最近のお気に入り
(バックナンバー30)

CD、小説、映画など流行に関係なく、また新旧を問わず
最近気に入ったものを紹介します。

MUSIC=音楽関係 BOOKS=書籍関係 MOVIE=映像関係




 HITS!/BOZ SCAGGS
     “ブルー・アイド・ソウル”の帝王、ボズ・スキャッグスが1980年に出した同名ベスト盤の新装盤で
     ある。当時からアメリカ盤と日本盤とでは曲目が違ったそうだが、おそらくアメリカ盤の選曲をベース
     に5曲プラスされ、リマスターもされた。オリジナルの『ヒッツ!』に収録されていた「ハリウッド」「トワイ
     ライト・ハイウェイ」が入っていないので、おそらく日本盤のみの収録だったのだろう。この点は残念
     だが、はっきり言ってしまうと、僕にとってのボズの3大名曲は「ロウダウン」「ジョジョ」「ミス・サン」に
     尽きるので、この3曲が同じCDに入っていれば、別に文句は言わないのである(笑)
     全15曲中、『シルク・ディグリーズ』からの曲が6曲もある。やはり、このアルバムはボズにとっても
     思い入れの深いアルバムなのだろう。彼が追求してきた“ボズ流ブルー・アイド・ソウル”(ほとんど
     死語...笑)が完成したアルバムと言っていい。個人的には、その後の『ダウン・トゥー・ゼン・レフト』
     の方が好きだけど(笑) ま、この時期の曲と比べると、それ以前の「スロー・ダンサー」とか「ダイナ・
     フロー」とかいった曲が、ださく聴こえてしまうのは仕方ない所で、『シルク・ディグリーズ』から『ミドル・
     マン』までが、ボズのキャリアに於いては黄金期だったのは間違いない。R&Bの影響は色濃いが、
     決して黒くないポップスという、後のブラコンやAORにも繋がっていくスタイルの音楽が、この時期の
     特徴だ。ジェフ・ポーカロをはじめとする、上手いけど“黒くない”人たちをバックに配したのも大きい。
     オシャレな音楽みたいだけど、骨っぽい部分を感じさせるのが、後の軟弱AORとは一味違うところで、
     だからボズの事を“AORの祖”みたいに言うのは、やや違うような気もするが、まぁいいか(笑) 
     とにかく、上質なオトナのロックである。粋なオトナになりたければ、試しに本作を聴いてみなさい(笑)


NOTE 2006.12.3



 ENLIGHTENED ROUGES/THE ALLMAN BROTHERS BAND
     またしてもオールマンズ(笑) これは1976年に一旦解散した彼らが、1979年に再結成して発表した、
     その時点での復活第一弾アルバムである。グレッグ・オールマン、ディッキー・ベッツの両輪にブッチ・
     トラックス、ジョニー・ジョハンソンのツインドラム、そしてもう一人のギターにダン・トーラー、ベースに
     デビッド・ゴールドファイルズ、という布陣。復活早々、「クレイジー・ラブ」がヒットし、アルバムもTOP
     10に入る、という快調なスタートを切った。いかに、オールマンズの復活をファンが待ちわびていたか、
     というのを証明した形だったが、内容的にも解散というブランクを全く感じさせない好盤だ。オリジナル
     6曲にカバー2曲という構成だが、まず、このオリジナル曲が素晴らしい。6曲中5曲までがディッキー・
     ベッツの作で(共作含む)、グレッグの曲は一曲だけというのが淋しいが、この一曲「ジャスト・エイント・
     イージー」が、ミディアムテンポのこれまた泣ける名曲なのだ。もちろん、ディッキーの曲もシングルの
     「クレイジー・ラブ」の他、インストの「ペガサス」、カントリー・タッチのバラード「セイル・アウェイ」など
     佳曲揃いで、言う事なし。デュアン在籍時の緊張感はないものの、スライドもツインギターもたっぷり
     聴けるし、何よりグレッグのボーカルが素晴らしい。70年代終わりという時代を反映してか、ややライト
     な雰囲気だけど逆に聴きやすくて、新たなファンも獲得したのではなかろうか。しかし、豪快というか、
     やや野暮ったい雰囲気は残しているので、オールマンズらしさが希薄になっている、という事は全く
     ない。なんだか、オールマンズのアルバムというと、褒めまくってばかりみたいだな(笑) でも彼らの
     アルバムにははずれがないので仕方あるまい。恐るべきバンドである(笑)
     このアルバムが発表された当時、僕は「クレイジー・ラブ」が好きで、アルバムも聴いてみたかったけど、
     経済的理由から断念したという経緯があるのだが(笑)、あの頃もし買っていたらどっぷりとハマって
     いたに違いない。サザン・ロックの雰囲気は残しつつも、キャッチーな感触もあるアメリカン・ロック、と
     なれば10代のロック少年なぞイチコロである(笑) という点では、これからオールマンズを聴いて
     みようという若者は、このアルバムから入るのもいいかもしれない。いきなり『フィルモア・イースト・
     ライブ』からでは、ややキツいかも(笑)

