最近のお気に入り
(バックナンバー2)

CD、小説、映画など流行に関係なく、また新旧を問わず
最近気に入ったものを紹介します。

MUSIC=音楽関係 BOOKS=書籍関係 MOVIE=映像関係



 MUSICgravity/LUNA SEA
     LUNA SEA久々のシングルはTVドラマの主題歌だそうだ。それはともかく、実に素晴
     らしい仕上がりである。静かにクールに進行する曲調がたまらない。カップリング曲も今
     までのイメージとやや違って骨太なサウンドになっており、彼らも新たな局面を迎えてい
     るようだ。今後のLUNA SEAに大いに期待しよう。
     僕の場合、以前からLUNA SEAというバンドを他のビジュアル系バンドとは違う目で
     見ていた。ジャケット、アルバムタイトル、歌詞、サウンドなどに一貫した美学のようなも
     のを感じたからである。彼らが追求したいものがそれらに表現されているし、売れ筋との
     折り合いをつけながら、その主張を曲げずバンドサウンドにこだわってきた姿勢も共感で
     きる。近年珍しいストイックなロックバンド、というのがLUNA SEAの印象だった。
     ま、それだけにTVドラマに出てみたり、女優や歌手と浮き名を流したりするメンバー達を
     見ていると、やはりミーハーな普通の人だったのね、と少々落胆せざるを得ない。こっち
     が勝手なイメージを持ってただけなんだけど。最近は、私生活はどうでもいいから、バン
     ドとしてのポリシーだけは曲げずに活動して欲しい、と思うのみである。

NOTE 2000.4.23



 MUSIC勝訴ストリップ/椎名林檎
     今最も世間を騒がせているミュージシャン、椎名林檎の話題のニューアルバムを発売日
     から半月遅れで買った。出荷制限やら何やら大騒ぎしていたが、それでも初回プレスが
     買えてしまいました。
     で、肝心の中身だが、この人を聴く時はいつもそうだが、最初は何だか分からないのだ。
     が、後で少しづつ効いてくるのである。今の僕は、効き始めてきた所か。ハマってしまう
     のは、時間の問題だ。語るべき言葉が見あたりません。
     古くからの洋楽ファンを納得させる音、と某音楽誌に書いてあったが、何々風と言いにく
     いサウンドは古くもあり新しくもあり、といった所で非常にカッコ良い。分かるかどうかは
     ともかく、彼女の詩世界も独特で、バックの音と共に何とも言い難い世界を作っている。
     椎名林檎を聞いた後で、ZARDやら岡本真夜やら耳にしたりすると「これで歌詞のつもり
     かよ」なんて思えてしまう。やはり、すごい人なんだろう。あ、また聴きたくなってきた。も
     はや、中毒か。
     故に、この人が何故ここまで人気あるのか、とても不思議です。

NOTE 2000.4.17



 MUSICELTON JOHN’S THE ROAD TO EL DORADO
     久々のエルトン・ジョンである。これは『エル・ドラド』というアニメ映画のサントラだそうだ
     が、全部で15曲収録されたもののうち、インストを除く12曲をエルトンが書き歌っている
     ので、新作と言っても構わないだろう。映画とは関係ないと思われる曲が5曲入ってるし
     。で、サントラ絡みと聞いていたので、僕はあまり期待していなかったのだが、これが実
     に良い。ここ数年のエルトンは、『ライオン・キング』のサントラやミュージカル『アイーダ』
     などで成功を収め、例の「キャンドル・イン・ザ・ウィンド」の記録的大ヒットもあり、一般に
     は‘正統派’ポップス歌手として認識されるようになってしまった。長年のファンである僕
     としては、それが大いに不満であり、また普通のポップス歌手として見られることをまるで
     気にしていないような作品を発表するエルトンのことも心配だった。このままではロッド・
     スチュワートみたいになってしまう、と危惧していたのだが、この『エル・ドラド』はそんな
     不安を吹き飛ばし、エルトン健在を改めて印象づける傑作である。最近は、ごく普通のい
     いメロディしか書いていなかった彼だが、ここではエルトンならではの特徴あるメロディや
     コード進行が随所で聴けるし、ボーカルも円熟味を増し力強く尚かつ若々しい。プロデュ
     ースはマドンナのブレーンとして知られたパトリック・レナードが担当しているが、80年代
     風打ち込みサウンドとエルトンの相性も意外とよく、幅広い曲調も合わせ、飽きさせない
     素晴らしい仕上がりだ。エルトン・ジョン、やはりすごい。30年連続TOP40ヒットは伊達
     ではない。

