最近のお気に入り
(バックナンバー35)
CD、小説、映画など流行に関係なく、また新旧を問わず
最近気に入ったものを紹介します。
=音楽関係
=書籍関係
=映像関係
CHICAGO ]
またシカゴである(笑) タイトル通り、彼らの通算10作目だ。1976年発表。確か、当時の邦題は
『カリブの旋風』だったはず(笑)
アルバムとして聴くのは今回が初めてだけど、このアルバムの事はジャケットも含めてよく覚えてる。
洋楽(ロック)を聴き始めたばかりだった僕にとって、シカゴという名前は知ってたけど、新作に接する
のは初めてだった。『Chicago ]』は、僕のリアルタイムなシカゴ初体験という事になる訳だ(笑)
当時のシカゴは、本国でも日本でも人気バンドだったから、当然の如く、このアルバムも話題になり、
雑誌でもしょっちゅう広告を見かけたし、FMでもよくかかってた。曲は知らなくても、記憶にある邦題
が多いのも、そのせいだろう。「君のいない今」とか「ロックンロール・シカゴ」とか(笑) ただ、あの頃は、
結局シングル曲しか知らなかった。第一弾シングルとなった「雨の日のニューヨーク」なんて好きだった
なぁ。第二弾シングルで、シカゴにとって初の全米No.1となった「愛ある別れ」もいいけど、やっぱり
『カリブの旋風』というと「雨の日のニューヨーク」なんだな(笑)
で、あれから30年(-_-#)を経た今、きちんと聴いてみると、実によろしい。この頃のシカゴは既に、
社会派ロックバンドではなくなっていた(社会派、というのも勝手に植えつけられたイメージにすぎない
という話もある)訳であるが、でも素晴らしいアルバムと思う。とにかく、曲の出来が良い。メンバー
全員が作曲を手がけるだけあり、質も高くバラエティに富んだ楽曲が並び、飽きさせることがない。
強引なようで不思議とハマっているブラス・アレンジもいい感じだし、リズムも多彩だ。あの頃は気づ
かなかったけど、「雨の日のニューヨーク」って、結構ラテンな感じだったのね^^; その他にも、
ロックンロール調ありファンキー路線ありポップ・バラードありで、しかも、曲によって歌う人が変わるし、
下手すると全体の印象が散漫になってしまいかねないのが、そこに統一感を持たせているのが、
実はブラス・セクションなのだ、という事に改めて気づいた。実にお見事である。大げさでなく、毎日
聴いても飽きないアルバムだ。シカゴがこんなに才能に溢れたバンドだったなんて、今頃気づく僕は
まだまだ青い(爆) 次は『[』あたりいってみるか(笑)
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NOTE 2008.7.1
狐火の家/貴志祐介
久々に貴志祐介である。前作『硝子のハンマー』から4年ぶりだそうだ。本作は、その『硝子のハンマー』
にも登場した美人(?)弁護士と、一応は防犯ショップの所長のコンビが再び登場し、密室殺人の謎
に挑む短編が4編収められている。正直言うと、『硝子のハンマー』は個人的には今イチで、登場人物
のこともよく覚えていなかったのだが^^;、この『狐火の家』は、謎解きの面白さもさることながら、
主役二人のやりとりも楽しく、肩の凝らない読み物になっている。
本格ミステリーの永遠のテーマである密室トリックなのだが、本作の4編はどれもビミョーに違った
シチュエーションでの密室であり、多少トリックに難あり、と思わせるのもあるけど(笑)、謎解き以上に
ストーリー展開やキャラクターの面白さを楽しむ作品であるので、そこいらは大して気にならない。
本格ミステリーファンからは、あまり評価は高くないかもしれないが、僕としては、やたらとトリックを
こねくり回した感のあった『硝子のハンマー』よりは良いと思う。貴志祐介といえば、10年ちょっと前
に『ISOLA−13番目の人格』でデビューしてから短期間で傑作を次々と発表した訳だが、その頃の
作品に共通する、ストーリーとシチュエーション設定の面白さ、は本作でも十分に楽しめるしね。前述
したように、本格好きには物足りないだろうが、小説としては大変面白いのでお薦めです。
デビューから約3年で5本の長編を発表したのが嘘のように、それ以降すっかり寡作になってしまった
貴志祐介であるが、質の高いエンタテインメントを書ける作家だと思うし、難しいのはいいから(笑)、
もっとコンスタントに作品を発表して欲しい、と切望する次第である。本作と前後して、『新世界より』
という長編を発表しており、こちらも傑作との評判なので、近いうちに読んでみよう。