NOTE 2006.11.26



 TA−DAH/SCISSOR SISTERS
     一ヶ月前に買ったCDのレビューを今頃書くのも気がひけるが^^;、来年1月に来日公演も決定した
     シザー・シスターズの2ndである。初めて聴いたのが、なかなかよろしい。シングルカットもされた
     「ときめきダンシン」にエルトン・ジョンがピアノで参加している、というのでも話題になっているが、
     確かに全体的にエルトンっぽい。特に、この「ときめきダンシン」を含む冒頭の3曲とか。キッチュな
     エルトンといった感じ(笑)
     このバンドの名前を最初に知ったのは、2年ほど前に読んだクイーン本で、「クイーン的の遺伝子を
     受け継ぐバンド」として紹介されていたからだが(今、その本を探してみたら見当たらなかった。勘違
     いか?!)、この2ndを聴いてみると、クイーン的な部分はあるが、もっとポップフィールド寄りという
     印象。クイーンやエルトン、キンクス、果てはビートルズといったバンドに見られる、ロックンロールで
     はないポップセンスを凝縮したような感じだけど、どこかひねているような、そんな音だ。そういう点
     では10ccに近いバンドではないかと思うのだが、実はニューヨークのバンドだそうだ。てっきり、
     イギリスだと思い込んでいた(笑)
     という訳で、聴けば聴くほどハマる世界と思う。ややひねてるとはいえ、別に屈折してる訳ではないし、
     マニアックに遊んでるのでもないので、とても聴きやすいし。「ポール・マッカートニー」なんてタイトル
     の曲があるのは笑える。

NOTE 2006.11.23



 IF
     イフ、である。バンド名ですよ(笑) これだけでは何のことか分からないだろう。もちろん、ブレッドの
     名曲のタイトルではありません(笑)
     このイフというバンド、イギリスのモダンジャズ系のミュージシャンによって結成され、1970年に
     デビューしアルバムを3枚残している。いわゆるジャズ・ロックだ。で、なぜそういうバンドのアルバム
     を買ったかというと、実は後にフォリナーに加入するデニス・エリオットがいたバンドだからである(爆)
     フォリナーのLPのライナーを見てると、メンバーを紹介する際、デニス・エリオットの所には“ジャズ・
     ロックのイフや、イアン・ハンター・バンドで活動”と、必ず書いてあり、以前から少し興味は持っては
     いたのだ。最近になって、CD化された事を知り、ついに買ってみたという次第。ただ、これHMVの
     ネットショップで買ったのだが、“ドイツ盤デジパック仕様”と書いてあったので、安心して注文したの
     だが、届いたみたら紙ジャケだった...(-_-#)
     という訳で、デニス・エリオット以外のメンバーは知らない人ばかりだし、バンドに関する知識は何も
     ないけど、予想以上に良いです。前に、同じジャズ・ロックと呼ばれるソフト・マシーンについて「思った
     ほど難解ではない」と書いたが、このイフはソフト・マシーンよりずっと分かりやすく聴きやすい。どの
     曲もボーカル入り、というのもいいし、ジャズとはいえ長いソロやインプロビゼーションがある訳ではなく、
     コンパクトにまとめられているのもいい。結構ファンキーな味付けもあり、このバンドをもっとポップに
     分かりやすくすると、シカゴやBS&Tみたいになるのではないか。ま、とにかく、いいアルバムなので、
     知らないバンドだからとか、ジャズ・ロックと言われると難解そうだとか、そういう事おっしゃらずに
     是非聴いてみて欲しい。もちろん、フォリナー・ファンは必聴よ(爆)

