最近のお気に入り
(バックナンバー32)
CD、小説、映画など流行に関係なく、また新旧を問わず
最近気に入ったものを紹介します。
=音楽関係
=書籍関係
=映像関係
WOW!/BANANARAMA
なんというか、強烈に80’sを思い出させる名前である(笑) バナナラマ。OLしてたフツーの女の子
たちが、一夜明けたらポップスターになっていた、という雰囲気が親しみやすくもあり、胡散臭くもあり(笑)
決して歌が上手いと言えないが、印象的なヒット曲は多い。個人的には、「ちぎれたハート」なんて
好きである。80’s名曲10選に入るかもしれない(笑) そして「アイ・ハード・ア・ルーモア」、マジ名曲
である。その「アイ・ハード・ア・ルーモア」を含むこのアルバムもまた、実に素晴らしい出来栄えだ。
当時、ヒット連発だったストック・エイトキン・ウォーターマンのプロデューサー・チームと組んで、実に
ポップでタンサブルで、ちょっとセンチメンタルな傑作をモノにしたバナナラマ、やっぱりフツーの女の子
ではなかった(笑)
という訳で、20年経った今(-_-#)、実に久々に聴いてみたのだが、やはりいい。あの頃は、ゴージャス
な音作りだと思ってたけど、案外と余計な装飾のないシンプルな作りに驚いたりしている。なんたって
曲がいい。「アイ・ハード・ルーモア」だけでなく、シック風の「アイ・キャント・ヘルプ・イット」もカッコ
いいし、プロモ共々印象的だった「アイ・ウォント・ユー・バック」もいい。LPではA面ラストだった「ワンス・
イン・ア・ライフタイム」は、アルバム中唯一のミディアムテンポの曲で、サビのメロディが素晴らしい。
「ネイサン・ジョーンズ」とか「ストライク・イット・リッチ」なんて、一風変わった曲もいいアクセントに
なっている。バナナラマのボーカルは、いい意味での素人っぽさを出しているが、それ以外は曲も
音もアレンジも、正にプロの仕事。バナナラマ=80’s=バブル、なんてイメージもあるけど、とても
しっかりと作られたレコードである。ベスト盤買うより、このアルバム聴いた方がずっといいのでは
なかろうか(笑) ま、難を言えば、ボーナストラックに「アイ・ハード・ア・ルーモア」のリミックスが収録
されてない、という事くらいかな。他の曲は入ってるのに(笑)
てな次第で、YouTubeで昔のバナナラマの映像を探して見入ったりしている、今日この頃なんである(爆)
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NOTE 2007.8.23
PRESERVATION ACT 2/THE KINKS
久々キンクスである。RCA時代の名作(迷作?)として名高い、『プリザベイション』である。ご存知の
通り、この『プリザベイション』は『第一幕』と『第二幕』が出ていて、ここに紹介するのは『第二幕』
なんである。レイ・デイビス渾身のコンセプト・アルバムなのであるから、『第一幕』を聴いてから
『第二幕』を聴く、というのが正しいのだが、アマゾンにこの2枚を同時発注したのに、入手困難という
事で、先に『第二幕』が送られてきたので、仕方なくルールを無視して『第二幕』から聴いたのである。
ま、『第一幕』を聴いてないので何とも言えないが、どちらを先に聴こうと、名作(迷作?)としての
価値は変わらないのでは、と思った次第(笑)
RCA時代にキンクス(=レイ・デイビス)が手がけたコンセプト・アルバム・シリーズは、セールスも
悪くてレコード会社を怒らせ、ごく一部のファン以外にはそっぽを向かれ、ついでに言うとレイ・デイビス
は妻子に逃げられ、バンド内の不協和音は深まるばかりで、早い話何も良い事はなかった暗黒の
時代の産物、と言う人も多いそうだが(笑)、これがなかなかどうして、じっくり聴くと面白いのである。
いや、じっくり聴かなくても、すんなりと耳に入ってくる。確かに、ストーリーはよく分からんけど(笑)、
なんたってレイ・デイビスなのであるから、曲自体の出来が大変良いし、曲調もカントリー風、ボード
ビル風、ハードロック風、とバラエティに富んでいて飽きさせない。間に挿入されるアナウンスや寸劇
みたいなのも、長いアルバムの中ではちょっとしたアクセントになっていて、なかなかよろしい。よく
言われるように、決して難解でも退屈でもない。歌詞が分かればもっと楽しいのだろう。コンセプト・
アルバムというアイデア自体メンバーには不評だったというが、どうしてどうしていい演奏を聴かせて
いる。アレンジも見事。つまり、大変素晴らしいアルバムなのである。先入観は捨てて、聴いてみて