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NOTE 2008.6.28
白蛇教異端審問/桐野夏生
桐野夏生初のエッセイ集だそうだ。本人はエッセイは苦手らしいが、10年も物書きをしていると、
こうして一冊の本になるだけは貯まるのだな、と感慨深かった、とあとがきにも書いている。エッセイ
に対する考え方やスタンスは人それぞれと思うが、物語を作る立場にいる人は、創作の世界ではない
エッセイというのを書くのが得意でないのだろう。そういえば本書の文庫版解説を書いている東野圭吾も、
同様の事を言っていた。なんとなく、分かるような気もする。エッセイストとして人気のある人は、
どちらかというと、作家ではなく、それ以外の職業の人であるケースが多いように思う。語弊はあるが、
“物書きのプロ”でない人が書いているからこそ、リアルなエッセイになるのだろう。生粋のストーリー
テラーは、身辺雑記なんぞタラタラと書いてられないに違いない(笑)
とは言うものの、面白い小説を書く人のエッセイは、やはりそれなりに面白い。再び登場するが、
東野圭吾もそうだ(笑) この『白蛇教異端審問』は、いわゆるエッセイに始まり、日記(こないだブログ
でパクりました...笑)、映画評・書評、ショートストーリー等で構成され、桐野夏生という作家の
人となりというか、物の考え方、小説に対する思い、人生観などがよく分かって大変面白い。白眉は、
匿名の書評で自分と自分の作品を批判されたことに対する反論・抗議などを綴った「白蛇教異端審問」
であろう。これが、単行本のタイトルになっていることからも、本人の思い入れが伝わってくる。凄い。
これは闘いの記録でもある。自身が身を削るようにして書いた小説を、書いた者の名前も明らかに
して世に問うた作品を、匿名批評などという卑怯な手段で貶められたくはない、だから闘うのだ、と
桐野夏生は書いている。返す刀で、インターネットの無法ぶりまで糾弾されてしまうと、こちらはぐうの
音も出ない(笑) 確かに僕も、ハンドルやアドレスは公表しているものの、顔が見えない気楽さで、
無責任な文章を垂れ流しているのかもしれない、と反省した次第です(爆)
という訳で、桐野夏生のファンなら読むべきでしょう。小説とエッセイの違いはあるが、桐野夏生の
物書きとしてのスタンスにぶれはない。違和感なく読めると思う。
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NOTE 2008.6.19
FROM THE VAULTS 2/四人囃子
正に事件としか言いようのなかった、2001年の5枚組CD−BOXセット『From The Vaults』の
続編が発売された。前作と同じく、完全限定生産で、5枚組なのも前回と同じ。中味は、ほとんど未発表
音源で、初期のライブ音源中心、というのも前作と同じである。ただ、前作は、デビュー前から一旦
活動停止する1979年までの音源が収録されていたが、今回は1975年すなわち森園勝敏が脱退
するまでの音源で占められている。ファンを自称するなら絶対に“買い”である。限定生産とはいえ、
予約してなくても、今ならアマゾンにでも注文すれば、間に合うはず(笑)
一応、ディスクの構成を書いておくと、Disc1『一触即発』のセッション音源、Disc2『空飛ぶ円盤に
弟が乗ったよ』&『二十歳の原点』のセッション音源、Disc3『’73四人囃子』完全版、Disc4&5
1972年から1975年までのライブ音源、となっており、なんといっても初期の未発表音源が聴き物だ。
前作では、「一触即発」「泳ぐなネッシー」といった曲が、ライブを経るうちに姿を変えていく姿を捉えて
いて、大変に興味深いものがあったが、今回は、ファンの間では語り草となっている演奏を、会場ごと
にまとめて収録する、という形をとっており、重複する曲も少なく、四人囃子のすさまじいまでの演奏
と相俟って飽きずに聴ける。いやいや、ほんとに凄い。ほとんどが、ラインではなくカセットか何かで
録音されたもので、確かに音質は今イチだが、それでも彼らの凄さは十分に伝わってくる。いや、音が
良くないからこそ、その凄さがよく分かるのだ、ともいえる。今と違って、ろくな機材もなかった時代だった
と思うが、それでも迫力たっぷりの演奏を聴かせているのが、正に驚異だ。付属のブックレットに、
四人囃子のメンバーがまだ高校生の頃、プロに混じって大学の学園祭に出演するというので、準備
