しめる好企画のようだ。日本盤が出てないのが、非常に残念だ。
     はっきり言って、かつての勢いはないけど、まだしぶとく頑張っているバンドも多いのだ。皆でエール
     を贈ろうではないか!
     という訳で、フォリナーである。オリジナル・メンバーはミック・ジョーンズだけになってしまったけど、
     フォリナーには違いない。彼らは、去年あたりから精力的にツアーをしていて、今年の5月に来日する、
     という情報もあったが、残念ながらいつの間にかボツになってしまい、多くの日本のファンを悲しませ
     たのは記憶に新しい(笑) しかし、その現在のフォリナーをこのライブ盤で体験する事が出来るのだ。
     若手中心だけど(ドラムにはジェイソン・ボーナムの名前も!)、皆実力者で安定しつつもエネルギッ
     シュな演奏ぶりが聴ける。ボーカルは、やっぱりルー・グラムじゃなきゃ、という声もあるけど、現在の
     ケリー・ハンセンという人も上手いし、ルーの不在もそれほど気にならない。選曲もいい。、往年の
     ヒット曲中心だけど、「スターライダー」もしっかりやってるし、あちこちで一緒に歌う観客の声が聴こ
     えたりして、ほんと素晴らしい。新生フォリナーは、アメリカでもしっかり受け入れられているようだ。
     今後に期待が持てる。決して、寄せ集めなんかではない、というのが伝わってくるし。次は、現メンバー
     での新作を頼みますよ(笑) あ、その前に、やっぱ来日して欲しいな。まだ立派な現役なのだ、と
     いう事を日本のファンにも見せつけて欲しいと思う。マジ、熱望してます。署名でも何でもするよ!(爆)
     そんな訳で、来日に期待しつつ、このライブ盤を楽しみましょう。アメリカのみの発売と思ってたけど、
     アマゾンやHMVでも入手可能です。案外安いし(笑) これをご覧になっている皆さんも、是非お買い
     求め下さい。よろしく!(爆)

NOTE 2006.8.9



 BOOKSダーク(全2巻)/桐野夏生
     いやはやなんとも凄い小説である。とにかく最初から最後まで、これだけ暗く重く、悪意と憎悪に
     満ちた小説は読んだことがない。けど、面白くて一気に読めるのだ。不思議といえば不思議(笑)
     やはり、作者の力量だろうか。
     ストーリーはというと...ちょっと説明しづらい。桐野作品の重要なキャラクターである、女探偵村野
     ミロが父親(こちらもよく登場する村野善三)に殺意を抱く所から始まり、実際に小樽に住む父親の元
     を訪れて殺してしまう。というか、正確には持病の心臓の発作を起こした父親を、薬も与えず見殺し
     にする。そして、彼女は偽造パスポートを作って韓国へ逃亡する。そのミロを追う善三の元同僚や
     愛人、ミロの元仕事仲間、ミロに偽造パスポートを売り愛人契約を結ぶ在日韓国人らが入り乱れ、
     それぞれの暗部をむき出しにしながら、物語は進んでいく。いや、進むと言っていいのか。もしかすると、
     最初からストーリーなんて存在しないのかもしれない。登場人物たちは自らのダークサイドをさらす
     だけ。後はなるようになる。後半に入ると、ミロはついに殺人を犯し、下半身不随になった愛人と共に
     日本へ逃げ帰ってくる。警察とヤクザの両方に追われて。なんだかよく分からない展開だ(笑) ま、
     そんな暗く重い小説ではあるが、冒頭から「40歳になったら死のうと思っている」と言っていたミロが、
     最後で生き抜こうと決意する(動機はともかく)あたりに希望が見えるのが、皮肉といえば皮肉。
     と、こんな(どんな?)内容であるので、好き嫌いは分かれるかもしれないが、面白いのは間違いない。
     少なくとも、桐野ファンにとっては(笑) しかし、『天使に見捨てられた夜』で初めて桐野作品を読んで、
     村野ミロに出会った時、まさか彼女がこういう運命を辿るとは予想もしなかったなぁ(笑)