欲しいな。やっぱりキンクス(=レイ・デイビス)は凄い、というのが納得できます。そして、彼らにとって
最大の不幸は、このアルバムが売れなかった、という事に尽きる、というのが(笑)
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NOTE 2007.7.27
幽霊人命救助隊/高野和明
これまた面白い。この高野和明という人、前から注目はしていたが、ほんと面白い。設定やストーリー
展開もさることながら、さりげなく重いテーマを扱っているのだ。この『幽霊人命救助隊』もそんな作品で、
自殺により命を落とした男女4人が、成仏する為の条件として、あるミッションを与えられる。それは、
7週間で100人の自殺志願者の命を救え、というもの。尊い命を粗末にした罰だという事なのであるが、
その命を受けて4人は幽霊として地上に降り立ち、自殺しそうな人を見つけては、思いとどまらせる
ことに全力を尽くす。一口に自殺志願者と言っても、パターンは様々。鬱病もいれば借金苦もいる。
不仲な両親と学校でのイジメに悩む少年もいるし、訳もなく世の中に絶望している女性もいる。もちろん、
クスリでラリっているのもいる(笑) そういった自殺志願者たちをいかに救うか、幽霊たちはあの手
この手で悩みや問題を解決していく。その過程で、現代の日本が抱える病巣というか矛盾というか、
そういったものがあぶり出されていくのは見事としか言いようがない。ついホロリとしてしまうエピソード
もある。ラスト、100人目の自殺志願者を説得する下りは感動的。思わず涙してしまいます(笑)
そんなストーリーがユーモアたっぷりに展開する。とにかく面白いです。と、同時に、前述したけど、
人は何故死にたいと思うのか、というテーマも深く掘り下げられており、単に面白いだけの小説では
ない。政府は、欧米に比べて高い日本の自殺率を引き下げるべく、これからあれこれ対策していく
意向のようだが、この『幽霊人命救助隊』を読書コンクールの課題図書にでもして、小中学生に読ま
せた方が、ミョーな教育するよりずっと効果があるんじゃないか、と思うけど、どんなもんでしょうか?
是非ご検討をお願いしたい(笑)
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NOTE 2007.6.16
ANTHOLOGY/SLY & THE FAMILY STONE
前々から興味があったスライ&ザ・ファミリー・ストーンなのだが、ついにベスト盤を買ってみた。代表曲
ばかり全20曲、LPでは2枚組だったそうな。スライと言えば、「ファミリー・アフェア」くらいしか知らず、
この曲はやや暗いイメージがあったのだが、全体的にはそうでもない。ファンキーな曲もメロディアス
な曲もポリティカルな曲もありで、なかなかにバラエティに富んでいて楽しめる。リーダーのスライ・
ストーンは黒人な訳で、フツーならブラック・ミュージックのカテゴリーに入れられると思うのだが、
何故かこの人はロックの括りで語られる事も多くて、聴いてみて分かったけど、確かにR&Bとロック、
双方をブレンドしたような音で、明確なジャンル分けはしづらい。聴いてると、同世代の黒人ミュージ
シャンより、プリンスやテレンス・トレント・ダービーといった、後の世代の人たちを思い出してしまうのは、
そのせいか。ま、音楽的にも思想的にも、後々のミュージシャンに与えた影響は大きいと思う。
スライ・ストーンが全盛だった60年代終わりから70年代にかけて、という時代を考えてみると、ヒット
を出す為には白人にもウケないといけない、という事で、ロック的な要素を取り入れたのも分かるし、
当時の公民権運動などとも連動した形で、彼らが受け入れられた、というのもあるのだろう。なんと
いうか、音楽性とかクォリティとかいった事以前に、スライの音楽には、その時代の空気が実に色濃く
漂っているような気がするのである。僕にとっては、スライは後追いだし先入観もあるしで、余計そんな
事を感じてしまうのかもしれないが、良くも悪くも、そんな時代の空気が刻まれたアルバムと言っていい
と思う。リアルタイムで聴いてた人は、より強く感じるのではなかろうか。悪いと言ってるのではありま
せんよ(笑) ロックという音楽が、常にその時代と結びついているのは、当然の事なのだから。
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NOTE 2007.6.9
