![]() | ロック界の奇人変人と言われたフランク・ザッパは、亡くなる前自分の全作品のリ マスタリングを完了していた。そのリマスター音源を使ってザッパの死後出たのが このベスト盤である。公式には初だそうだ。ザッパという人はありとあらゆる音楽 をやっていた人で、一枚のCDにその足跡を封じ込める事は不可能なんだそうで このベスト盤は、比較的ポップで聴きやすい作品ばかりを集めたものとのこと。確 かに初心者にも馴染みやすい曲が並んでいるが、それでも一筋縄ではいかない ザッパのこと、どの曲もひとひねりもふたひねりも加えてある。それでも結構楽し んで聴けるので、ザッパ入門には最適。ほんとにすごい人だったのですね。ここで 聴けるのはあくまで氷山の一角、だなんて信じられない。 |
![]() | この人達を初めてテレビで見た時、「ビートルズじゃん」って思った。もちろん、外 見を見ての印象だったのだが、曲を聴いたらやはりビートルズの影響大だった。 ただ、他のビートルマニアと違うのは、ギターポップバンドだった初期のスタイルに 近いことで、リフレインが印象的な曲作りが気に入ってアルバムを聴いてみた。こ アルバムは「Knockin’ On Your Door」がヒットしてブレイクした後に出た物 で、非常にノッていることを感じさせる出来映えだ。収録曲の質がとても高いし、ア レンジも無駄がない。ポップな曲ばかりではなく、「Talk Show」みたいないわば 実験的なこともやっていて、外見以上にこだわりがある所もうかがわせる。CDも 変形ジャケットとかで出していて、この辺りにもこだわりを感じる。 |
![]() | 80年代初頭のオフコースの人気は凄かった。当時、前人未踏だった武道館10 日連続コンサートを成功させ、女性が多かったファンの熱狂ぶりは社会現象にま でなった。今でいうならGLAY、ラルク並の人気だったのだ。次のアルバムはいつ 出るのか、ということまで注目の的となり、この『OVER』が出る時NHKでアルバ ム制作のドキュメンタリーを放送したくらいなのである。ただ、いつの世にも人気 者をやっかむ声はあり、オフコースの場合も軟弱などと陰口を叩かれた。実は僕 も碌に聴いたこともないのにそう思っていた一人だったのだが、ある時彼らのラ イブを聴いて考えを改めた。彼らは実はロックバンドだったのだ。疑う人は一度ラ イブ盤を聴いてみることをお薦めする。昨今のビジュアル系よりずっと上手いよ。 |
![]() | フォーク・クルセイダーズやサディスティック・ミカ・バンドでの活動で知られる加藤 和彦は、1980年前後ヨーロッパをテーマにしたアルバムを続けて制作した。この 『うたかたのオペラ』はそのシリーズの2番目にあたる物で、当時飛ぶ鳥落とす勢 いだったYMOやその周辺のミュージシャンをバックにベルリンで録音された。内 容も第二次大戦下のドイツをテーマにしたもので、歌詞にせよサウンドにせよ、ひ たすらその時代をイメージさせるものになっている。今じゃこんなアルバム誰も作 らないだろうな。加藤和彦のボーカルがいつにも増して退廃的なものを感じさせ、 暗いと言えば暗いのだが、こういったコンセプトのもとに音楽を作る人がいなくな ってしまった今、日本ロック界の名作として再評価されるべきである。 |
![]() | 元おニャン子、現後藤次利夫人。河合その子の一般的なイメージはそんな所だろ う。おニャン子クラブ出身、という経歴はブレイクの役には立ったが、結果的には 足枷となった。後年、全て自作曲によるアルバムも出していたが、イメージを変え ようと努力しても世間では彼女は単なるアイドル歌手でしかなったのである。素直 な声質といい、静かな情感をたたえた歌いっぷりといい、歌手河合その子が好き だった僕としては、彼女が歌うのを止めてしまったのはとても残念だ。このアルバ ムは、この時点でのシングル曲全部(3曲はリメイク)に新曲を加えた構成で、リメ イクされた初期の3曲と新曲が出色の出来である。本格志向であったことが非常 によく分かる、歌を聴かせるアルバムだ。忘れ去られてしまうのは惜しい。 |