をしていると、客席から「ガキの演奏を聴きに来たんじゃねぇぞ」なんて野次が飛んだが、いざ彼らが
演奏を始めると、客がピタリと大人しくなってしまった、なんてエピソードも紹介されており、これだけでも、
当時の彼らがいかに凄かったか分かろう、というもの。Dics4&5でイヤというほど堪能出来ます(笑)
オリジナル曲だけでなく、カバーもやってるが、「パーフィディア」とか「ダイアモンド・ヘッド」まで演奏
してるのにはたまげた。会場によっては、そういうレパートリーも必要だったらしいが、四人囃子の
幅広さというか柔軟性が表れた演目といえよう。実際、前述のブックレット(関係者による四人囃子に
関する証言がたくさん載ってます。必読!)を読んでも分かるが、プログレに分類されることの多い
四人囃子だが、彼ら自身はそういう事は何も意識してなくて、単に好きな音楽を好きなようにブレイ
していただけなのである。いわば“音楽バカ”の集団、それが四人囃子だったのだ。なんと素晴らしい
ことか。読んでて涙が出そうになった(笑) 自分が四人囃子を追いかけてきたのは正解だったという
のがはっきりしたわけで(笑)
スタジオでのセッション音源を聴いてみると、「おまつり」「一触即発」といった長い曲を、パートごとに
分けてバラバラに演奏し、それを後で編集する、という方法をとっていた事が分かって、こちらも興味
深い。当時は、そんなやり方に理解を示すディレクターはいなかったそうで、その点でも四人囃子が
先鋭的なバンドであった事が分かる。くどいようだが、ほんと凄いバンドなのである、四人囃子は。
いくら絶賛しても絶賛し過ぎということはない(笑)
何度も言ってるけど、ブックレットも読み応え十分だし、10000円は決して高くない。ここまで来たら、
『From The Vaults』の第三弾に期待したい。次は、佐藤満加入以降の音源を大放出して欲しい
もの。何年先になるか分からないけど(笑)
いやしかし、ほんと四人囃子って凄い(こればっかし)。
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NOTE 2008.6.10
CUT LOOSE/PAUL RODGERS
今もなお、衰えを知らぬ歌声を聞かせる、大英帝国屈指のボーカリスト、ポール・ロジャースが
1983年に出したソロ・アルバムである。意外なことに、初ソロだったらしい。いきなりで何だが(笑)、
実に素晴らしい。全曲自作で、全ての楽器を演奏し、プロデュースまで手がけたというワンマン作だが、
バドカンあたりと比べても遜色のない音になってるのは凄い。ポール・ロジャースはギターも弾くのは
知ってたけど、ドラムまでやってしまうとは知らなくて、当時結構驚いたものだが、そのドラムがまた
上手いので、さらに驚いてしまった(笑) 一体、バンドのメンバーは何だったのか?(笑)
と、与太はさておき(笑)、何度も言うけど、実に素晴らしいアルバムであるので、是非聴いて欲しい。
曲調は、彼のそれまでの作風から逸脱するものではない、とは言え、どれも粒よりだ。絶対的な名曲は
ないけど、いかにもブリティッシュといった感じのハードなロックンロールから、後期バドカンで見られた
南部志向的なブルース、泣きのスロー・バラードなどなど、バラエティに富んだ内容で、しかも、それを
ポール・ロジャースが熱唱するのだから、実際悪かろうはずはないのだが、曲・音・歌唱を含めた
全体のクォリティがとにかく高いので、決してポール・ロジャースのファンではない、という人でも、
十分満足できる内容だと思う。本当に素晴らしい。ポール・ロジャースこそ、正に“ブリティッシュ・ロック
の至宝”である。今の彼も、やってる事はこの頃とほとんど変わってないと思うけど、このアルバムで
聴かれる、メタリックでないハードな音が、やはり一番似合ってるのではないか。何度も言うが(笑)、
ポール・ロジャースは素晴らしい。
聞く所によると、今年クイーン&ポール・ロジャースとしての新作が出るらしい。全曲新曲だよね、
やっぱり。某所で一曲聴いたけど、いかにもポール・ロジャースってな感じの曲で、否が応でも期待
は高まる。発売まで待ちきれないあなた、それまでこの『Cut Loose』でポール・ロジャースを存分
に堪能して下さい(笑) あまり関係ないけど、CDのライナーに、タイトル曲の日本盤シングルの写真
も載ってるし(笑) “Rare Japanese Cut Loose 45”なんて書いてある所を見ると、海外ではシングル・
カットされなかったんだろうか?