WHAT A DIFFERENCE.../ELDISSA
エルディッサである。もちろん、知らない名前だ。随分前にタワーレコードがかなりプッシュしており、
店内でヘビーローテーションしてたので、そこで耳にしたという次第。で、ちょっと興味を持ったので
実物を見てみようとしたら、どこに置いてあるのか分からず、探すのに苦労した記憶がある。強力
プッシュするなら、もっと分かりやすい所に並べておけよ(苦笑) ちなみに、今回購入したのは日本
盤で、日本発売されてることすら最近まで知らなかった。タワーには輸入盤(しかも高い)しか置いて
なかったのだ。こうなってくると、タワーが本気でこのエルディッサを売ろうとしてたのか、大いに疑問
である(笑)
という訳で、エルディッサだが、ライナーによるとフランスのボサノバ・ユニットらしい。言われてみれば、
ボサノバ特有の気だるさが感じられなかったけれど、ブラジル人に依るものではないせいか。ついで
に言うと、ボサノバとは言うもののジャケットはインドっぽい(笑) ↓のURLで確認してみて下さい(笑)
で、なんとこのアルバム、かつてのディスコ・ヒットをボサノバにアレンジしたカバー集なんである。
ボサノバ・カバーというのは多いけど、ディスコをホサノバに、というのは珍しいと思うし、また大冒険
であると思う。聴いてみると、「ステイン・アライブ」やら「宇宙のファンタジー」やらの有名曲が、クールな
ボサノバに生まれ変わっていて、なかなかに面白い。中には、企画倒れみたいなのもあるが^^;
個人的には、マイコーの「ロック・ウィズ・ユー」がベスト・トラックかな。というか、この「ロック・ウィズ・
ユー」を聴いて、アルバムを聴いてみようと思ったくらいであるので、良いのは間違いないのだ(笑)
そんな訳で、夏だけでなく年中聴けるボサノバって感じなので、一度お試しあれ。昔のディスコ・ソング
好きにも楽しめるアルバムと思う。
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NOTE 2007.5.20
RE−COOL REFLECTIONS/寺尾聰
知らないとか覚えてないとかは言わせない(笑) 今を去ること26年前(-_-#)、日本中に突如、寺尾聰
旋風が吹き荒れた。「ルビーの指環」がテレビやラジオ或いは街角で流れない日はなく、TBSの
『ザ・ヘストテン』で12週連続で1位となり、レコード大賞も受賞した。この曲の他、「シャドー・シティ」
「出航 SASURAI」もヒットし、3曲同時にヒットチャートのTOP10にランクされたりもした。これらの
曲を収めたアルバム『Reflections』は100万枚以上を売る大ベストセラーとなり、この年(1981年)、
間違いなく寺尾聰は社会現象だった。
と、その『Reflections』から25年が過ぎた去年出たのが、この『Re−Cool Reflections』である。
『Reflections』を曲順はそのままに、丸ごとリメイクしたアルバムだ。ライブなどでは、アルバム一枚
丸々演奏する、というのはよくあるが、新作として発表してしまうというのは、非常に珍しいらしい。
あの名盤が、25年を経てどのように甦るのか、実に興味があったのだが、正直言ってしまうと、
びっくりするような違いはない(笑) 寺尾聰のボーカル自体昔と全然変わってないし、過去の曲を
解体して新たな解釈を試みている、という訳でもない。もしかすると、肩透かしを喰らうかもしれないが、
逆に言えば、それだけ『Reflections』が高い完成度を誇っていたという事であり、25年過ぎたから
といって、新たな解釈だのアレンジだのが入り込む余地のない普遍性を持っている、という事である。
つまり、この『Re−Cool Reflections』を聴けば聴くほど、25年前の『Reflections』の素晴らしさ
を実感してしまうのだ。かといって、『Re−Cool Reflections』がつまらないなんて事はなく、今の
音で聴く『Reflections』という感じで、なかなかよろしい。ただ、かつて『Reflections』を愛聴した者
としては、どうしてもそっちを聴いてしまうよな、というのはある(笑)
という訳で、2枚同時に購入してみた次第なのだが(笑)、久々に聴く『Reflections』やはり素晴らしい。
当時も言われてたけど、ほんとオトナの音楽って感じ。それも、あの時既に中年に差し掛かっていた
寺尾聰が、演歌とかではなく、洋楽っぽい都会的なサウンドでもって、オトナの音楽を作ったのが