NOTE 2006.10.21



 DISCO CHAMPION(VA)
     先日、ブログで欲しい欲しいと連呼して、結局買ってしまった(笑) 70年代のディスコヒットを集めた
     コンピである。もちろん、日本編集らしい。そりゃそうだ、こういうのは外国では作るまいて(笑) タイ
     トルも『ディスコ・チャンピオン』とカタカナで書いた方が雰囲気出るなぁ(爆)
     という訳で、曲名聞いただけで誰でも知ってるディスコヒットてんこ盛りなんである。「ハッスル」「ジン
     ギスカン」「愛がすべて」「YMCA」「誘惑のブギー」「ブレイ・ザット・ファンキー・ミュージック」と、涙が
     チョチョ切れそうな懐かしの名曲のオンパレード。しかし、なんといっても目玉は「ソウル・ドラキュラ」
     でしょう(笑) この一曲の為に購入を決意したと言っても過言ではないのだ。はめんにょ。
     ま、定番曲の他、キッスの「ラビン・ユー・ベイビー」が収録されてたりするのが面白い。「君の瞳に
     恋してる」「愛のコリーダ」とかの、80’sディスコはおまけって感じ。「ミッキー」なんて、今聴くとゴリエ
     しか浮かんでこないぞ(爆) それと、実は初めて聴いたのだが、ファンキー・ビューローの「クラップ・
     ユア・ハンド」という曲がなかなか良い。これは収穫。バンザイも2曲収録されてるが、これも良かった。
     「セクシー・バス・ストップ」は、ディスコには違いないが、厳密には洋楽とは言えないと思うけど、
     まぁいいか(笑)
     という訳で、老いも若きもこのCDを聴いて、楽しく明るくどこかいかがわしい70’sディスコの世界に、
     どっぷりと浸かって頂きたいと思うのである(笑)

NOTE 2006.10.6



 SONGLINES/THE DEREK TRUCKS BAND
     こちらも前回のストリング・チーズ・インシデントと同じく、オールマンズ繋がりで知った。というか、
     レコードコレクターズ9月号のオールマンズ特集を読むまで知らなかった(笑) 名前の通り、デレク・
     トラックスというギタリストのリーダーバンドなのだが、この人オールマンズのオリジナル・メンバーで
     あるブッチ・トラックスの甥で、早くからギターに才能を発揮し、10歳の時には自分のバンドを組み、
     12歳のときには既にギター弾いてお金を貰っていたらしい。自分の親世代のようなメンバーとリー
     ダーバンドを結成したのが10代後半、そこで活動を続けながらオールマンズの一員となって名前が
     知られるようになり、今年のエリック・クラプトンのツアーメンバーにも抜擢されたそうな。絵に描いた
     ような早熟ぶりである(笑) 1980年生まれというから、今年26歳か...(-_-#)
     と、まぁそれはともかく(笑)、そのデレク・トラックス・バンドの今年出た最新作である。初めて聴いた
     訳だが、確かにデレクは才能豊かなギタリストと思う。オールマンズ繋がりというのではないが、デュ
     アン・オールマンをふと思い出した。スタイルが似ているというのではなく、年齢の割には成熟した
     プレイを聴かせる、という所で連想してしまったのだ。でも、デュアンの残したサザンロックの精神は、
     デレク・トラックス・バンドに間違いなく受け継がれているとみた。ブルースやR&Bをベースにファン
     キーなテイストも加えて、表情豊かな演奏が楽しめる。難を言えば、ちょっとボーカリストが弱いかな。
     でも、アメリカンロック界期待の星である事は間違いないだろう。これからも頑張って、古くて新しい
     アメリカン・ロックを堪能させて欲しい、とオジサンは思うのである(笑)
     そんな訳で、もし今年のクラプトンの来日公演に行かれる人がいたら、サポートの若いギタリストも
     要注目ですぞ(笑)