NOTE 2000.4.2



 MUSICTHE BLACK MASS FINAL 3NIGHTS/聖飢魔U
     巷ではあまり話題になってないが、1999年をもって解散した聖飢魔Uの最後の黒ミサ
     のライブ盤が出た。1999年12月29日から31日まで、3回のライブからセレクトされた
     音源がCD2枚に収められている。とにかく、最高だと断言してしまいましょう。お馴染み
     の曲からそうでないのまで全25曲、聖飢魔Uってこんなにすごかったんだ、と認識を新
     たにして酔いしれてしまうこと請け合いだ。単なる色物ではなかったのだよ。もっとちゃん
     と聴いとけば良かった、今さらながらに思ってしまった。
     このライブ盤を聴きつつ思い出すのは、僕が見に行った12月29日のライブでのエース
     清水の謎の一言である。今だにその謎は解けていない。
     「NKホールのNKって、何のことか知ってるかい?」

NOTE 2000.3.19



 BOOKS凍える牙/乃南アサ
     この人も僕の好きな作家の一人である。この「凍える牙」は1996年に直木賞を受賞し
     た作品で、この受賞をきっかけに僕は乃南アサの本を読むようになった。が、肝心の直
     木賞受賞作を読むのは今回が初めてである。バツイチの女刑事と叩き上げの中年刑事
     がチームを組んで(組まされて)ファミリーレストランでの焼死事件と犬に襲われて人が殺
     される事件を捜査する、という内容だが一部で言われていたように、この作品の面白さ
     は謎解きよりも人間の描き方にあると思う。女性蔑視の強い職場で働く女刑事と女は扱
     いにくいという中年刑事の双方の視点で語られるのだが、それぞれの気持ちがとてもよく
     分かり、いつの間にか両方に感情移入していく。ウルフドッグなる犬を使って人を殺して
     いくという、今までにあったようななかったような犯罪が登場するのも興味深く、最後まで
     一息で読めてしまう。読後感もよく、お薦めです。
     乃南アサという人の人物描写というのは結構すごい。容赦ないというか、女性でもその
     嫌な所まで徹底的に描いていく。だからこそ、リアルに感じられるのだと思う。断っておく
     が、意地悪な描写とかなのではない。あくまで、リアルなのだ。ストーリー以上に人間を
     描く作家だと思う。
     乃南アサ作品で、僕が推薦するのは本書の他、「幸福な朝食」「水の中の二つの月」など
     。いずれも、怖いくらいの人間描写です。

NOTE 2000.3.18



 MUSICBREATHE/FAITH HILL
     スーパーモデル顔負けの容姿を持ち、出すレコードは大ヒット(前作は全米で400万枚
     売れ、本作もアルバムチャートで初登場第一位になった)、夫はカントリー界の大スター
     (ティム・マッグロウです、日本では馴染みないかも)、おまけに二人の子供に恵まれ、と
     我が世の春を地でいくフェイス・ヒル。あまりの幸せぶりにねたまれて狙撃されないかと
     心配になってしまうが、そんな彼女にも、十代で離婚を経験し、プロ歌手を志しながらも
     チャンスに恵まれず長い下積みを経て、30才近くになってからやっとデビューした、とい
     う苦労話があるのである。となんだか、ワイドショーみたいになってきたが、この新作は
     必聴だ。元々カントリーのフィールドで出てきた人だが、全米で一位になるほどの人気に
     なっても、変にポップスづいたりしてない所がいい。いわゆる美声とは違う、ややハスキ
     ーで迫力たっぷりに歌う人で、そのファッショナブルな容姿から受けるイメージと違い、地
     方都市のロックねえちゃん、みたいな雰囲気がある。シェリル・クロウあたりと同列にして
     もいいのではないか。とにかくアメリカンフレイバーいっぱいで、気に入りました。
     余談ながら、ブックレットに載ってる彼女の写真も、うっとりするほどの美しさです。

NOTE 2000.3.11


 BOOKS決戦前夜/金子達仁
     もうあれから2年半以上も経ってしまったのか。サッカー日本代表チームが、フランスワ
     ールドカップ出場をかけて挑んだアジア最終予選。ジョホールバルで行われたイランとの
     三位決定戦で、2対2で迎えた延長後半、岡野が決めたVゴールの瞬間を僕は昨日のこ
     とのように覚えている。アジア最終予選をアウェーの韓国戦を除いて、全てTVで見て
     いたが、もう駄目だと絶望的になった試合の方が今思うと印象深い。小村が触れてしま
     った為オフサイドになったUAE戦(アウェー)の井原のヘッド、恐れていた通り逆転負け
     したホームの韓国戦、終了直前のロスタイムに同点にされたアウェーのカザフスタン戦、
     先制したにもかかわらず引き分けに持ち込まれたUAE戦(ホーム)。ほんとに、あの時
     期はアジア最終予選のことしか頭にない位だったのだ。結果的に日本はワールドカップ
     出場を果たした訳で、試合を見ながら一喜一憂したのをこの本を読んで思い出してしま
     った。僕にとっては、最終予選の方がワールドカップフランス大会より印象深かったかも
     しれない。
     という訳で、その最終予選における日本チームの戦いぶりを記録したのが本書である。
     2年も前にベストセラーになっていたので、既に読んだ人も多いだろう。僕達と同じように
     著者の金子達仁は、不安でいっぱいながらも日本が勝つことを信じ、試合を見て、選手
     の証言を交えて、あの時チームはどんな状態だったのか、中田・川口といった若い選手
     たちは何を考えていたのか、そして金子自身はどう日本代表を見ていたのかを克明に
     綴っている。サッカー好きなら必読だ。また、ノンフィクションとして非常に優れているの
     で、サッカーに詳しくない人でも戦術その他がよく理解できる。