NOTE 2006.8.6



 THE BEST OF MANFRED MANN’S EARTH BAND
     1977年に「光に目もくらみ」を全米No.1に送り込んだマンフレッド・マンズ・アース・バンド(以下
     MMEB)のベスト盤である。実は、MMEBって「光に目もくらみ」しか聴いた事なかったのだが、
     これがなかなかよろしい。キーボード中心の、ブログレ風味付けもされたポップでスペーシーで
     加えてフュージョン的要素も、という当時としては最先端とも言えるロックであり、後のプレイヤーや
     TOTOにも通じるものがある。が、決してAOR風ではなく、あくまでロックであるのがまたカッコいい。
     惜しいなぁ。あの頃の僕の嗜好からすると、かなりツボな音なんだけど。他の曲も聴いていれば...(笑)
     大ヒットした「光に目もくらみ」はブルース・スプリングスティーンの曲だけど、他にもボブ・ディランの曲
     なども取り上げていて、カバーが多いという印象。不勉強にも、どれも原曲を知らないのだが(苦笑)、
     MMEBバージョンは実にカッコよく、このバンドの肝はキーボードを多用しての新感覚カバーにある、
     というのがなんとなく分かる。「光に目もくらみ」なんて最たるものだろう。MMEBとしては80年代
     まで活動を続けたらしいが、ヒットが続かなかったのが残念だ。
     とまぁ、今では知る人ぞ知るバンド、みたいな扱いだけど、そういうバンドでもこれだけクォリティの
     高い作品を作っていた訳で、やっぱり70年代のバンドって凄かったんだな、とお馴染みの結論に
     落ち着いてしまうのである(笑) 機会を見つけて、是非聴いてみて頂きたい。


NOTE 2006.7.26



 THE SILVER LINING/SOUL ASYLUM
     ついに出た! ソウル・アサイラムの新譜である。1998年の『キャンディ・フロム・ア・ストレンジャー』
     以来8年振り!この間、2000年にベスト盤『ブラック・ゴールド』、2005年には1997年のライブ盤
     『アフター・ザ・フラッド』が出ただけで、ファンとしては欲求不満を通り越して、もしかして既にバンド
     は存続していないのかも...などと余計な心配までする始末であったが(実際、オリジナル・メンバー
     のカール・ミューラーが去年病気で亡くなってるし)、こうして新作を聴く事が出来たので一安心、
     しかもこの新作がこれまた素晴らしい出来なのであるから、8年のブランクなんぞすっかり忘れて
     浮かれくっている今日この頃なんである(笑)
     ちょこっとブログにも書いたのだが、今回の新作、今までと何が違うかというと、とにかく音が違う。
     ソウル・アサイラムといえば、ちょっと土臭い雰囲気もあるバンド・サウンドが特徴なのだが、今回の
     サウンドは骨太でラウド、かなりアグレッシブな印象だ。ポイントはドラムにあるような気もする。本作
     から参加のマイケル・ブランドというドラマー、かなりプレイが攻撃的だ。パワフルとかいうのではなく、
     プレイ自体がバンド全体を煽っているような感じがする。これに引きずられて、ギターもベースも以前
     にも増して攻めていこうという意志が感じられる。前述したように、元々独特のグルーブを持っている
     バンドなのだが、それに新人バンドのような若々しさがプラスされたサウンドが、とにかく素晴らしい。
     久々に興奮してしまう音なのだ。もちろん、近頃のメロコアとかとは全く違うタイプの音なので、勘違い
     しないように(笑) でも、そういったバンドたちが持っている勢いというかエネルギーのようなものが、
     ソウル・アサイラムに注入されたのは間違いない。ドラムに合わせたかのようなミックスも正解。いや
     いや、ほんと良いです。
     もちろん、本来のソウル・アサイラムのウリである、デイブ・パーナーの楽曲も素晴らしい。佳曲揃い
     である。轟音ギターに“らしい”メロディと歌詞が乗る「スタンド・アップ・アンド・ビー・ストロング」(第一弾
     シングルカットである)、やはり“らしい”メロディが胸キュンの「クレイジー・ミックスト・アップ・ワールド」、
     ポップとアバンギャルドが交互に顔を出す「バス・ネイムド・ディザイア」、骨太なリフとスピード感が
     たまらない「スローリー・ライジング」等々、表現する言葉に困るくらいの素晴らしい曲がぎっしりと
     詰まっている。正しく、8年待っただけの価値はあるアルバムだ。これ以上、何を望めばいいのか(笑)
     という訳で、新たな一歩を踏み出したソウル・アサイラムの新作、ロック・ファンなら一聴の値打ち
     超特大である(笑) 売れて欲しいなぁ。そして、その勢いで来日公演を実現させて欲しい。待ってるよ(笑)

