最近のお気に入り
(バックナンバー40)
CD、小説、映画など流行に関係なく、また新旧を問わず
最近気に入ったものを紹介します。
=音楽関係
=書籍関係
=映像関係
となり町戦争/三崎亜記
なんともはや、不思議な小説である。平凡なサラリーマンの主人公が住む町が、ある日となり町と
戦争を始める。しかし、市街地で銃撃戦がある訳でもなく、厳戒態勢が敷かれる訳でもない。けど、
定期的に配られる町内報には、戦死者の数が公表され、その数字は日に日に増えていく。主人公の
日々の生活にも、何の変化も影響もない。本当に戦争は起きているのか。そんな中、主人公は役所
に呼び出され、偵察員に任命される。実感が湧かない戦争に、自分も加担する事になったのだ。混乱
はするものの、彼は任務を遂行するが...ま、実感の伴わない戦争に加担する事で、主人公が戦争
とは何か?を模索する、一種の青春小説のような趣もあるが、戦争がテーマの割には淡々とした筆致
のせいで、すらすらと読める。ストーリー展開もエンディングも、評価の分かれる小説とは思うが、
この淡々とした感じが、個人的にはとても心地良い。視点を変えてみると、ユーモラスですらある。
以前紹介した『バスジャック』にしても、摩訶不思議な小説だったが、なんとなくのめり込んでしまう
ものが、三崎亜記の小説には感じられる。フツーの小説のような体裁だけど、どことなくシュールと
いうか不条理というか。でも、決して難解ではない。興味があったら、是非ご一読を。
余談かもしれないが、この『となり町戦争』で、主人公に任務の事やら何やらあれこれ指導し、時には
共に任務を遂行する役所の職員の女性が大変魅力的である事を、付け加えておく(笑)
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NOTE 2009.12.21
フュージョン・パラダイス・オレンジ・セレクション(VA)
で、映画音楽のコンピに続いて、フュージョンである(笑)。あちこちで何回も書いてるけど、昔フュー
ジョンが大人気だった時代があったのだ。ミュージシャンたちがテレビの音楽番組で演奏し、自身の
曲を使ったCMに出演し、街を歩けばフュージョンが流れ、レコードはオリコンのTOP10に入り、
コンサートは常に満員、という夢のような時代が...あの頃のフュージョン人気を象徴する御三家
といえば、高中正義、カシオペア、渡辺貞夫といったとこかなぁ。今だってフュージョンというジャンル
は残っているし、当時活躍してたミュージャンも相変わらず頑張っている。が、残念だが、今のフュー
ジョン・シーンに昔日の輝きはない。やはり、歌詞がないといかんのだろうか。80年代中期以降の
カラオケ・ブームと、フュージョンの人気低迷はシンクロしてるような気もする今日この頃。
という訳で、かつてのフュージョン・ブームを牽引した人たちの曲を集めたコンピがこの『フュージョン・
パラダイス・オレンジ・セレクション』である。曲目だけ見てても、涙がちょちょ切れるくらい、懐かしの
名曲がてんこ盛りだ。「ブルー・ラグーン」、「ASAYAKE」、「ユニコーン」、「オレンジ・エクスプレス」etc...
なんで、フュージョンとは言い難い角松敏生の曲が3曲も入ってるのか、とか、本多俊之はもっと古い
曲を収録して欲しかった、とか、ナベサダの「オレンジ・エクスプレス」はスタジオ版にして欲しかった、
とか、高中やカシオペアをもう一曲入れるなら違う曲の方が良かった、とか、どうせなら日野皓正の
「シティ・コネクション」も入れてくれればいいのに、とか、あれこれ不満はあるが(笑)、ネイティブ・サン
の曲が入ってるのも嬉しいし、まぁこれ以上は言うまい(爆)。外国のに比べると、日本のフュージョン
というのは独特のものがあって、汗臭くなく、しっかりとメロディがあって、高度な技術を駆使しつつ、
聴きやすく親しみやすい音楽を作り出していた、というのは誇ってもいいのではないだろうか。フュー
ジョン・ブームよ再び!、なんていう気はないが、そういう時代があった、という事実が、すっかり遠い
記憶みたいになってしまっているのは、やはり悲しい。あの時代のフュージョン・ブームを体感した世代
にこそ、こういったコンピを聴いて欲しい、と思う。
と言いつつ、先日の会社の忘年会で、“アラ50”世代の間で、ナベサダやら高中やらの話題で盛り
上がった事を記しておきたい(笑)
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NOTE 2009.12.13
ヨーロッパ映画音楽百科「男優編」
実に久々に映画音楽のCDを買ったのである。近頃のサントラではなく、昔ながらの映画音楽のCD
って、「これはっ!」って思う物がなかなかないのだが、この『ヨーロッパ映画音楽百科 男優編』は
実によろしい。曲目を見ても分かるように、60年代から70年代のヨーロッパ映画(と言っても、大半
がフランスとイタリアだけど^^;)の音楽から選曲され、しかも音源は全てサウンドトラックである。
古い映画音楽って、有名な作曲家の有名な作品しかCD化されてないのが現状だが、『ヨーロッパ
映画音楽百科 男優編』には、今となってはややマイナーな曲も多く収録されているのが嬉しい。
なんたって、「ラ・スクムーン」や「アラン・ドロンのゾロ」が聴けてしまうのである(笑)。ここいらの曲を
聴くのは、マジ30年ぶりくらいかもしれないが、結構曲の細かい部分なんかも覚えてて、懐かしい
というより、ずっと聴き続けてきたような感じがする。ま、初めて聴く曲も結構あったんだけどね(笑)
ヨーロッパ特にフランス映画の音楽って、絢爛豪華なアメリカ映画の音楽と比べると、とても前衛的
というかモダンというか、そんな感じがした。どういう訳か、昔のフランス映画って、暗いとかひねくれ
てるとかいうイメージがあって、恋愛物だってハッピーエンドにはならないし、ちっとも面白いとは思え
なかったけど、音楽は別だった。当サイトに「MFCオーナーの映画ファイル」というコーナーがあるが、
そこではフランス映画は、ほとんど取り上げていない。けど、好きな映画音楽という事になると、フラ
ンス物が俄然多くなる。前述した「ラ・スクムーン」だって、ジャン・ポール・ベルモンド主演の、いわば
アクション物だったけど、映画そのものはまったく印象に残っていない。が、テーマ曲は素晴らしかった。
映画のあちこちで流れるメインテーマが、とても印象的だったのだ。ちなみに、作曲したのはフランソワ・
ド・ルーペという人で、早逝の天才と呼ばれていた。イタリア物は、映画も音楽も明るく陽気、という
印象。訳分かんないのは同じだったけど(笑)。逆にこっちでは、暗い映画の方が印象に残ってたり
する(笑)。
という訳で、知ってる曲も初めての曲も、とにかく素晴らしい『ヨーロッパ映画音楽百科 男優編』
なのである。かなり有名な「太陽がいっぱい」も収録されているが、この曲、僕が通ってた小学校の
下校時に、校内放送でいつもかかっていて、でも映画の主題曲だなんて知らなくて、テレビで映画が
放送された時、耳慣れたメロディが流れてきたので驚いた、なんてどうでもいいエピソードまで思い出して
しまうくらい素晴らしい(爆)。この手の編集物を、もっと発売して欲しいものだ。「フランソワ・ド・ルーペ
作品集」なんて、是非聴きたいっす(笑)
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NOTE 2009.12.10