NOTE 2006.10.1



 ON THE COVER/THE STRING CHEESE INCIDENT
     近頃、アメリカではジャム・バンドというのが人気らしい。その名の通り、ライブでジャムを繰り広げる
     バンドを指すようだが、今でも現役のオールマン・ブラザーズ・バンドも老舗のジャムバンドとして、
     高く評価されているそうな。で、ここに紹介するストリング・チーズ・インシデントも、そういったジャム
     バンドのひとつらしい。ほんと、何も知らなくて申し訳ない(笑)
     彼らは、既にデビューして10年以上経つそうだが、このアルバムは日本編集とのことで、ライブでの
     カバーばかりを集めたアルバムだ。その幅広い選曲には感心する。ジャムバンドの大先輩オール
     マンズの「ジェシカ」の他、スティービー・ワンダー、ボブ・ディラン、レッド・ツェッペリン、ボブ・マーリー、
     イーグルスと呆れるくらい、色々なのを取り上げている。それらを、独自の解釈で料理している訳
     だが、これがなかなかに面白いのだ。ほとんどブルーグラスになってしまったエアロの「ウォーク・ディス・
     ウェイ」なんて、思わず笑ってしまう。悪ふざけなんかではない、実験精神旺盛なバンドとみた。なんて、
     単に好き放題やってるだけかもしれないが(笑)、それにしても見事である。オリジナル曲も聴いて
     みたくなった。
     全体的にはリラックスした雰囲気に溢れていて、オールマンズみたいな緊張感はないけど、聴きやす
     くて良いのではなかろうか。なんか、ほんとライブが楽しそうなバンドだ。クレジットを見ると、来日も
     してるようで、本当に不明を恥じる次第である。もっと色々勉強せねば(笑)

NOTE 2006.9.24



 IDLEWILD SOUTH/THE ALLMAN BROTHERS BAND
     という訳で、またオールマンズを買ってしまった(笑) こちらは、彼らの1970年に出た2ndである。
     全7曲収録で、演奏時間トータル30分ちょっと、と短いけど、中味は濃い。オールマンズの場合、
     やはりライブでこそ、その真価が問われるバンドと言われているし、実際彼らのライブはいい。その
     せいもあり、オールマンズのディスコグラフィーの大半はライブ盤だし、実は僕も持ってるのはライブ
     盤の方が多かったりする。しかし、『イート・ア・ピーチ』の所でも触れたけど、オールマンズは演奏能力
     だけでなく、優れたソングライティングと多様な音楽性をも併せ持ったバンドであり、スタジオ録音盤
     を聴く方が、そこいらはよく分かるのだ。よくある、ライブはいいけどスタジオ盤は面白くない、という
     バンドではない。なので、これからオールマンズを聴いてみようという人は、スタジオ盤も聴いてみる
     事をお薦めします。
     で、このアルバムだが、とにかく佳曲揃いである。サザンロックというよりウェストコーストみたいな
     感じの「リバイバル」(しかし、イントロ長い^^;)、カッコいいリフのブルースロック「ドント・キープ・ミー・
     ワンダリン」、レイドバックした雰囲気に絡んでくるスライドがたまらない「ミッドナイト・ライダー」、
     ライブでもお馴染み、ジャズやラテンの要素も感じられるインスト「エリザベス・リードの追憶」、静かに
     力強く歌うグレッグが素晴らしい「プリーズ・コール・ホーム」、アッと驚くファンキーな雰囲気の「リーブ・
     マイ・ブルース・アット・ホーム」とオリジナル6曲どれも捨て曲なし。一曲入ってるブルースの「フーチー・
     クーチー・マン」もカッコいい。ほんとに、この頃から既にオールマンズが、ブルースの枠を飛び越えた
     バンドであった事がよく分かる内容だ。「エリザベス・リードの追憶」なんて、サンタナがやってもおか
     しくないような曲だし。ツインドラムによるリズムも多彩だし、それでいて男臭いロックなんである。
     なんとも素晴らしい。改めてオールマンズの凄さを思い知る一枚である。