素晴らしいと思う。曲だって粒よりだし、改めて聴くと歌詞もいい。全10曲、それぞれに違った世界を
作っていて飽きさせない。こういう音楽を作っていた人は、当時もいたと思うんだけど、『Reflections』
は売れた、というのが感激だ。それほど俗っぽい雰囲気はないんだけどね。でも、それだけに非常に
意味のある事だと思う。「売ってやろう」という色気はないけど、中年男の自然な色気に溢れたアルバム。
そんなとこが却ってウケたんだろうか。ま、どうでもいいか。21世紀の今聴いても素晴らしいアルバム
であるのは間違いないのだから。
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NOTE 2007.5.11
THE ROTTERS CLUB/HATFIELD AND THE NORTH
前に、キャメルの事をカンタベリー系と書いたら、それは違うと指摘された。元々、カンタベリー系に
ついてはよく分かっていないので、雑誌を鵜呑みにして書いたけど、間違っていたようだ。この場を
借りてお詫び申し上げる。が、今回紹介するハットフィールド・アンド・ザ・ノースは、たぶん立派な
カンタベリー系であろう(笑)
で、この『THE ROTTERS CLUB』、彼らの2ndアルバムであると同時にラスト・アルバムでも
あり、1975年に発表された。一口で言ってしまうと、やはりジャズ・ロックという事になるのだろうか。
これが実に面白い。後にキャメルのメンバーとなるリチャード・シンクレア(だから、キャメルはカンタ
ベリー系だと思ったのだ)の爽やかなボーカル曲で幕を開け、ジャズというより一種フュージョン的な
インストに続いていく。フュージョンと言っても、カシオペアとかスクエアみたいな感じではなく、敢えて
言うなら、後に渡辺香津美あたりがやっていたのに近い感じ。そして、オーバチュア的な短い曲を
挟んで、変態インストに突入するあたりは、実に爽快だ(笑) デイブ・スチュワートの活躍が目立つ
せいか、ブラフォードをも連想してしまった。ま、言うなればジャンル云々をとやかく言う事自体がバカ
らしくなるような、そんな音楽だ(笑) スリリングな楽器のバトルも聴き物だが、ひょこっと出てくる
シンクレアのボーカルが、また雰囲気を和ませるような感じで良い。決して難しくも、とっつきにくくも
なく、だけど売れ筋でもなく(笑)、カンタベリー系に対するミョーな認識を改めるには、格好の一枚で
あると思う。ハマるよ(笑)
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NOTE 2007.5.8
GREATEST HITS/FIREFALL
今度はファイアフォールなのである(笑) 知らない人も多いだろう。HR系みたいなバンド名だけど(笑)、
ウェストコースト系のバンドである。アトランティックより1976年にデビューし、1983年まで活動して
6枚のアルバムを残して解散するが、このベスト盤の為に再結成し新曲を録音している。というのを
今回ライナーを読んで初めて知った(爆) 確かに、そんなに知られているバンドではない。僕だって、
デビューアルバムからのヒットとなった「You Are The Woman」と、1978年の「Strange Way」
くらいしか知らない。でも、「You Are The Woman」は好きだったな。今回、このベスト盤を買った
のも、この曲が聴きたかったからだ。あの頃は、以前に紹介したポコと同じく、イーグルスを小粒にした
ようなバンドと思っていた。が、改めて聴いてみると、もちろんウェスト・コースト・サウンドなのだが、
イーグルスというよりCSNに近い。コーラスもそっくりだし、ややマイナーな曲調も似ている。曲に
よっては、もろCSNのコピーじゃないの、なんてのもあるが(笑)、全体としてはなかなかよろしい。
曲もいいし、サウンド作りも見事だ。今聴いても、全く古臭くないのもいい。たとえ、それほど売れた訳
ではなくても、あの頃のバンドはそれなりにクォリティの高いものを作っていたのだ。いつも同じ事に
感心しているけど、本当なんだからしょうがない(笑) ま、とにかくご一聴をお薦めします。
ファイアフォールといえば、ジャケットが美しかったという印象がある。特に、1stと2nd。ミュージック・
ライフの広告を、うっとりと見ていたような(笑) ジャケが美しいので、このバンドに当時興味を持った、
というのもあるんだけど(笑) 今回のベスト盤も、なかなか良い感じのジャケなので、↓のアマゾン