![]() | 米米CLUBの面白さは皆が言うようにライブにある。はちゃめちゃで何でもあり、 ひたすらエンタテイメントに徹し、とにかく楽しい。しかも、演奏技術が高いので安 心である。ただバカ騒ぎするだけでショーアップ、などと言っている連中と違って 彼らのライブには遊び心と緻密な計算とサービス精神があった。こういうのをプロ が金取って見せるライブというのである。決して、CDだけ聴いてても彼らの素晴ら しさは理解できない。このアルバム(ちなみにタイトルは『ごはん』と読むらしい)は 彼らのライブの楽しさをある程度封じ込んだ、といえる内容だ。後年の真面目路 線とは違い、おふざけみたいな曲も入っていてなかなか楽しい。それにしても、「F UNK FUJIYAMA」はすごい曲だ。「SAFACA」もカッコいい。 |
![]() | この人のアルバムでは、1987年の『チャイム』が秀逸なのだが、ベスト盤も捨て 難い。斉藤由貴のシングルはいわずとしれた名曲揃いで、松本隆・筒美京平コン ビによる「卒業」「初戀」などの青春歌謡路線、「青空のかけら」「夢の中へ」などの はじけるポップス、どれも彼女の持ち味を生かして素晴らしい出来だ。歌詞にある 情景を喚起させる表現力もすごいし、仲々大した歌手だったのである。彼女も今 は一児の母ということだが、歌を聴いてイメージする斉藤由貴と現在のイメージに 意外なくらい差がなく、今このアルバムの曲を彼女が歌っても全く違和感がない のではないか、と思ったりする。彼女には、昔から今に通じるイメージがあったよ うだ。最初から他のアイドルとは違う雰囲気を彼女は持っていた。 |
![]() | 日本のロックが世界に誇れる名盤、と言い切ってしまってもいいのではないだろう か。日本的エキソシズムが西洋のサウンドに溶け込み、何とも言えぬ世界を作り 出している。よく言われるように、ロックという異文化が正に黒船の如く日本に上 陸した時に感じたショックを、熨斗つけて返してやったような感じ、とでも言おうか、 当時このアルバムを聴いた西洋人は、かなりのショックだったのでは。正に西洋 から見れば異文化、と言える内容だろう。断っておくが、決して民族音楽的な内容 ではない。音も方法論も正にロックである。ただ、そこに物真似ではないオリジナ ルな日本のロックがあるのだ。それこそ日本人にしか作り得ないロックである。7 0年代の日本には、こんなすごいことをやってしまう人達がいたのです。 |
![]() | 最初、佐野元春は好きでなかった。僕が彼を聴くようになったのはこのアルバム がきっかけである。佐野元春は一時期ニューヨークで生活していたが、そこで暮 らす間に様々なエッセンスを吸い取り、こんな凄いアルバムを作ってしまったので ある。一曲目の「Complication Shakedown」からして、ものすごい。いわゆる ラップなのだが、佐野元春独特の節回しに乗って抽象的なイメージの言葉が繰り 出される。これがまた、スリリングでカッコ良い。他の曲も、ヒップホップの要素を 取り込みながら、彼の音楽として消化してしまっている。それまで好きでなかった 彼の歌い方も、俄然カッコ良く聞こえ始めた。彼は、確実にニューヨークで収穫を 上げて来た。これなら、日本を離れてもファンは納得だったろう。 |
![]() | 突如現れたこの3人組バンドは、オーソドックスなロックバンドの醍醐味を味わえ る本格派だ。年の割には、色々な音楽を聴いているようで、3人で出来るあらゆ るスタイルを試みている。それでいて、カラオケ向きではないが、日本語のポップ ソングとしてもかなり高いレベルにあり、ロックを志向しながら日本人らしいアイデ ンティティもしっかり持っていて、こういうバンドを聴くと日本のロックも成熟してき たのか、と思う。ビートバンド的なスピード感もあって、まあ要するにゴダゴタ言っ てるけど、とにかくカッコいいバンドなのだ。ボーカルの声に馴染めない人もいる だろうけど、古いロックファンも若い人も楽しめるのではないか。このアルバムも シングル曲はもちろん(「if」名曲!)、他も古くて新しくてカッコいい。 |