NOTE 2006.7.17



 YOU COULD HAVE IT SO MUCH BETTER/FRANZ FERDINAND
     近頃話題のフランツ・フェルデナンドである。最初、ソロアーティストかと思っていたが、バンドだった(笑)
     イギリスはグラスゴー出身のバンドだが、今や世界中で大人気で、「フランツ前・フランツ後」なんて
     言葉もあるくらいの衝撃と影響を与えたバンドらしい。ちっとも知らなんだ(笑) 聴いてみるきっかけ
     はtom nyajyaさんから貰った『グラミー・ノミネート』のCDに収録されていたからで、その「ドゥー・ユー・
     ウォント・トゥー」が良かったので、アルバムを買ってみた、という訳。で、これがなかなかよろしい。
     とにかくキャッチーだ。どの曲も凄くフックが効いていていい。80年代ニューウェイブ系を思わせる
     音だけど、懐かしいような新鮮なような、不思議な感じがする。2〜3分台の曲を畳み掛けてくるのも
     小気味良い。現代のロックシーンを牽引するバンドって雰囲気じゃないけど(笑)、実際これだけ
     騒がれているのだから、凄いバンドなのだろう。ま、今後にも期待できる。オジサンにも抵抗なく聴ける
     バンドだと思うので、40歳以上の人もお試しになってみては?(笑)
     ところで余談だが、バンド名だけど日本盤には“フランツ・フェルディナンド”と表記されているが、
     これ“フランツ・ファーディナンド”が正しいのではなかろうか。サッカー・イングランド代表のDFは
     “リオ・ファーディナンド”だし。どっちなんでしょ?

NOTE 2006.6.21



 LIVE IN MONTREUX/IT BITES
     80年代後半から90年代にかけて活動していたイギリスのプログレ・バンド、イット・バイツのライブ盤
     である。1987年のモントレー・ジャス・フェスティバルに出演した時の音源だそうで、ファン・クラブ
     限定で発売されていたのが、今年に入ってから公式リリースされたとのこと。その際に1988年の
     音源も一曲追加され、初期のイット・バイツを十分に楽しめる内容となった。めでたい(笑)
     僕がイット・バイツを知ったのはデビュー・アルバムが出てしばらくしてからだろうか。友人にプログレ
     好きがいて、そいつはどこで調べるのか、聞いた事もないプログレ・バンドのレコードをたくさん持って
     いて、いくつか聴かせて貰ったのだが、その中にイット・バイツがあったのだ。もっとも、その時はあまり
     興味を覚えず、ちゃんと聴き始めたのは1989年に3rdが出てからである。かなり技術レベルは高い
     バンドなのだが、テクニックに依存するのではなく、曲を聴かせる為の手段として用いるタイプのバン
     ドで、また曲や演奏にとてもユーモアが感じられる点も気に入っていた。プログレと呼ぶには別に重く
     も暗くもないし、曲もコンパクトにまとめられていて聴きやすく、前述したようにユーモラスでシニカル
     でもあり余裕たっぷり、プログレとは言うものの、10ccあたりに近い感触もある。もちろん、10ccより
     遥かに上手いのだが(笑) ちなみに、前述のプログレ好きの友人は、イット・バイツを評して「初期
     ジェネシスの明るい部分のみを抽出したようなバンド」と言っていたが、なんとなく分かるような分か
     んないような(笑) ついでに言うと、同時期のマリリオンあたりが「ジェネシスの暗い部分を体現した
     バンド」なんだそうである。う〜む(爆)
     ま、そんな(どんな?)イット・バイツなのであるが、3枚のスタジオ作と1枚のライブ・アルバムを残して
     1991年に解散してしまった。実に残念だ。そのラスト作となったライブ盤が実に素晴らしい内容で、
     凄味または円熟味すら感じさせる見事なパフォーマンスが記録されている訳だが、それに比べると
     デビュー翌年の演奏を収めたこの『ライブ・イン・モントルー』は、まだまだ蒼い感じもする(笑) 
     しかし、技巧に走らず、自己満足にも陥らない彼らの精神は、既にしっかりとした形でそのパフォーマ
     ンスに表れており、その点は解散するまで変わる事はなかったのである。難しい事を軽々とやって
     みせて、それでいて実に楽しいライブを披露していたイット・バイツ、彼らこそ究極のサービス精神に
     溢れたエンタテインメント性を追求したバンドだったのだ、と改めて思う。一度ライブ見たかったな。
     1989年の日本公演、無理してでも行けば良かった、と今さらながら悔やまれる今日この頃なので
     ある。あ、この日本公演のライブはDVDで発売されているので、興味ある方は是非お試し下さい(笑)