NOTE 2000.3.9


 MUSICDEATH WISH/HERBIE HANCOCK
     このCDはジャズ界の巨匠、ハービー・ハンコックの名義になっているが、1974年製作
     『狼よさらば』のサントラである。ハンコックが手がけたものだ。この頃、ハービー・ハンコ
     ック、クインシー・ジョーンズといったジャズ界の人達がサントラを担当することが多かっ
     た(ロック界でも目立ったが)。70年代中頃、実は映画少年だった僕にとって、こうしたジ
     ャズ系の人達の作る映画音楽は非常にカッコよく感じられ、特にこの『狼よさらば』は印
     象に残っていた。まさか、今手に入るとは。やはりメインタイトルが一番の聴き物だ。なん
     と形容したら良いのか、ベースがずっと同じフレーズを刻み続け、シンセやストリングス
     よるメロディというか、音のコラージュみたいのが乗り、同じ事を延々繰り返していくのだ
     が、ガァーと盛り上がるのではなく、クールに進行していくのだ。ジャスというよりクロスオ
     ーバー(死語)か、とにかくひたすらカッコいいのだが、今ではあまり耳にしないタイプの
     音といっていいかも。ハンコックによるエレピのせいか、曲によってはジェフ・ベックの『B
     low By Blow』を思い出させたりする。ま、とにかく久々に聴いて懐かしいと同時に、
     ちっとも古びていないのに感心した。
     所で、この『狼よさらば』という映画、知ってる人はいるだろうか? チャールズ・ブロンソ
     ン主演で、ストーリーはチンピラに妻と娘を強姦された男が、拳銃片手に夜の街へ出て、
     そこいらのチンピラを次々に射殺していく、というもの。復讐物(?)と言っていいのか。
     映画の内容はともかく、このカッコいい音楽がどこに流れていたのか全然分からなかっ
     たのは、何故だろう?

NOTE 2000.3.6



 MUSIC恋のダンスサイト/モーニング娘。
     かくいう僕もモーニング娘。というか、つんくの魔術にはまっているのか。前作の「LOVE
     マシーン」も素晴らしい曲で大好きだったが、この曲も良い。ややチープな70年代ディス
     コ風のサウンドもたまりません。「LOVEマシーン」といい「恋のダンスサイト」といい、一
     番受けてるのは、僕のような30代半ば以降のおじさん予備軍なのではないか、とすら思
     えてくる。しかし、しょうがないではないか、近頃のヒットチャートで買ってまで聴きたいと
     思わせるヒット曲はモーニング娘。と椎名林檎くらいなのだから。そう言えば、近田春夫
     が、つんくと椎名林檎は他のJ−POP勢とは違う所を見ているのではないか、と言ってい
     たが、なるほどね、確かにこの二人、他とは一線を画している。当分目が離せそうにない
     な。しかし不思議なのは、モーニング娘。のメンバーの顔と名前はすっかり覚えてしまっ
     たのに、MAXは未だに顔すら分からない、ということ。何故でしょう?

NOTE 2000.2.29




  BOOKS名前がいっぱい/清水義範
      清水義範は面白い。あまり一般に知られている人ではないと思うけど...。確かにベス
     トセラーとかないし、直木賞とか何回か落選しているらしいし、TVドラマの原作とかにも
     なってないし...。けど、読んでみれば分かる。とにかく面白いのだ。身近な事にテーマ
     を求め、あまり気にしなかったけど言われてみれば確かに不思議だ、というものを小説
     の形を借りたエッセイ風に書く人で、パソコンのマニュアルや映画のパンフレットなども
     ネタにしてしまったりするのである。説明するのは難しいので、一度読んでみることをお
     勧めする。この『名前がいっぱい』はタイトル通り、名前にまつわる話を集めた短篇集で
     ある。母親の戒名を自分達でつけてしまう夫婦、自分の作品の登場人物の名前に苦労
     する小説家、本名の他ペンネームやら雅号やらハンドルやらたくさんの名前を持つ男、
     などが登場し笑わせてくれる。そして、名前とはなんだ?、ということもなんとなく考えさせ
     られてしまうのだ。名前を付けた瞬間、物はその姿・存在を明確にする、という部分を読
     んでなるほどと思いました。名前はとても大事なのか、じつはそうでもないのか、とにかく
     勉強にもなり、笑わせてくれる、というとてもためになる本なのである。
     皆さん、清水義範の本を読みましょう。

NOTE 2000.2.28


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