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NOTE 2008.6.2
DANCE PARTY & WATCHOUT!/MARTHA & THE VANDELLAS
あの「ダンシング・イン・ザ・ストリート」で知られるモータウンの女性コーラスグループ、マーサ&ザ・
バンデラスのオリジナル・アルバム2枚を一枚のCDに収めた、いわゆる“2 in 1”である。
正直こっち系(笑)はあまり知らないのだけど、何故買ってみたかというと、もちろん「ダンシング・イン・
ザ・ストリート」目当てである。カバーも大変に多い超有名曲なのだが、よく考えてみたら、オリジナル
は聴いた事なかったので(汗) ちなみに、お目当ての「ダンシング・イン・ザ・ストリート」は『Dance
Party』の方に収録されている。
という訳で、アルバム2枚分プラスボーナス・トラック3曲で計27曲、という結構なボリュームなのだが、
これが案外とすんなりと聴けるのだ。お目当ての(しつこい)「ダンシング・イン・ザ・ストリート」は一曲目
なので、残り26曲はおまけみたいなものだが(失礼!)、これがどの曲もよく出来ていて、全く飽き
させない。基本的にはダンス・ミュージックで、アップテンポの曲もスローな曲も踊るには最適、『Dance
Party』というタイトルに偽りはない(笑) 当時のモータウンの社風そのままに、黒っぽさは極力消して
いるので、それが聴きやすさの要因と思うが、前述したように、曲の良さに加え、リズム・セクションを
前面に出したサウンド・プロダクションもよろしい。また、もう一枚の『Watchout!』の方は、ダンサ
ブルな曲に加え、かなり実験的な試みをしてる曲もあり、バラエティに富んだ内容、という点では
『Dance Party』以上である。マーサ・バンデラスのボーカルもいい。あまりアクは強くないけど、
長い事聴いてるには、こういう感じが一番いいと思う。
ま、とにかく、ダンサブルでキャッチーで、曲もアレンジもよく練られているし、素晴らしい内容である。
意外な収穫だった。やはりモータウンは、ブラックというより、極上のポップスとして聴きたいものだ。
40年も前の作品だけど、全然古臭くないのが、これまた凄い。
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NOTE 2008.5.18
HOT STREETS/CHICAGO
先月来日公演を見に行って以来、シカゴ熱上昇中なのである(笑) あれこれ聴いてみたくなって、
アマゾンあたりでカタログを眺めたりしてるのだが、ほとんど買ってない(笑) 何故かというと、70年代
前半のアルバム(要するに一桁台)は邦題が楽しいので、是非日本盤で揃えたいのだが、ほとんど
廃盤らしく、輸入盤しか手に入らないからなのだ(なんのこっちゃ)。と言いつつ、来日公演後に入手
したのが、この1978年に出た『ホット・ストリート』である。ギタリストのテリー・キャスをピストルの
暴発事故で失い、デビュー以来二人三脚だったプロデューサー、ジェイムス・ウィリアム・ガルシオとも
袂を分かっての初アルバムであり、1st以降12作目にして初めて数字以外のタイトルが付いた
アルバムでもある。この後は、また数字路線に戻ってしまったので、結局の所、数字以外のタイトル
が付いた唯一のアルバムという事でもあり、つまり、シカゴの歴史上、ある意味では最も重要な
アルバムなのである(なんのこっちゃ)。ついでに言うと、ジャケットにメンバーが登場したのも初めて
(及び唯一)では?