NOTE 2006.6.7



 GUILTY PLEASURES/BARBRA STREISAND
     今なおショービジネスの第一線で活躍するバーブラ・ストライザンドの名盤『ギルティ』が発売された
     のが1980年、その25周年を記念して再びバリー・ギブとタッグを組んで制作されたのが、この
     『ギルティ・プレジャーズ』だ。もっとも日本盤ライナーによると、25年目というのは単なる偶然で、
     もう一度バリーとレコードを作りたいとバーブラが熱望し、2〜3年前から曲作りが始まっていた
     らしい。もちろん、発売されたのは去年の事で、最近までそんなこと全然知らなかったのだが、
     せっかくなので(?)『ギルティ』と合わせて購入して続けて聴いてみた次第。やはりバーブラは凄い。
     25年の歳月を経ても声の艶も声量も全く変わってない。『ギルティ』発表時は38歳だったそうだから
     (今の自分よりも年下だったのか-_-#)、『ギルティ・ブレジャーズ』の時は63歳(!) ただ、凄いと
     しか言いようがない(笑)
     僕は、ポップス・フィールドに進出してTOP10ヒットを連発していた頃のバーブラって、結構好きで
     ある。とにかく実力は折り紙付きであるし、ポップソングからバラード、果てはディスコチューンに至る
     まで幅広く歌いこなし、第二の黄金時代を築いた。この頃のバーブラがいかに素晴らしかったかは、
     ベスト盤などで手っ取り早く体験してみて欲しいが、そのキャリアの頂点に立つ傑作と言っても差し
     支えないのが『ギルティ』なのである。ご存知ビージーズのバリー・キブをプロデューサー&ソング
     ライターとして迎え(プロデュースはバリーと片腕のアルビー・ガルテン&カール・リチャードソン、
     曲作りにはもちろんロビン&モーリスも参加)、当時飛ぶ鳥落とす勢い同士だった二人が、それぞれ
     の個性を生かしつつ、新生面も打ち出して、実に素晴らしいアルバムを作り上げたのだ。シングル
     「ウーマン・イン・ラブ」と共にアルバムも全米No.1を記録、文句なしにバーブラの代表作となり、また
     バリーにとってもディオンヌ・ワーウィック、ケニー・ロジャースなどプロデューサーとしても成功を
     収める第一歩となった、正に“金字塔”と呼ぶにふさわしいアルバムである。当時を知る人も知らない
     人も、バーブラやビージーズのファンでなくても、是非聴いて欲しい。
     で、その奇跡のコラボレーションが甦ったのが『ギルティ・ブレジャーズ』な訳で、前述したように、
     バーブラの歌唱力はいささかも衰えておらず、こちらもなかなかの出来栄えだ。スローな曲が多い
     のが、やや不満だが(笑) 写真を見ると老けてしまったように見えるバリーも、バーブラとのデュエット
     では生き生きとした所を見せている。収録曲の大半はバリーと息子のアシュレー&スティーブンとの
     共作で、ビージーズの曲のようなアッと驚くメロディ展開はなく、少々物足りないものの、佳曲揃いで
     ある。不朽の名盤である『ギルティ』と比べてしまうと分が悪いが、それでもバーブラ&バリーは健在
     だし、素晴らしい内容であるのは間違いない。今の時代、これほど歌唱力と曲の良さを堪能出来る
     アルバムなんて、そうあるもんじゃない。古き良きポップス全盛時代を知る人なら十分に楽しめる
     はずだし、知らない人にもアピール出来る内容と思う。さっきと同じ事言ってるけど(笑)、是非聴いて
     下さい。強くお薦め致します(笑)

