| 80年代初頭、ニューロマンティックブームの中から登場したのがこのABCであ る。トレバー・ホーンのプロデュースのもと、このファーストアルバムは本国イギ リスのみならず、アメリカでもヒットした。僕個人は、ニューロマンティックはビジュ アル面でもサウンド面でも、かなりグラムロックの影響を受けている、と思ってい るが、このABCは正にそのイメージ通りで、ルックスもさることながらファンキー なリズムにストリングスが絡む、という派手というか華麗というか、スタイリッシュ なサウンドが最高である。これにマーティン・フライの妖しげなボーカルがのると、 正に80年代型グラムの世界だ。音が派手めな割には、歌詞は普通のラブソング というのもこのバンドの特徴だった。ジャケットも仰々しくて良い。 |
![]() | エアロスミスがすごいのは、デビューして25年以上たった今でも、あの頃と変わら ないテンションを維持していることだ。彼らほど、年の割には円熟とか成熟とかい う言葉が似合わないバンドもないだろう。ただ、そのテンションを維持するのに昔 は酒と薬に頼り、今はジムに通って身体を鍛えている、というのが違いか。しかし 酒と薬の産物とはいえ、このアルバムにみなぎるパワーというか、ノリはすごい。 アルバムとしてみれば『闇夜のヘビィ・ロック』のほうが出来がいいのかもしれない が、このアルバムの形容しがたい勢いにはかなわない。とにかく、「バック・イン・ ザ・サドル」にはじまり「ホーム・トゥナイト(名曲!)」で終わるまで、往復ビンタされ っ放しのようなすさまじさは、現在でも衰えることはない。正に名盤。 |
![]() | エンジニア、プロデューサーとして既に有名だったアラン・パーソンズが、アメリカ の作家エドガー・アラン・ポーの作品を音にしたアルバム。レコーディンクに一年 もかけた、正に力作である。この手の企画アルバムは、ただ難解な方向へ流れ ていってしまうことが多いのだが、このアルバムに関してはとても聴きやすく、ポ ーの作品云々を抜きにしても楽しめる内容になっている。ハイライトはやはりB面 のほとんどを使った「アッシャー家の崩壊」だろうが、この曲以外は丁度いい長さ でまとめられているのが聴きやすい所以だろう。曲のほとんどはアラン・パーソン ズとエリック・ウルフソンの共作だが、アンドリュー・パウエル等参加ミュージシャン 達の力量も見逃せない。プログレ好きなら必聴。 |
![]() | ロック史に燦然と輝く名盤。これを聴かずして、アメリカンロックは語れない、と言 っても過言ではないだろう。今もグレッグ・オールマンとディッキー・ベッツを中心 に活動を続けるオールマン・ブラザーズの名を全米にとどろかせたのがこのアル バムだった。ライブで本領を発揮すると言われた彼らの魅力が100%詰まったラ イブ盤であり、故デュアン・オールマンとディッキーの2人のギターバトルがなんと いっても最大の聴き物であるが、ツインドラムが叩き出す複合ビート(のようなも の)がまた素晴らしい。このリズム隊がいたからこそオールマンズは単なるブルー ースバンドで終わらずに済んだのだ。しかし、それにしてもこの2人のギタリストは ほんと上手い。早弾き命のヘビメタ小僧に聴かせてやりたいくらいだ。 |
![]() | 3人組でデビューしたアメリカは、今はジェリーとダンの2人になってしまったが現 役だ。ただ、やはり彼らのキャリアのピークは「名前のない馬」でデビューしてから 5年くらいだろう。このアルバムはその時期のヒット曲を収録したベスト盤で、さわ やかで心温まるアメリカの世界を堪能できる。彼らの特徴は、デビュー当時CSN もどきまでと言われたそのハーモニー、そしてアコースティックなサウンドだろうと 思うのだが、今聴いても全く古くさく感じられないのは素晴らしいと思う。お薦めは 「金色の髪の少女」「ベンチュラ・ハイウェイ」あたりか。彼らは80年代に入ってか ら「風のマジック」というヒット曲を出し、この曲は名曲なのだが後が続かなかった のが実に残念だった。 |