と、与太はさておき(爆)、テリー・キャスの後任にドニー・デイカスを迎えた新生シカゴの第一弾として、
この『ホット・ストリート』は当時かなり話題になっていたし、シングルの「アライブ・アゲイン」もFMで
よくかかっていた。そう、「アライブ・アゲイン」なのである。好きだったなぁ、この曲。タイトル通り、
ポジティブで明るい曲だ。アルバムもFMで聴いて、一発で気に入ってしまった。もともと、やや脳天気
なところのあるバンドだったようにも思うのだが(笑)、当時流行りだったフュージョン風も取り入れた
サウンドも相俟って、全体的に非常に明るい印象で、楽しんで聴けるアルバムだった。1stシングル
であり、A面の一曲目でもある「アライブ・アゲイン」に象徴されるように。当時、ハードロック離れを
起こしていた僕にとっては、正にツボのサウンドで、ほんと金があったらLP買っていただろう(笑)
ま、そんな思い出のあるアルバムであるが、今聴いてもあの時の印象と変わらない。ブラスも取り
入れた、ソフィティスケイトされたロックという感じ。他のアルバムは、ほとんど聴いてない訳だから、
何とも言えないのだが、ギターの軽やかなカッティングなど、テリー・キャスからドニー・デイカスに
交代した事で、路線を変えてきたのでは、なんて思わせたりもする。皮肉なことではあるが、ここで
シカゴは一皮剥けた、とも言える訳だ。このアルバムを聴いてると、後のAOR路線はやっぱり必然
だったのだな、という気がする。但し、この頃の方がずっとバンドらしいけど。
という訳で、素晴らしいアルバムである。勝手にシカゴの代表作として推薦させて頂く(爆)
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NOTE 2008.5.16
AFTER 5 CRASH/角松敏生
ブログにも書いたけど、先日角松敏生のコンサートに行った。元々、そんなに熱心に聴いていた人
ではないし、当然コンサートで演奏された曲もほとんど知らないのばかりだったのだが、さすがに
20年以上も活動を続けているだけのことはあり、コンサート自体は非常に充実した内容だった。
となると、ちょっと聴いてみようかな、なんて気になる訳で(笑)、買ってみたのがこの『After 5
Crash』である。1984年発表、角松敏生にとっては4枚目にあたるアルバムだ。角松のアルバムを
聴いてみるにあたって、何故この『After 5 Crash』を選んだのかというと、それ以前のアルバムと
比べてオシャレ度よりファンク度が高かったような記憶があるのと、初めて(20年以上前だが^^;)
友人に聴かされた時、ラストの「Heart Dancing(あいらぶゅ音頭)」が印象に残っていたからだ。
ま、大した理由ではない(笑)
という訳で、非常に久々に聴く角松敏生、なかなかよろしい。当時のブラコンやフュージョンの影響を
大いに受けたAORつーかシティ・ポップス、という感じで、いかにも80’sというかバブリーというか(笑)
そんな雰囲気だけど、よくよく考えてみると、こういう音楽をやっていた人って、今となっては案外と
思い出せないもので、僕自身は当時は何の新鮮味も感じていなかったが、結局こういうスタイルは
角松独自の物だったのか、なんて思えてくる。不思議なものだ(笑) チョッパービシバシのアレンジ
も時代を感じさせたりなんかして、今は案外耳にする事の少ない音楽なんだな、と思うと、ちょっと
寂しいものがある(笑) 正直な所、サウンドにもボーカルにも強い自己主張のようなものはなく、
かといってセンスが悪い訳ではなく、かなり手間暇かけてるのは分かるんだけど、でもひたすら心地
良く聴ける音楽だ。ドライブのお供には最適でなかろうか。そういう点では、70年代に流行したイー
ジー・リスニングと、音楽性は違うが、似たような物がある。悪く言えば人畜無害。当時は、こんなの
どこが面白いのか、と思ってたけど(笑)、それはそれで悪くないな、なんて今は思う。ただ、こういう
一見人畜無害で、歌詞もありがちな感じで、ファンキーな曲とバラード系を組み合わせたアルバムの
構成もいかにも、ってな感じで、こういう音楽を作り続けた角松が、後に活動休止宣言をしてしまうのも、
なんとなく分かる気もする。本人の趣味か、レコード会社の要請なのか、その辺は分からないけど、