NOTE 2006.5.30



 BOOKSQ&A/恩田陸
     恩田陸作品を読むのは、『六番目の小夜子』に続いて2冊目だが、こちらは『小夜子』とは随分趣が
     違う。この人、なかなか多彩な小説を書く人のようだ。
     タイトル通り、質問と答えによる会話形式のみで小説が成り立っている。どうも、住宅街のとあるスー
     パーで起きた事故(突然、群集がパニック状態に陥り、出口へ殺到して死者も出た)の真相を解明
     すべく、関係者にインタビューする、という内容のようだが、読み進むにつれて徐々に違う方向へ話
     が向かい始める。で、予想もしなかった(というか、やや不可解な)結末で幕を閉じる。なんとも奇妙
     な読後感が残る小説だ。けど、面白いのは事実だし、あれれなんて思いながらも、予期せぬ方向へ
     引っ張っていかれてしまうのも、また楽しい(笑) 『小夜子』もそうだったけど、この人はっきりとした
     結論を出さずに小説を終わらせるのが好きなのか。読みながらあれこれ考えているのだが、最後
     には放り出されてしまうのだ(笑) 白黒決着つけないと満足出来ないという人には不向きだが、読む
     人によって見方が異なるという面白さもあるし、そういうのもいいのではなかろうか。と、いつも通り
     レビューにもなってないけど、大変面白かったです。読んだ人の数だけ、真相がある、ってとこか。
     作者自身が何かを意図してるのか、はたまた何も考えずに行き当たりばったりで書いてるのか、
     よく分からんけど、面白いならいいのだ。僕はこういうの好きです(笑)


NOTE 2006.5.21



 TAKE IT ON THE RUN:THE BEST OF REO SPEEDWAGON
     実は、REOスピードワゴンは、あまり好きなバンドではなかった。「キープ・オン・ラビング・ユー」と
     「キープ・ザ・ファイア・バーニン」が好きだった程度で、他の曲はあまり良いとは思えなかったし、
     なんだか音が中途半端に甘いような気がしたのだ。なので、今までREOのレコードを買った事は
     ない。ここに紹介するベスト盤が初めてである。何故、急にREOのベストなぞ買ったのかというと、
     よく分からないけど聴きたくなったからだ(笑) それにアマゾンで980円と安かったし(爆)
     と、まぁ、久々に聴いてみた訳だが、思った以上に良い。冒頭からいきなり「キープ・オン・ラビング・
     ユー」「涙のフィーリング」の全米No.1ヒットが続けて出てくるのに驚くが(なんで?)、80年代に全米
     のトップバンドだった頃の曲については、半端に甘いという印象は変わらないけど、それ以前、つまり
     70年代の頃の曲がなかなか良いのだ。ハードに迫る「ライディン・ザ・ストーム・アウト」「ロール・ウィズ・
     ザ・チェンジス」、凝った構成の「ゴールデン・カントリー」、ドラマチックな「ライティング」、なんてとこが
     よろしい。音が半端に甘い、というのはこれらの曲でも感じられるのだけど(笑)、それ以上に骨太な
     ロック魂を感じる。逆にロックンロール風だったりオールディーズ風だったりする曲は、やっぱり甘い
     なぁ。それと、80年代のAORっぽいパラードも。つまり、REOはそんなに器用なバンドではなく、
     良くも悪くも武骨なアメリカン・バンドなのだ。改めて気づいた次第。
     でも、じっくり聴いてみると、ボーカルのケビン・クローニン(苦労人?)ばかりが目立つけど、ギタリスト
     も実力者のようだし、(曲によって出来に差があるのが難点だが)結構良い曲あるしで、ちょっとREO
     を見直したかな(笑) さっきから何度も言ってる、音が甘い、というのも見方によっては、REOらしさ
     と言えなくもないし、実に愛すべきB級バンドなんだな、REOは。これは褒めてるんですよ(爆) ま、
     ふとした気まぐれで、昔は聴かなかったバンドの良さに気づいたりして、そういうのって、なんとなく
     嬉しいものである(笑) しかし、今聴いても「キープ・オン・ラビング・ユー」はやっぱり名曲だな、うん。


NOTE 2006.4.23


もどる


ご意見、ご感想はこちらへメールはこちら


バックナンバー一覧へ


オーナーのホームページに戻る