![]() | ポール・ロジャース、サイモン・カーク、ミック・ラルフス、ボズ・バレルという既に他 のバンドで有名だったミュージシャンによって結成されたのが、このバッド・カンパ ニー。スーパーグループとして注目され、このファーストアルバムはベストセラーと なった。このバンドの良い所は、シンプル&ストレートにロックンロールのカッコ良 さを表現していること。B級だ、などと言われはしたが、とにかくカッコ良いのだ文 句あるか。アルバムの出来としては、やはりこのファーストが一番か。ちょっと暗 めのトーンで、フリーを意識したのでは、と言われていたが、ただ明るいだけでな いブリティッシュロックらしい雰囲気がまた渋い。ポール・ロジャースのボーカルは 天下一品なのだが、サイモン・カークのドラムも個人的にはすごく好き。 |
![]() | この人についての知識はあまりなく、かつてマット・ビアンコに在籍したということし か知らない。ブラコン風だが、ありきたりな感じはせず、ボサノバっぽい曲とアップ テンポのファンキーな曲とのバランスが実に良い。何でも、打ち込みを一切使わ ず、全て人力だそうで、これが打ち込みに聞こえてしまうくらい演奏がうまいのだ。 バーシアもソウルフルではなく、割に美声でバックに圧倒されることなく、気持ち良 さそうに歌っていて、ゆったりとした緊張感のようなものが漂っている。もうすぐ母 になる女性を歌った曲や、素晴らしい夫をありがとうと神に感謝する曲などもあり 充実した精神状態だったようだ。ファンキーな曲はクールに、ボサノバ風はあくま で優しく、民族音楽っぽい味付けも少しあり、飽きさせないアルバム。 |
![]() | ビートルズを一枚、となるとこのアルバムを選んでしまう。『サージェント・ペパーズ 』はアイデアはすごいけど、それだけという感じで好きではない。このアルバムは 後半のメドレーのシンフォニックな盛り上がりもすごいのだが、曲も粒揃い。特に ジョージの2曲が素晴らしい。リンゴの曲もいいし、ソングライターとして、4人が均 等のレベルで渡り合った最初で最後のアルバムではないか。しかし、解散直前で メンバーもバラバラになっていたらしいが、そんな中でよくこんな質の高いアルバ ムが作れたものだ。後期ビートルズに関しては、様々な音楽的試みのことが語ら れることが多いが、実験もベースとなる曲の良さがあってこそ効果がある、という ことをこのアルバムは証明している。やはり、ビートルズはすごい。 |
![]() | このアルバムを初めて聴いた時、正にブッ飛んだ。ギターもさることながら、ドラム がすごかったのだ。今まで聞いたことのないドラミングで、ドラムを始めたばかり だった僕には、ひたすら衝撃的だった。しかしドラムばかりではなく、演奏はとに かく凄い。フュージョン風アプローチのインストアルバムだが、ロックギタリストとし て人気だったジェフ・ベックがこういうアルバムを作ったことは、ファンからすると賛 否両論だったと思うが、後のフュージョンプームの先駆けとなったことは間違いな いだろう。ジェフ・ベック・グループ時代からその先見性は非凡な物があったが、 そういう点ではベックの面目躍如といった所か。ただ、このアルバムと次作『ワイ ヤード』の成功で、インスト屋みたいになってしまったのは残念な気がする。 |
![]() | ビージーズといえば、やはり『小さな恋のメロディ』と『サタデイ・ナイト・フィーバー』 ということになるのだろうな。その間に発表されたこのアルバムは、過小評価され ているが、実は名盤なのである。前作からアリフ・マーディンをプロデューサーに 迎えて、R&Bの要素を取り入れた作風に変わってきたが、それがこのアルバム で完成したといっていい。ビージーズならではのメロディとダンサブルな曲調が結 びつき、極上のポップミュージックに仕上がっている。「ジャイブ・トーキン」が全米 一位となった他、「ブロードウェイの夜」「ファニー(名曲!)」と次々とシングルヒッ トが出て、ビージーズは一線に返り咲いた。このアルバムの音楽的、商業的両面 の成功が後の『〜フィーバー』の成功の布石となる。 |