NOTE 2006.9.17



 EAT A PEACH DELUXE EDITION/THE ALLMAN BROTHERS BAND
     今なお根強い人気を誇るサザン・ロックだが、その代表格といえば、やはりオールマン・ブラザーズ・
     バンドでしょう。90年代に入って3度目の再結成を果たして以降、若く有能なメンバーを補充しながら、
     相変わらず精力的にツアーしているそうだ。その、オールマンズが1972年に発表した名盤の2枚組
     デラックス・エディションがこれである。LPでは2枚組だった『イート・ア・ピーチ』をディスク1に収録し、
     ディスク2には1971年6月の“フィルモア最後の日”に出演した時の演奏が収められている。これは
     買いですぞ(笑)
     ま、オールマンズの成功を受けて、いわゆるサザン・ロックとして世に出たバンドもたくさんいた訳だが、
     現在でもオールマンズがサザン・ロックを代表する存在として高い人気を誇っているのは、他のバンド
     にはなかったソングライティングの上手さと洗練された音楽性、そしてメンバーの卓越した演奏技術
     による所が大きい。実際、久々にこの『イート・ア・ピーチ』を聴いてみて、改めてそう感じた。この
     アルバム、前述したように、LPでは2枚組だったのだが、かなり変則的な内容になっていて、それと
     いうのも、レコーディング中にギタリストのデュアン・オールマンがバイク事故で亡くなってしまった
     からなのだが、LPのA面にデュアン抜きの録音、C面にデュアン存命中の録音(ライブ音源含む)を
     それぞれ収め、B面とD面にはライブ録音による長尺ジャム・セッション「マウンテン・ジャム」を分割
     して収録、という構成だった。初めて聴いた頃は、A面とC面はともかく、「マウンテン・ジャム」が退屈
     に感じられて、飛ばして聴いてたりしたのだが(笑)、CDでは分割された「マウンテン・ジャム」が一曲
     にまとめられ、なんとノーカット33分にも及ぶ大曲になっている。が、今聴いてみると、意外と面白い
     のだ。こういうジャムって、ブルース・セッションみたいなソロ回しでもなく、ジャズのインプロビゼーション
     とも違い、テーマやだいたいの構成が決まっていて、そんな中で演奏者がアドリブを交えて好きな
     ように展開させていく、というもので、一応楽曲になっているのであり、故に個人の技量・センスだけ
     でなく、バンドとしての連携もとても大事なのだ。オールマンズは、こういった条件を全て備えていた
     からこそ、「マウンテン・ジャム」のような長尺ジャムも飽きずに聴ける訳で、やっぱり凄い。始まって
     から終わるまでずっと同じテンポをキープしてるので、緊張感が持続され、2本のギター・オルガン
     だけでなく、ドラムのソロも盛り込んで(ツインドラムは、こういう時強い)、ほんとにスリリングで飽き
     ない。何故昔は退屈に感じたのか、不思議になってしまうくらい(笑) また、ジャムだけでなく、スタ
     ジオ録音のオリジナル曲も素晴らしい出来で、デュアン亡き後の決意表明ともとれる「時はもう無駄に
     出来ない」とか、ブルース感覚にカントリーフレイバーも加味した「スタンド・バック」「ブルー・スカイ」
     なんて、大げさでなく名曲・名演である。ホントよ(笑)
     本作のもうひとつのウリは、ディスク2の“フィルモア最後の日”のライブだ。かの伝説のライブハウス、
     フィルモア・イーストが閉店する際、その最後の営業日にオールマンズが出演した時の演奏なんだけど、
     確かに余裕綽綽の演奏ぶりだけど、やはり『フィルモア・イースト・ライブ』の方がいいかな。しかし、
     貴重な音源であり、在りし日のデュアン・オールマンのプレイが聴ける、という事でやはり買って損は
     ない(笑)
     ま、とにかく、久々に聴いたオールマンズ、やっぱり良い。しばらくハマってしまいそうだ(笑)