のページで是非確認してみて下さい。いかにもウェスト・コーストって雰囲気です。
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NOTE 2007.4.20
幻夜/東野圭吾
あの名作『白夜行』の続編だそうな。といっても、僕は全くそういうのには気づかず(笑)、姉妹編
みたいなものと思って読んでいた。続編というのは、文庫版解説を読んで知った次第。もちろん、
続編と思って読めば、確かになるほどという箇所があるのだが、別に『白夜行』を読んでいなくても
十分に面白い。それぞれ、共通する部分はあるものの、別個の小説として捉えてもいいのではないか。
ま、似た部分は多い。水原雅也は阪神淡路大震災の被災者であるが、震災直後の混乱に乗じて
殺人を犯してしまう。それを見ていた、やはり被災者の新海美冬と共に東京へ出て、夜の道を歩き
続ける。美冬は類まれな美貌と才覚を存分に生かし、のし上がっていく。そんな彼女に協力を惜し
まない雅也であるが、次第に疑問を感じるようになっていく...ま、『白夜行』と同じく、犯罪(もしく
は犯罪すれすれの行為)に手を染めながら生きていく男女2人が物語の中心だが、違うのは、
『白夜行』では主人公2人の内面が描かれることはなかったのに対し、『幻夜』では当事者の雅也の
視点からも、ストーリーが展開していく点だ。似たようなストーリー展開でありながら、『白夜行』と
『幻夜』が繋がっているとは思わなかったのは、この手法の違いによるものと思う。さすがである。
実際、美冬の素性に疑問を抱いて調べまわる刑事が登場したりするのも同じなんだけど、全く
違ったものとして読ませてしまうのは、東野圭吾の力量によるものであろう。こういった手法の違い
のせいか、『白夜行』には全編言いようのない悲しみが漂っているのだが、『幻夜』はよりミステリー
的要素が強い小説になっていると思う。ま、どっちも面白いからいいんだけど(笑) やはり続編と
いうより2つが表裏一体になっているのだ、と考えたほうがいいようだ。クイーンの『オペラ座の夜』
と『華麗なるレース』の関係みたいなものか(笑)
とはいえ、完結編なんてのがあるのなら、やっぱり読みたいな(笑)
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NOTE 2007.4.13
BREATHLESS/CAMEL
またしても四十の手習い(爆)、初体験のキャメルである。あまり詳しくは知らなくて、一応プログレの
範疇に入るバンドと思っていたが、今回聴いてみてイメージがかなり違うので驚いた。他のアルバム
は聴いてないので何とも言えないが、プログレという言葉から連想されるような重厚長大でも難解で
もない、非常に叙情的なメロディとサウンドが印象的。聴きやすくはあるものの、ポップというのとは
異なる。もちろん、売れ筋でもない。でも、普段ロックを聴かない人でも抵抗なく聴けるのではなかろ
うか。ま、一見とっつきやすいようだけど、やはり崇高な意志に貫かれた音楽であるのは間違いない
訳で、ふと気づくと抜けられなくなっている、という典型的なロックであるように思える。根強いファン
が多いのも頷けるな。
で、この『ブレスレス』、1978年発表で、1975年の『スノーグース』、1976年の『ムーンマッドネス』
と並んで、キャメルの代表作と言われているらしい。ま、とにかく、タイトル曲をはじめとして収録曲が
どれも素晴らしい。前述したけど、美しいメロディを奏でる繊細なギターやボーカルがまたいいのだ。
どの曲もそうとは感じさせないけど、かなり構成も練られており、さりげなく変拍子を混ぜたりなんか
して、キャメルというバンドが実に高度な音楽性と技術を備えているのがよく分かる。いわゆるカンタ
ベリー派という事だが、ジャズ的なアプローチは唯一のインスト「夢想曲」に感じられるくらいで、あと
はひたすら叙情的かつ幻想的な雰囲気に溢れ、実に心地よい。僕はこれまでキャメルは聴いた事
なかったけど、おそらくシングルには重きを置かない活動をしていたからだろう。あくまでアルバム
重視という訳で、ここいらは他のプログレ・バンドと通じるものがあるな(笑)
所で、今回このアルバムの日本盤CDを購入したのだが、ふざけてるようなライナーはなんとかなら
ないのだろうか(爆)
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NOTE 2007.4.8