この手の物を作って売り続けるのも、だんだん虚しくなってくるのではなかろうか。けど、そういう
売れ筋と決別して、自身の主張を前面に出した音楽を作ったとして、それが面白いかどうか、は
また違う問題だ。ミュージシャンって、大変だな、とつくづく思う(笑)
と、多少否定的な事を書いてるようだけど、良質なポップスである。曲作りからアレンジ、プロデュース
まで、一人でやっていた角松には脱帽。一度は聴いてみるべきでしょう。
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NOTE 2008.4.27
TRAVELING LIGHT/COURTNEY JAYE
全然知らない人である。これはデビュー・アルバムだそうで、2005年に出ていたらしい。日本発売
はなかった模様。はっきり言って、“ジャケ買い”である(笑) 詳しくは↓のURL参照のこと(笑)
で、中味なのだが、これがなかなかイケるのだ。ポップだけど、カントリーやフォークの風味も感じ
させる音。フィールドは違うと思うが、ジェニファー・ペイジの1stを思い出した。全曲共作とはいえ
自作で、バラエティに富んだ曲調と歌唱が大変よろしい。アイドル然としたルックスだけど、決して
プロデューサーの操り人形ではないような気がする。それなりに筋の通ったものを感じるし。でも、
こういうタイプってアメリカにはゴロゴロしてるんだろうな。ハッタリはないけど、ルックスも音楽も好感
持てるし(笑)、是非メジャーになって貰いたいものだ。
という訳で、こういう掘り出し物もあるから、やっぱジャケ買いは止められない(笑) 内ジャケに
表ジャケとは違った雰囲気の、アメリカの片田舎のロック姉ちゃん、といった風情の写真もあって、
これがまたセクシーでよろしい。気になる方は、ご自分で購入して確認して下さい(笑)
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NOTE 2008.3.28
GREATEST HITS/DAN FORGELBERG
残念ながら、昨年12月前立腺癌のため、56歳という若さで亡くなってしまったダン・フォーゲルバーグ。
その彼の、1983年頃に出た、最初(だと思う^^;)のベスト盤が本作である。キャリアも長くヒット曲
も多い人だけに、CD時代になってから新編集のベスト盤が数種類出ているが、わざわざ昔のベスト盤
を探して購入した(笑) この頃が彼のキャリアのピークであったと思うし、やはりよく知ってる曲を
聴きたいし^^;
ダン・フォーゲルバーグといえば、やはり1979年の『フェニックス』、81年の『イノセント・エイジ』の
2枚が代表作と言っていいだろう。前者からは「ロンガー」、後者からは「風に呼ばれた恋」「バンド・
リーダーの贈り物」といったヒット曲が生まれ、アルバムもベストセラーになった。特に、今でもテレビ
CMなどで耳にする「ロンガー」は名曲である。本ベスト盤には、この「ロンガー」をはじめ、デビュー時
から『イノセント・エイジ』までのヒット曲に、新曲2曲を加えた10曲が収録されており、佳曲ばかりで
聴き応え十分。シンプルでいかにもシンガーソングライター然とした『フェニックス』や『イノセント・エイジ』
の曲は、今聴いても実に味わい深いものがあるが、初期の曲はなかなかウエストコーストしてて、
これもまたよろしい。僕がダン・フォーゲルバーグを知った思い出の曲「パワー・オブ・ゴールド」も
しっかり収録されてるのも嬉しい。この頃は、もっとAOR寄りの人だと思っていたが、実際はそうでもない、
という事を知ったのはもっと後のこと。良いメロディ、派手さはないけどしっかりとしたサウンドプロダクション、
伸びやかな歌声、からりとした明るい雰囲気、どれをとっても、古き良きウエストコーストを感じさせる人
である。ストリングスを入れてドラマティックに展開する「ハート・ホテルズ」なんて、たまりません(笑)
今となっては地味なポジションの人だけど、こういう人が売れていた時期があった訳で、やっぱり
70年代っていい時代だったんだなぁ、とまたしても思ってしまうオヤジであった(こればっかし...爆)
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NOTE 2008.3.20