NOTE 2006.9.10



 THE SINGLES EPIC YEARS 1980−2004/佐野元春
     ブログでも触れた、佐野元春のエピック時代のシングルを完全網羅した2枚組である。完全網羅と
     謳う割には、「Christmas Time In Blue」や「僕は愚かな人類の子供だった」が入っていない
     ではないか、と思ったけど、よく見りゃ、“12インチ、スポークンワード等を除く”と書いてある。ま、
     それなら仕方ないか(笑)
     しかし、こうして彼の20年以上の歩みを辿ってみると、やはり才人である事を再認識させられる。
     初期の頃は、英語を多用する歌詞や歌い方が軽薄に思えてあまり聴いてなかったけど(後年、佐野
     元春は英語を使う人、というイメージを持たれているらしいというので、あえて日本語のタイトルを
     つけるようにした、とライナーに書いてある)、『Visitors』以降は本当に素晴らしい。さりげなくフック
     を効かせた曲作りといい、アイデアは斬新だけど変に凝ったりしないアレンジといい、多少意味不明
     な部分はあるにせよ印象に残る言葉といい、ロックンロール創生期から続いてきたポップソングの
     伝統を頑なに守り続けているソングライターだ。そういった方法論を手段として使うのではなく、完全
     に血肉にしてしまっているのが、彼の凄い所だろう。誰にもマネ出来ないオリジナルな、しかも日本語
     の歌としてのスタイルを確立してしまったのである。熱心なファンが多い割には、フォロワーみたいな
     のが出てこないのは、佐野元春があまりにもオリジナルな存在であるからに他ならない。故に、なん
     となく孤高の人みたいなイメージもあるけどね。ま、そんな(どんな?)佐野元春の世界を存分に味わ
     えるシングル・コレクションである。音楽性もさることながら、恋愛だけでなく青少年の素直な心の叫び
     やポリティカルな意見をも伝えようとする歌詞も素晴らしいので、お聴き逃しのないように。ただ、スト
     レートなようなそうでないような、ってな感じなので伝わりにくいかもしれないが(笑)
     それと、このCDには、佐野元春自身がライナーを書いているのだが、この人も自分の音楽について
     語りたがる人だね。大瀧詠一、山下達郎と同類だな。この3人に共通するのは...マニアだって事
     かな(爆)あと、ボーナストラックとして、「ガラスのジェネレーション」の2006年再録バージョンが
     収められているが、これは佐野元春のボーカルとピアノだけはオリジナルの音を使っているらしい。
     どうせなら、今の佐野元春にこの曲を歌って欲しかったな。“つまらない大人”にはならなかったのか
     どうなのか、本人に検証して貰うためにも(爆)

NOTE 2006.9.2



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